座談会のメンバーは冷たい蕎麦を担当したライター本郷明美&肥田木奈々、辛い麺系を担当した菜々山いく子、うどん担当の編集・戎誠輝、蕎麦と辛い麺担当の編集・武内慎司の5人。各自が取材で感じた今夏おすすめしたい麺の魅力と楽しみ方、そして激辛の対処法まで語ります!

冷たい味と辛い味どっちがお好き?

本「はい質問です。暑い夏、冷たいものと辛いもの、どちらを好んで食べますか?」

肥「絶対冷たいもの!今回冷たい蕎麦を担当して改めて感じたけど、冷やかけの清涼感あふれるおいしさといったら。外の蒸し暑さを忘れさせるのはもちろん、蕎麦前を楽しんだ後、お酒でほてった舌にひやっと冷たいそれで〆ればもう極楽極楽よ。そもそも私、辛いの苦手だもん」

武「そうか、人生自体が世知辛いですもんねえ。ははっ、ウマいこと言うなぁオレ。最近、絶好調かも♪」

肥「ふうん。つい先日、今まで一度もメディア取材を受けてない蕎麦屋さんに『ボクを初めての男にしてくれませんか!』とすがりついて速攻で断られてたけど(笑)?」

武「え、ええっと、そんなことより辛い麺ですよ!サウナと同じような効果があるというのでしょうか、食べた後にスッキリするのがいい。当然、大量に発汗するのでタオル持参でリサーチ&取材しました。ねえ菜々山さん」

菜「あのねー、アナタなぜか辛いモノ特集の担当に私を指名してくるんだけどさ、そんなに得意じゃないから!汗と涙と鼻水流しながら食べている姿見て日頃の仕返しをしてる気分になってない!?」

武「あ、バレました?菜々山さんの涙なんて辛い麺の前でしか見られませんから〜」

戎「まあ冷たい麺と辛い麺、どちらも夏に食べたい定番。気分で選ぶといいですね!」

本「上手くまとめましたね(笑)。私も今回は冷たい麺の魅力に目覚めたなぁ。いわゆるいつもの蕎麦特集のように専門店ばかりではないけど、蕎麦にさまざまな工夫があって、ツユや味付けとよく調和しておいしかった!」

肥「そうそう、バリエーションの自由さも楽しいよね。『ありまさ』の『冷やし梅ごまそば』は具だくさんで栄養も考えられているし、『七つ海堂』の『冷やし花巻』は器一面の海苔に思わず店主の顔を3度見したもん(笑)。日頃はせいろ一択だったけど、今後はいろいろ冒険しようと思った。夏限定の味を出す店も多いしね」

『そば・料理ありまさ』夏限定冷やし梅ごまそば1200円

『そば・料理ありまさ』夏限定 冷やし梅ごまそば 1200円 冷やし中華のような盛り付けも楽しい。甘酸っぱいハチミツ風味の梅干しがゴマダレと合う。提供は7月末まで

武「さっきの汗うんぬんの辛い麺も担当していて何なんですけど、冷たい蕎麦は汗をかかないというだけでもうれしいのに、キュッと締まった蕎麦、味わい深く清涼感あるツユ、夏らしいトッピングが奏でる味わいが何とも旨かった。夏だけといわず、通年出してくれればいいのに……」

『月心』の冷かけすだちの素晴らしさ

肥「うん、特に冷やかけはそう思った。凛とした蕎麦ののど越しは損なわず、かけと同じツユの繊細な旨みも味わえる。せいろとかけの良さを両方楽しめるというのかな。中でも『月心』の『冷かけすだち』は素晴らしかった。極薄すだちを蕎麦と一緒に味わえるのも楽しくて、かなりの量が乗ってるけど全部食べちゃう人もいるんだって」

本「専門店ではないからこそのオリジナリティが楽しかったのは『nichi nichi』。蛤ダシのツユなんです。まぜ蕎麦に使う“真鯛節”もおいしい!」

『nichi nichi(にちにち)』蛤出汁、生ノリ粗挽き蕎麦1300円

『nichi nichi(にちにち)』蛤出汁、生ノリ粗挽き蕎麦 1300円 蕎麦は粗挽き、七三の割合。ダシは飲み干せる旨さ

菜「ご当地の蕎麦も取材してたよね、どうだった?」

本「山形の『肉そば』を提供する『みたて』はオーナーさんの『故郷に貢献したい』という気持ちも素敵で。蕎麦も製麺所と共に試行錯誤で作り上げたというだけあって、かなり太めなのにスープによく絡んでびっくり。『和み』は会津山都町発祥という『水そば』。氷水に入った蕎麦なんですけど、まず何も付けず、そしてツユに付ける前に塩や蕎麦味噌を乗せて食べるのも美味でした」

肥「へえ、でも何で氷水に入れるようになったんだろ」

本「店主の話では……ある店のまかないで、茹でてから時間が経った蕎麦が引き締まるよう氷水に入れて食べていたそうです。それを見たお客さんが『同じようにして食べたい』と要望したことで生まれたとか(諸説あり)」

戎「うどんもご当地系でいい店ありましたよ。埼玉在住うどんLOVERの僕としては武蔵野うどん推し。『麦といっぽ』は過去に紹介した埼玉県川島町『本手打うどん庄司』のグループ店なんですが、その川島町のご当地うどん『すったて』が東京で食べられるんです。群馬『ひもかわうどん桐生』も口の中がうどんで覆い尽くされるのがたまりません!」

