初公開か 生きた蛇と踊る「伝説のスネークダンサー」、緊迫の「売防法」取り締まり映像も…元日テレの82歳「真山勇一さん」が映画ナレーションに初挑戦 戦後日本のタブーに迫るドキュメンタリーが公開
日本テレビでニュースキャスターを務め、後に国会議員も務めた真山勇一さん。4年前に政界を引退した後は、フリージャーナリストとして活動していたが、この度、御年82にして、初めて映画のナレーションに挑戦したという。その映画とは「日本のタブー」に迫るドキュメンタリー。一体、どんな内容だったのか。
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100時間以上に上る映像
真山氏は、「きょうの出来事」「おもいっきりテレビ」「ニュースプラス1」など、日テレの看板番組に10年以上にわたって出演し続け、昭和末期〜平成中期の日テレニュースの顔のひとりであり続けた。退社後には政界に進出し、市議会議員を経て、「みんなの党」や「立憲民主党」などで参院議員を10年間務めた。2022年に78歳で政界を引退。以後はフリージャーナリストとして講演活動などを行っている。

その真山氏がこの度、ナレーターを務めたのは、4月17日から公開される映画「残されたヘッドライン」。制作はキグー社、監督は平野貴之氏による。制作サイドはこの度、明治、大正、昭和にかけての、100時間以上に上る膨大な記録映像、ニュース映像を入手。その中から、文明開化、日露戦争、南極探検隊、関東大震災、第二次世界大戦と神風特攻隊、そして戦後の復興と国鉄三大ミステリー事件などの貴重な映像を厳選し、真山氏の解説に乗せて、時代を振り返っているのだ。
丸丸2日、8時間
「約1時間半の映画ですが、ナレーションを入れるのに8時間もかかった。途中で息が切れてしまって、丸丸2日間使ってしまいました」
と笑うのは、当の真山さん。
「テレビの世界で仕事をしてきましたが、映画の制作の現場は初めて。この年になりますが、新しいことに挑戦できて、大変刺激を受けました。実はこれまではナレーションの仕事に憧れていたんです。有名なナレーターさんや名優のナレーションを聞いて、自分もああいうものが出来たらな、いつかはやってみたいと思っていました。その意味では夢がかなったのですが、しかし、いざやってみると、やはり難しい。感情を入れたり、逆に淡々と説明したり、その加減が非常に難しかったです」
平野監督は起用のきっかけについて語る。
「若い人にするとか、女性にしたほうがいいとか、いろいろな考えは浮かびましたが、やはりこの作品はドキュメンタリーであり、報道なので、真山さんのお力を借りるしかないと思いました。番組制作の打ち合わせをする中で、真山さんは嘘はやめよう、簡単にネットで拾ってきたものはやめようと。一緒に勉強をさせていただきました」
初の外国人ダンサー
実は真山氏、キャスターとして著名だが、その前はバリバリの報道記者だった。警視庁や自民党、外務省を担当し、ニューヨーク特派員も務めるなど、世界を股にかけて活躍してきたのだ。
真山氏が言う。
「中でも、重要な経験となっているのは、イラン・イラク戦争、カンボジアの内戦、9・11後のアフガン戦争と、3度、現地で戦争取材をしたこと。宿泊したホテルが爆撃にあったり、地雷原に踏み入ってしまい動けなくなったり、山岳地帯でゲリラに捕まりカラシニコフで撃たれそうになったりと、九死に一生を得たこともありました。私にとって、戦争とは何か、ということは重要なテーマ。戦後80年を迎え、戦争を知らない世代も多くなっていますが、今の日本の繁栄があるのは、そうした戦争の時代、苦難の時代を乗り越えたからこそ。それをこの映画を通じて訴えたいです。今もイランやウクライナでは戦争が続いていますが、あのような時代は日本にもあった。そのことを貴重な映像を通じ、若い世代の人にわかっていただきたいですね」
こうした戦争や大事件のVTRも迫真に迫るが、映画の白眉と言えるのは、戦後の日本社会の混乱期の文化、そして「暗部」とも取られる事象について貴重映像を紹介しながら放映したことだ。
例えば、敗戦直後、キャバレーや劇場で生きた蛇を身体に巻き付けて踊り、大きな話題と人気を集めた「小夜(さや)れい子」という伝説のダンサーがいる。20代で早世した彼女と思われる女性が、その「スネークショー」を見せる映像は、日本で唯一残るものかもしれないというから希少な資料だ。また、日本初の「外国人ダンサー」として人気を博したミス・アンドレア嬢と思われる映像、そして、昭和31年の売防法制定後、売春Gメンと娼婦たちとの間で行われた取り締まりの生生しい様子など、88分の中には、テレビでは決して見られない映像がある。
置き去りにされたもの
「歴史上、誰もが知る事件事故だけではなくて、この映画の中には、置き去りにされた、忘れ去られた人々の生き様も描かれている。こうした存在についても、もう一度、思いを向けてほしいと思います」(真山氏)
映画は池袋や有楽町、横浜などの映画館で17日から公開される。真山氏は舞台挨拶にも立つという。
「若い人にとっては、昭和というのは、レトロな時代、ノスタルジーの中の世界にある時代かもしれません。しかし、実際にそこには現在の私たちに繋がる人々がいて、必死に生きてきた暮らしがあった。ぜひその姿を見ていただきたいと思います」
デイリー新潮編集部
