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自分で産んだ赤ちゃんの遺体を切断し、勤務先の冷凍庫などに遺棄したとして、死体損壊と死体遺棄の罪に問われた女性(22)に対し、東京地裁(青木美佳裁判官)は3月23日、拘禁刑2年、保護観察付き執行猶予3年(求刑:拘禁刑2年)の判決を言い渡した。

2025年3月には、全国で2カ所目となる「赤ちゃんポスト」が東京都内に設置されたが、女性はその直前に出産していた。その後も誰にも相談できないまま、事件が発覚した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●頭部は冷凍庫へ、胴体はゴミに遺棄

判決によると、被告人の女性は2025年3月3日ごろに赤ちゃんを出産。同月6日ごろ、東京都墨田区のホテルで赤ちゃんの遺体をカッターナイフで切断した。

その後、勤務先の風俗店(墨田区)の待機所で、ビニール袋に入れた赤ちゃんの胴体や太ももなどをゴミに捨てた。

さらに、紙皿とビニール袋で包んだ頭部や、タッパー容器に入れた膝から下の両足などを待機所の冷凍庫に入れて隠したという。

裁判官「ひとりよがりだった」と指摘

判決によると、女性は一人で出産した後、赤ちゃんの体が冷たくなっているのに気づいたが、「できる限り自分の手元に置いておきたい」と考え、遺体を切断するなどの行為に及んだという。

こうした犯行について、青木裁判官は「死者に対する一般的な宗教的感情や敬けん感情を害する程度には大きいものがあった」と指摘。そのうえで「ひとりよがりであったとの誹(そし)りを免れない」と述べた。

一方で、女性が犯行を認め、事件に至る経緯や状況を詳細に明かしたことや、疎遠になっていた母親との交流が今回の事件をきっかけに再開したことなどを考慮。

刑務所に収容するのではなく、刑の執行を猶予したうえで、その間に保護司などの指導・監督を受ける「保護観察」を通して立ち直りの機会を与えるのが相当だと結論づけた。

●少しずつ広がる「赤ちゃんポスト

生まれたばかりの赤ちゃんが殺されたり、遺棄されたりする事件は全国で起きており、産んだ母親が逮捕・起訴されるケースも少なくない。

背景には、望まない妊娠に直面した女性が、誰にも相談できないまま出産に至る「孤立出産」の問題がある。

こうした事件を防ぎ、母子の命を救うため、親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト」の取り組みは日本でも少しずつ広がっている。

最初に取り組みを始めたのは熊本市の慈恵病院で、「こうのとりのゆりかご」という名称で運営されている。

2025年3月末には、東京都墨田区の賛育会病院が「ベビーバスケット」として活動を始めた。

また、大阪では、国内3カ所目となる赤ちゃんポストとして、泉佐野市が行政として初めて取り組もうとしている。

●事件現場からポストまで徒歩約20分

今回有罪判決を受けた女性は、東京都内に初めて赤ちゃんポストが設置される約20日前に出産していた。

事件現場となったホテルや風俗店の待機所から、赤ちゃんポストがある病院までは、歩いて20分ほどの距離だった。

しかし、女性は出産後もSOSを発することができないまま、我が子の遺体を切断して隠すという行動に至った。