『武蔵野うどん麦といっぽ』すったて(冷や汁)うどん1050円

『武蔵野うどん 麦といっぽ』すったて(冷や汁)うどん 1050円 農家が採れたての野菜を薬味に、暑い夏にスッと食べれるようにしたのが始まりとか

菜「気合い入ってる(笑)」

戎「そりゃそうです、久々のうどん担当でテンション上がりまくり♪掲載店のほぼ全店リサーチ&食べました!」

楽しみ方いろいろ、最近のうどん事情

武「うどん店って最近また増えてますよね。しかも個性的な店が多い気がする」

戎「中でも衝撃だったのが『hanon』。つるっとなめらか、かつ絶妙なモチモチさは他にはない唯一無二感。実は今回、せいろの店は入れないつもりだったんですが、どうしても紹介したくて掲載しました。内装もうどん店とは思えぬようなオシャレな雰囲気で、天ぷらや一品料理、お酒も充実しているので飲み過ぎ注意(笑)!」

『hanon(ハノン)』天麩羅せいろ2500円

『hanon(ハノン)』天麩羅せいろ 2500円 つけ汁はダシもきれいに効いていて、モチッとした麺を潜らせのど越しを味わえば官能的とも言えるおいしさ

本「なるほど!蕎麦前もいいけど、うどん前も魅力ですねえ。ひと味違う店がもっと増えればいいな」

戎「ひやかけなら都内のうどん店ではあまり見ないアゴダシを使った『日日うどん』もおすすめです。そもそもひやかけって讃岐の文化でイリコダシが普通なんですが、アゴダシは旨みとコクが強いけどスッキリして重くない。うどんは製麺所に特注したもので、イマドキのモチモチした食感。アゴダシとの相性も抜群でした」

肥「うどん専門店って自家製麺が多い印象だけど?」

戎「そう、理想の麺を求めるあまり、何軒もの製麺所から断られたとか。その苦労があるだけに『うちをきっかけに製麺所のうどんを扱う店が増えたら』とオーナーもおっしゃっていました。今後は製麺所とタッグを組んでおいしいうどんを提供する店が増えるかもしれませんね」

本「ところで担々麺&辛い麺チームはどのくらいの辛さレベルの店を探したの?」

武「僕のような特異な舌に合わせていると激辛麺ばかりになってしまうので、食べやすい辛さを選んだつもり。その中で幅は設けましたが」

完成度の高い担々麺

菜「完成度の高い担々麺が『11区担担面』だね。東京って担々麺の専門店も多いし、既存の人気店もめちゃくちゃある。そんな中で見つけた名店がここ。ゴマのコクを効かせつつも胃に重くなく、ラー油の香りと辛さ、花椒の心地よい痺れが交差する旨さは圧巻だよ。しかも食券制の気軽な店だけど口水鶏とかどれも抜群。ホテル中華みたいな品のいい味なの」

『11区担担面』11区担担面汁あり1300円(パクチー+150円)

『11区担担面』11区担担面汁あり 1300円(パクチー+150円) 肉味噌をスープに混ぜればさらにコクが増す

戎「気になる!他は?」

菜「ツウな店なら『沙漠之月』。ママさんがひとりで切り盛りする小さな店なんだけど、麺は全部手打ち。しなやかなコシとラー油の複雑な辛さはこの店でしか味わえない1杯だよ。辛い麺では『味芳斎』の『牛肉麺』。昭和33年の創業時は全然売れなかったらしいけど、カラムーチョの発売をきっかけに始まった第1次激辛ブームの80年代後半頃から徐々に知名度を上げていったそう。肉は辛いけど旨みもコクもたっぷりで、すっきりしたスープや細麺によく合ってる」

武「そうなんですよね。どの店も辛さだけじゃなく、趣向を凝らした具、味、旨みがあるスープの下支えがあるからこそ『旨い!』と食べ続けられると再認識。それがないとただ辛いだけで、毎日のように食べられなかったなと」

肥「でさ、いく子ちゃんを一番泣かせたのは、どこの店の何てヤツだい(笑)?」

武「ふふっ、今回は『こうや』の『極辣麺』」

『支那そば屋こうや』極辣麺1400円

『支那そば屋 こうや』極辣麺 1400円 塩味のすっきりとした味わいにシャープな辛さがよく合う。具材は海鮮の他にも赤&緑ピーマンやレタスなどと野菜もたっぷりだ

菜「ものすっごい辛いよ(笑)。実は前から好きな味なんだよね。青唐辛子主体の突き抜けるタイプの辛さ。でも青々しい香りが爽やかで具材の海鮮とよく合うの。毎回、涙、涙、涙、そして汗、鼻水!」

肥「ひゃあ、聞いてるだけで舌がじんじんしてくるわ。私が行ける店もあるかな」

武「各店の辛さの目安を5段階で示しているのでご参考までに。『赤い壺』の『救出セット』のように辛くなった口を酸っぱい梅干しやレモンで中和という工夫はなるほどなと思った。他でも応用できそうですよ」

戎「冷たい麺で涼むもよし、辛い麺の刺激で整うもよし。まさに座談会のテーマ、麺スタイルも二刀流で今夏をおいしく乗り切りましょう!」

文/肥田木奈々、撮影/小澤晶子(ありまさ、nichi nichi)、西崎進也(麦といっぽ、こうや)、浅沼ノア(hanon)、小島昇(11区担担面)

『おとなの週末』2025年7月号

※月刊情報誌『おとなの週末』2025年7月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「辛くて美味しい東京都内の『担々麺専門店』おすすめ15選」では、舌の肥えたグルメが選んだ優良店をレポートしています。

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