【横浜FM×DeNA対談】横浜の街を染めろ! サッカーと野球がタッグを組んだ理由
横浜をスポーツで盛り上げたい ともに“30周年記念”の2022年にコラボ企画が実現
2022年は、横浜の街にとって大きな意味を持つ1年である。
港町・横浜を代表するプロスポーツクラブのサッカーと野球。クラブ創設30周年を迎える横浜F・マリノスと、「ベイスターズ」に名前を変えて30年を迎える横浜DeNAベイスターズだ。ともに“30年”の記念すべき今年、両者が手を取り合うビッグなコラボプロジェクトが始まった。6月下旬には「I ☆ YOKOHAMA SERIES」と冠した試合がサッカーと野球の両競技で開催されることも決まっている。そこで今回のコラボの詳細について、横浜FM・マーケティング&コミュニケーション部の永井紘氏、DeNAベイスターズ・MD部の原惇子氏に話を聞いた。
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――今回、お互いに「30周年」の節目のシーズンということで、大々的なコラボ企画を行うことになったそうですが、まずは初めてのコラボに関する率直な感想をお聞かせいただけますか?
永井「きっかけを作ってくれたのは別の部署だったのですが、我々からすると一緒にやりたかったお相手でしたので、話をいただいた時はとてもうれしくて、速攻で『やりましょう!』ということになりました。何よりコラボ自体が面白そうですし、発展性があると思ったので本当に嬉しかったですね」
原「我々ベイスターズはここ数年、動員数も順調に増え、ありがたいことにたくさんのファンの方々に応援していただけるようになりました。一方で、ベイスターズファン、プロ野球ファンにしかリーチができておらず、コアファンの中の話題にとどまってしまいがちという課題が残っています。今回のようにリーグや競技を超え、F・マリノスさんと一緒に、『横浜』というキーワードのもとイベントを行うことで、いつもとは違う方々に注目していただける、何か発展的な取り組みが新たにできるのではないか、という思いでスタートしました」
――今回のコラボは、もちろんお互いに「30周年」の節目の年ということが大きいとは思うのですが、そもそも何がきっかけでコラボをすることになったのでしょうか。
原「実は今回、ベイスターズ側からお声掛けさせていただきました。コロナ禍で我々も通常の事業が思うようにできないなか、その時間を有効活用してこれまで検討することができていなかった新しい事業や取組みを検討していこう、という社内プロジェクトを10数件立上げました。その中の1つに『他業種交流』プロジェクトがあり、そこでF・マリノスさんと接点を持つことができまして、これを機に何かご一緒させていただくことができないか、という話になったことが発端です」
永井「もともとは、人事交流の話がスタートだったかなと思います。そこから、今度はグッズのコラボの話に広がり、グッズのコラボだけじゃもったいないというか、もっと大きな何かができるんじゃないかということで、マーケティングチームに話が届きました。マーケティングチームからすると、ものすごく一緒にやりたかったお相手でしたので、願ってもないチャンスでした。それでどんどん話が大きくなっていったという感じです」
原「永井さんのおっしゃるとおりで、話を進めるなかで、ちょうど今年、F・マリノスさんがクラブ創設30周年で、我々もベイスターズになってから30年という話題になり、これをキーワードに大きいことができたらいいよね、と発展し今回のコラボが動いていきました」
競技やサプライヤーの枠を超えて実現した記念ユニフォーム
――お2人から今、グッズというお話が出てきましたが、今回のコラボグッズの目玉はやはりスペシャルユニフォームでしょうか。
