「ストロング缶5本」を“失神するまで飲む”。「辛い現実から逃げたかった」20代男性が回顧する“狂った日常”
◆「裁量労働制」に歓喜しつつ、ビデボに泊まる夜も
仕事の苦痛から逃れるために、酒を飲んでいたわけだが、4年も経つと、ようやく記事の作り方のコツを掴み、それなりに「使える」編集者になったため、自分を卑下することはなくなったが、その分、仕事量が増えた。ただ、それが「期待されている」という気持ちに変わり、ますます仕事に生き甲斐を感じて、グビグビと酒も飲んだ。
しかし、世界が大きく変わる出来事が発生する。新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大だ。
筆者のいた月刊誌も本来は東京五輪があることから、2020年は夏に1号休みになるという話だったのだが、緊急事態宣言が発令されて以降、流通網が機能しなくなったため、なんだかんだで2カ月に1回の発行になってしまった。隔月誌である。さすがに、それを聞いた日はショックでストロング系をもう1本追加で飲んだ。翌日は吐いた。
そして、刊行ペースも変われば、働き方も変わる。出社をできるだけ避けるようにして、テレワークということで家で仕事をすることになった。
「便利な時代になったぞ! 自分のペース配分で働き放題だ」
それにしても、若手社員の出社時間の30分前に出社してゴミ捨てをする、会議での板書、飲み会の幹事、電話応対、大きな声での挨拶といった文化が「人事評価」の軸にならなくなったのは革新的だったと思う。
そんな中、筆者は出社時間を気にすることなく、深酒をしてもゆっくりと起きられるようになったため、かなりストレスは緩和された。
ただ、その分本当に朝起きられなくなったため、月1回の10時30分から行われるオンラインの全体会議の前日は、家の近くのビデオボックスに泊まるようにした。店員にモーニングコールしてもらい、ふらつきながら家に帰って何事もなかったかのように会議に参加していた。
当然、そのビデオボックスには筆者が飲み干したストロング系の缶が5本も置いてあったため、清掃に入った店員は引いてしまっただろう。「こうはなりたくない」と思っていた漫画喫茶の大人に筆者もなりかけていたのだ。
編集者は裁量労働制ということもあり、昼から仕事を始めても成果物さえ出せばいいという理由で、深夜にストロング系を飲みながら、せっせと事務仕事をこなした。原稿もやはり大学生の頃感じたように、酒を飲みながらのほうが上手に書ける気がした。
そのため、ストロング系を5本飲み切って倒れるまで、原稿を書いていたところ、それはそれで集中していることから、目が冴えてしまい、朝の4〜5時まで仕事に熱中していた。
本来であれば翌日送るためのメールも下書きを書いて、翌日問題ないか精査して送ろうと思ったが、さすがに3時を回るともう泥酔状態でビジネスメールを書くと、もう文面がグチャグチャになってしまうため、それはやめた。
◆使命感にかられ、「闇居酒屋」を行脚
こうして緊急事態宣言から2カ月くらいは家に引きこもり、夜になってからストロング系と弁当をコンビニか牛丼屋に買いに行くためだけに、少しだけ外に出ていくという生活を送っていた。
7月になって、外出規制が緩和され、少しは出社する必要が出てきたのだが、2カ月も日の光を浴びていないと、直射日光に耐えられなくなった。これは不摂生な生活だけではなく、季節によるものだが、駅に向かうまでにぜいぜい言うようになった。
しかも、まだまだ新型コロナウイルスは猛威を振るっている。汗を吹き出しながらマスクをして、外を歩いていると周囲から「あの人、ヤバいんじゃないの?」と不安がられた。心配しないでほしい。コロナではなくアルコール依存症である。

