鎌田は2ゴールを挙げるなど圧巻のパフォーマンスだった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本代表は6月10日、ワールドカップ・アジア最終予選の最終節で、インドネシア代表と対戦して6−0で大勝した。

 インドネシアとの質の差が出たゲームだった。通常だったらアジア2次予選で出てくるようなチームだから、これぐらいはやってもらわないといけない。喜んではいけないよ。6点では少ないくらいじゃないかな。

 前節のオーストラリア戦では、相手の守備ブロックに苦戦して0−1で敗れた。その後の試合だったから、対戦相手のレベルの違いを大きく感じた。

 多くの選手が得点を決めたなかでも、特に鎌田、遠藤、久保は貫禄があったね。若手もいるメンバーのなかで、この3人はさすがのパフォーマンスだった。

 気になったことのひとつに、テレビが選手たちの激しいサバイバルと銘打っていたけど、このインドネシア戦でワールドカップに行ける選手が決まるわけではない。選手たちがみんな一生懸命アピールをしていたのは確か。でもこの時点では、まだサバイバルではない。それが始まるのはこれからだよ。盛り上げるのはいいけど、今、サバイバルというフレーズを使うのは違う。

 そのなかで佐野兄弟も出場したし、ほかにも若い選手がいたなかで、今回サッカーに詳しくないファンが名前を覚えたプレーヤーは、そんなにいなかったと思う。それだけ大きなインパクトを残す選手はいなかった印象かな。
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 キャプテンマークを巻いて出場した久保は確かに良いプレーをしていて、大きく取り上げられていたけど、個人的には鎌田のほうがはるかに良かったと感じた。国の代表は全員がキャプテンであるべきで、ブラジルでキャプテンの役割は、あくまで陣地を決めるじゃんけんをする人。日本もみんながキャプテンシーを持つべきだと思うよ。

 ブラジルアルゼンチン、フランスなど世界の強豪国ではほとんどの選手が全員、存在感がある。「キャプテンだから存在感がある」や「キャプテンの責任感」は、日本だけで使われている言葉じゃないかと思う。

 いずれにせよ、ワールドカップまでにいかに準備ができるか。あと1年といっても、チームで集まれる機会は少ないし、時間はない。

 ここからは、本番のシミュレーションとして、強い相手と試合をしないといけない。南米やヨーロッパのように、毎試合レベルの高いチームと戦える環境がアジアにはない。だからこそ世界の強豪と肩を並べていくためにも、対戦相手選びは重要だよ。

 いろんなことを言ったけど、オーストラリア戦で負けていたこともあって、インドネシア戦の結果はある程度、ストレス解消にはなったのは間違いないね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、79歳。ブラジルサンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。