原「そうですね。今回、コラボ企画として何か象徴的なものを作れないかと考えた時に、リーグ、競技を超えて、共通のコンセプトのユニフォームを一緒に作り、両チームの選手に試合で着てもらいたい、という考えに至りました。初めての取り組みで、さまざまな関係者との調整を考えると、かなりハードルが高かったのですが、F・マリノスさんにもご協力をいただき、思い切ってチャレンジすることにしました」
――サプライヤーが違うので、一筋縄ではいかなったのではないでしょうか。
原「双方ともユニフォームのサプライヤーさんが違いますので、制作を進めるステップも環境も違います。そのため、両チームが同じデザインコンセプトのもと、それぞれの制作背景にのっとって、サプライヤーさん、デザイナーさんと調整をさせていただきました。その結果、同様のコンセプトをもとにしたユニフォームをそれぞれ完成させることができました。ここまで競技とサプライヤーさんを超えてご一緒させていただけたのは、本当に初めてのケースでした」
永井「ユニフォームのサプライヤーさんが違う、そして制作する時間軸も違う。そのうえで同じコンセプトのユニフォームを作るというのは、難易度としては想像以上に高かったと思います。『面白いからやろう!』と、前向きに始めましたが、このような場合、『でも難しいですよね』と、トーンダウンするケースは多いと思います。しかし、お互いにいろんな方々の協力と、制作に関わったチームのみんなの前向きなマインドがあって実現したものなので、すごく強い思いが込められたユニフォームだと思います」
――記念ユニフォームはシックなカラーとデザインのなかにピンクのラインのアクセントもあって、とてもカッコイイですね。
原「ありがとうございます。今回、“横浜”という大きな都市で、プロスポーツチームの2チームが共同でユニフォームを作るということで、普通のユニフォームを誕生させるのは面白くないという思いがありました。横浜の街並みのなかで、観戦シーン以外でも着ていただけるようなユニフォームを作れないかという考えから、共通のコンセプト制作を始めました。そこで横浜の街に馴染みやすいネイビーカラーを採用して、横浜市を象徴する市の花がバラということでイメージするピンクを差し色にするというところを、共通コンセプトにしたんです」
百貨店ジャックで6月は横浜の街が野球とサッカーで一色!?
――スペシャルユニフォーム以外にも、グッズが次々と発売されると聞いています。
原「これからどんどんいろいろなグッズを第2弾、第3弾と出す予定なのですが、まずはさきほどご紹介した、今回、選手が実際に着用するユニフォームのレプリカユニフォームがあります。それにプラスして、通常ベイスターズが応援する時にユニフォームに次ぐ、応援の必須アイテムとしてお勧めしているタオルマフラーがあるのですが、今回はF・マリノスさんとご一緒させていただくということで、スペシャルユニフォームのデザインを展開したアイテムと、やってみたかったトリコロールカラーのタオルマフラーも作らせていただきました。両チームのファンの方がそれぞれのスタジアムで掲げる画が作れたら、より一体感を醸成できるのではないかと思っています」
――ちなみに、タオルマフラーには両チームの象徴が描かれているのかなと思うのですが。
原「もともと『I ☆ YOKOHAMA』というのは、我々ベイスターズだけではなく、横浜を愛する皆さまと一緒に、より魅力的な横浜を共につくる、という思いで掲げているスローガンなんです。そこに、今回はF・マリノスさんとご一緒するということで、両チームで話をさせていただき、F・マリノスさんのモチーフであるカモメを3匹デザインさせていただきました」
――ベイスターズを象徴するスローガンと☆(星形)、そしてF・マリノスを象徴するカモメ。両チームのファンにとって、とてもうれしいデザインだと思いますが、グッズだけでなく、6月に入ってからは横浜の街にいろんなプロモーションを仕掛けているそうですね?
