泣き崩れる平野流佳に歩み寄った豪銀メダル選手に拍手を 敗れて示した一流の所以「人生そんなに悪くないぜって」【冬季五輪】

試合が終わればノーサイド。ジェームズはその精神を見せた(C)Getty Images
現地時間2月13日に行われたスノーボード男子ハーフパイプ決勝は、戸塚優斗が金メダルに輝き、山田琉聖が銅メダルを獲得。列島も早朝から大きく沸き立った。
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日本勢の躍進が目立った同種目にあって人目をはばからずに涙したのは、2大会連続出場の平野流佳。3度の試技で「スイッチバックサイドダブルコーク1440」など高難度の技を成功させ、最高91.00を記録したが、3位に入った山田には1点差で及ばず。試合後は泣き崩れ、動けなくなった。
悔しさを押し殺せなかった24歳の日本人ボーダーを慰めたのは、銀メダルを手にしたスコッティ・ジェームズだった。戸塚に1.50点だけ及ばなかった名手は、表彰式後のフォトセッションから姿を消したかと思えば、号泣する流佳の下へ歩み寄り、背中をさすりながら、励ましの言葉をかけ続けた。
自らも3度目の五輪で金メダルを手に出来なかった悔しさがあるに違いない。それだけ会心のランは披露していた。それでも表彰台に立てなかったライバルを気遣ったジェームズの姿勢は大きな感動と称賛を集めている。
X上でも「『日本の選手に冷たい』って言われてたの完全に誤解だった」や「ジェームズこそ勝者」とコメントが相次いだ。そんなジェームズは、試合後に豪メディア『news.com.au』で「皆さんのために何かを成し遂げられなくて申し訳ない。でも、僕はこれからも頑張り続ける」と断言。そして、「正直、泣きそうにはなっていた」と胸の内を打ち明けている。
「今も少し涙をこらえてる。みんなのため、家族のため、そして友人のために、本当に勝ちたかったから……。オリンピックのメダルを獲得したのに謝るってのは、馬鹿げているように聞こえるかもしれない。でも、僕は自分の気持ちを包み隠さずに話したい。今夜自分が何を望んでいたかを隠すつもりはない」
やはり悔しさはあった。それでも流佳を支えるなど気丈に振る舞った31歳は「何があっても明日には太陽が昇る。それに明日は息子が僕を必要とする。彼にとって僕の首にどんな勲章がかかっているかなんて、関係ないからね」とつぶやき、こうも続けている。
「過去の自分になってメッセージを送りたいかって? 『笑顔を浮かべながら、ビールでも飲んでこいよ。人生そんなに悪くないぜ』って言うと思うよ」
最後の最後までリスペクトに溢れた態度を示し続けたジェームズ。その“パフォーマンス”は、まさしく一流だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
