近年では株や仮想通貨の取引をオンラインで簡単に行える数多くのアプリが登場しています。しかし、こうしたアプリには麻薬である「クラック・コカイン」のような依存のリスクがあることを海外メディアのウォール・ストリート・ジャーナルが指摘しています。

More Men Are Addicted to the ‘Crack Cocaine’ of the Stock Market - WSJ

https://www.wsj.com/finance/stocks/stock-market-trading-apps-addiction-afecb07a



株や仮想通貨の取引を身近にするスマートフォンアプリは、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより増加したとされています。このようなアプリは、Uber Eatsで食品を注文したり、Amazonで商品を注文したりするのと同程度の手軽さで株や仮想通貨の取引を行えることが特徴で、スポーツ賭博アプリに近い問題があります。ウォール・ストリート・ジャーナルは「こうしたアプリのユーザーは、ドージコインなどの仮想通貨やテスラ、NVIDIAの株の取引に、アメリカンフットボールの試合結果に賭けるのと同じ類いのスリルを感じています」と述べています。

株や仮想通貨取引アプリが増加するのに伴い、2024年のアメリカ株式市場におけるS&P 500は前年から約23%の伸びを記録したほか、ビットコインの価格は一時11万ドル(約1690万円)近くにまで高騰したことも報告されています。



しかし、医師やカウンセラーによると、こうした手軽な株・仮想通貨取引により、「ギャンブルをしたい」という制御不能な衝動に取りつかれる患者が増えているとのこと。ニューヨークに拠点を置くギャンブル依存症治療施設であるセーフ・ファウンデーションで臨床ディレクターを務めるジェシカ・スタインメッツ氏は、「訪れる患者の約10%が株または仮想通貨取引に関連する依存症への助けを求めています」と述べています。スタインメッツ氏によると、2020年以前にこうした患者が来院することはなかったそうです。

また、バージニア州のギャンブル依存症治療センターであるウィリアムズビル・ウェルネスの臨床ディレクターであるリンドン・アギアル氏は「患者が訪れた際に我々は、患者のスマートフォンからただちに株取引アプリやスポーツ賭博アプリ、金融ニュースアプリを削除しています」と述べました。

専門の医師のもとを訪れた患者は、株・仮想通貨の取引を禁止されることになるわけですが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、こうした患者は重度の不安やうつ病などの離脱症状と同様の症状に苦しめられることになるそう。実際に、取引を禁止された患者は落ち着きがなくなったり、取引を行うかのようにテーブルを指で繰り返したたいたりする症状が報告されています。

このほか、近年ではアメリカの各地でギャンブル依存症の患者が一堂に会して脱依存に向けた会話を行う「ギャンブラーズ・アノニマス」にも多くの取引依存症患者が訪れるようになっています。ギャンブラーズ・アノニマスでは、株式や仮想通貨、その他の関連商品への賭けを避けるようにアドバイスしているほか、依存症が原因で企業を退職した患者には「退職金は配偶者に預けるように」と伝えています。



ギャンブラーズ・アノニマスのグループカウンセリングセッションに参加するダグ・ロイヤー氏も株取引アプリに依存していた患者のひとりで「こうしたアプリを使って大金を稼ぐのはとても簡単です。同様に、全財産を失うのもとても簡単です」と語りました。

一方、株取引アプリ・Robinhoodの広報担当者は「我々のアプリには顧客が情報に基づいた意思決定を行えるようにするための強固な保護措置があり、自身の財産を管理する責任は顧客にある」と忠告しています。