永井「まず、ベイスターズさんとは今回、『I ☆ YOKOHAMA SERIES』のキービジュアルを一緒に作らせていただいています。せっかく同じコンセプトのユニフォームを着用するので、選手のみなさん、両チーム5選手ずつを撮影させてもらって、両チーム共通のビジュアルを作っているところです。お互いに、シーズンが走っているなかで撮影までやるのは、これも非常に難易度の高かったですけど、両チームの関係者の方々と選手のみなさんのご協力があってできたことで、すごくカッコイイ仕上がりになっていると思うので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。広告の展開も両社が持ち合わせている媒体だったり、あるいは両社でお金を出し合ったりするという、クラブとしては初めての取り組みも実施しました。単独では、なかなかできないようなところにも、お金を出し合ったがゆえに広告を出せました。掲載はこれからですが、両者の想いがつまった広告の展開も楽しみにしていただきたいです」
――デパートのジャックのプロモーションもあると伺いました。
永井「今回、『単独のクラブではなかなか成し得ないこと』『2つのチームだからできること』をコンセプトに、お互いのスポンサーをしてくださっている商業施設、京急百貨店さんをベイスターズさんとF・マリノスのエンブレムやビジュアルでジャックということを、ご協力をいただきながらやります。おそらく、単独ですとここまではできなかったと思います。両社がタッグを組んだからこそできることなんじゃないかなと思っていますし、京急百貨店さんの協力的な姿勢にも大変助けられました。ベイスターズ、F・マリノスの力を信じていただけているからこそ、ご協力していただいたと思うので、そのご厚意にきちんと恩返しができるように、しっかりと2チームで横浜の街を盛り上げていきたいと思っています」
「I ☆ YOKOHAMA SERIES」を冠した6月下旬の試合への思い
――「I ☆ YOKOHAMA」と横浜市の小学生ともつながりをつくったそうですね。
永井「横浜市に協力をいただき、市内の小学校にチラシを配布させていただきます。私たちの根底には、『この横浜の街をスポーツの力で盛り上げたい』という思いがあるので、そのためには小学生のみなさんにも関心を持っていただきたいと思っています。小学生を、ベイスターズ、F・マリノスの試合にご招待させていただくために、両チームの情報を載せた共通のチラシを作成して小学校に配布します」
――オンライン訪問は、大変盛況だったと聞きました。
永井「中区と港北区の合計9校に申し込みをいただき、横浜F・マリノスからは水沼宏太選手、横浜DeNAベイスターズから山粼康晃投手に参加いただき、小学6年生、1000人弱のみなさんとオンラインで交流をしました。本来であれば、選手が直接学校にお邪魔したかったのですが……。しかし、オンラインのメリットもあり、より多くの方々とお話をしたり、交流ができたことは、コロナ禍の産物の1つかもしれません」
原「とてもいい交流イベントでした。そして、今回、プロモーション動画も2本作成しています」
永井「そうですね。スペシャルユニフォームを発表した際の動画と、『I ☆ YOKOHAMA SERIES』の取り組みのコンセプト動画の2つあります。スペシャルユニフォームの動画はF・マリノスが制作。コンセプト動画はベイスターズさんが制作を担いました。ユニフォーム動画に続き、6月6日に、コンセプト動画が前編をベイスターズさん、後編をF・マリノスのそれぞれ公式YouTubeで公開されました。30周年ということからも、お互い現役選手として仲川輝人選手、山粼康晃選手をはじめ、OB代表として2名ずつ、年代ごとに対談を3本行った動画も公開しています。ファンの皆さんには、楽しんでいただける作品と思っています」
――F・マリノスは6月25日のJリーグ第18節の柏レイソル戦、ベイスターズは6月28日から30日までの阪神タイガーズとの3連戦を、「I ☆ YOKOHAMA SERIES」と冠して選手たちが記念ユニフォームを着用して試合をされるそうですが、最後に改めてこの「I ☆ YOKOHAMA SERIES」への思いをお聞かせいただけますか?
永井「『I ☆ YOKOHAMA SERIES』の試合に、多くの方にスタジアムに足を運んでいただきたいのはもちろんあります。しかし、その前にそもそもプロ野球チームとJリーグチームが同じ街にあるのは当たり前のことではないと思います。横浜で育ってきた私自身も、『I ☆ YOKOHAMA SERIES』の名前の通り、横浜が大好きです。コロナ禍により世の中に変化が訪れている今だからこそ、スポーツの価値が見直されるいい機会だとも思っています。競技の枠を超えて、スポーツの力で横浜を元気にできれば! 本当にその一心です」
原「我々はスポーツをとおして横浜の街、横浜の皆さまの人生を豊かにするというテーマで今回『I ☆ YOKOHAMA SERIES』を開催させていただきますが、今現在、プロ野球やプロサッカーにあまり関心がなくても、これを機に、スポーツに注目する1つのきっかけになってくれたらいいなと思っています。いろんなところでいつもとは異なる広告ビジュアルを目にしてもらい、『何かイベントが行われるらしい』と知っていただくだけでも大きな一歩になるかなと。横浜の都市をデザインしたコラボTシャツなども作っていますので、そういうものを目にしていただいて、『横浜』をキーに、街のみなさまと何か接点を持たせていただけるきっかけになっていければなと思っています」(FOOTBALL ZONE編集部)
