ちょっとした動作を加えることで怖い思いをしないで済むことも

 卒業・就職シーズンになると、自動車教習所はどこも満杯、というのがお約束でしたが、今年はコロナ禍の影響もあってずっと満杯の状況が続いているようです。きっと、もうすぐ免許を取得して、この春から初心者ドライバーとして公道デビューします! という人も多いのではないでしょうか?

 最初はみんな、教習所で習ったことを反芻しながら、「よし、頑張るぞ!」とやる気満々、ドキドキしながらその日を迎えることと思います。若葉マークをクルマのボディに貼り付けていれば、心ある周囲のドライバーは温かく見守ってくれるはず、なのですが……。残念ながら、世間はそんなに甘くない!? すべてのドライバーが優しいかというとそうではなく、ときにはイヤな思いをしたり、ヒヤリと危険にさらされることもあるものです。

 でも、あらかじめどんな場面でイヤな思いやヒヤリ体験をしそうなのか、ということを知り、覚悟をしてから公道デビューすれば、少しはへこたれずに済むのではないでしょうか。そこで今回は、初心者ドライバーが遭遇しがちなシーンと、その対策をご紹介したいと思います。

1)合流や車線変更

 1つ目は、誰もが通過しなくてはならない「鬼門」とも言える、合流や車線変更。初心者はまだ、入るタイミングを見極めるのにも慣れていないし、「いまだ!」と思ってから操作をするのにも遅れてしまいがちなので、どうしても熟練ドライバーからすると「えっ、今?」というイラッとくるタイミングで合流してくることが多いのです。そこでビビーッとクラクションを鳴らされたり、あからさまにブロックされて入れてもらえなかったり、という洗礼を受けると、怖くなってしまって「もう2度と運転したくない」なんてことにもなってしまいます。

 でもこれはもう、何回も何回も合流や車線変更を実践して繰り返して、慣れていくしかありません。そこで、頑張ってやってみて欲しいのが、窓を開けて手を振り「入れてくださいね」と合図する方法です。もちろん、飛ばしてくる直進車を急ブレーキさせるような入り方はNGですが、だいぶ前から窓を開けて手を振っていれば、多くのドライバーは「あ、合流したいんだな」と認識し、スピードを緩めてくれると思います。

 よく、完全に無理やりな合流をしておいてサンキューハザード(ハザードランプを2〜3回点灯してありがとうの意を伝える)をする人がいますが、それよりは事前に手を振って合図する方が危険性も小さく、好印象ではないかと思います。

2)右折

 2つ目は、見通しの悪い交差点などでなかなか緊張するし大変な「右折」です。対向車線の右折レーンに大型トラックやバスなどが停まっていると、その陰に隠れてしまって直進してくる車両がいるのかどうか、なかなかわかりにくくて困るんですよね。それでモタモタしていると、後続車からビビーッと「早く行けよ」的なクラクションを鳴らされたり、行ったら行ったで直進車が予想以上の速度で迫っていて冷や汗モノだったり、この恐怖体験がトラウマになり「右折はなるべくしない道を通るようになった」なんてドライバーもいるほどです。

 こういうときは、まず慌てない、焦らない。これに尽きます。だんだん運転に慣れてくると、建物のガラスに映る様子で直進車が来ているかどうかを見極めたり、なんてこともできるようになってくるのですが、最初はとにかく安全第一。様子を見ようとジリジリと右折レーンの前に出てしまう初心者もいますが、これは危険です。この瞬間だけは、後続車がどれだけ急かしてこようと、無視。しっかりと自分の目で直進車が来ていない、行けると判断できるまでは発進しないようにしましょう。

高速道路や山道、繁華街などにも気をつけるべきポイントがある

3)狭い道や混雑した道

 3つ目は、歩行者や自転車がたくさんいる混雑した道に入ってしまったときや、対向車とのすれ違いが難しい狭い道に入ってしまったとき。これも心が折れて公道デビューがイヤになりがちなシーンです。最近はスマホのアプリでナビを設定する人も多いと思いますが、それだと最短距離を優先して、こうしたゴチャゴチャした道や狭い道を案内されがち。スマホのナビは、パッと見ただけでは道幅まではよくわからないので、入ってみたらどんどん道が狭くなって、後戻りもできなくなってしまった、と泣きベソをかくハメになることも。こうした道はぶっちゃけ、熟練ドライバーでもできれば通りたくない道なんです。

 なので対策としてはまず、ナビをセットしたら経路をあらかじめよく吟味して、細い道や商店街のような駅前の混雑した道などを通過しないかどうか、確認すること。怪しそうな道案内だったら、他のルートを再検索すべきです。

 そして、もしそれでも入ってしまったら、できるだけ速度を落として、左右の歩行者や障害物からなるべく離れて走行します。歩行者や自転車が車両に気づかず真ん中を歩いていたりしても、クラクションを鳴らすとトラブルのもとになりやすいので、気づいてくれるまで待ちましょう。電柱や看板などを引っかけないように気をつけて、着実に前進あるのみです。もし余裕があれば、最短で大きな道路に出られるルートを探しましょう。

4)高速道路や山道

 4つ目は、1秒でも速く行きたい人が多いが故に、初心者マークのクルマが邪魔者扱いされやすい、高速道路や山道。制限速度で走っていたら後ろから煽られたり嫌がらせをされたり、「どけ!」とばかりにパッシングされた、なんてこともあってイヤな思い出になりがちです。

 対策としてはまず、必ず「走行車線」を走ること。高速道路には走行車線と追越車線があることは、教習所で習ったと思いますが、実際に煽られたりパッシングをされたりすることが多いのは、追越車線を制限速度でずっと走っているクルマです。片側3車線くらいある高速道路では、いちばん左の走行車線を制限速度で走っていれば、よっぽどのことでもない限り、嫌がらせをされることはないでしょう。

 そして山道では、後ろから速い車両が来たなと思ったら、カーブやカーブの前後を避けて、直線が続く見通しのいい箇所を見つけて、左にウインカーを出して速度を緩め、追い越して行ってもらいます。なので、カーブが続く山道で運転に必死かもしれませんが、必ず定期的にバックミラーを確認して、速いクルマが来ていないかどうかをチェックしてくださいね。

5)駐車場

 5つ目は、駐車場です。自宅の駐車場やだだっ広い駐車場はなんとか停められるけど、混雑している駐車場や、初めて行った場所、入れにくいスペースなど、何度切り返してもうまく停められず、冷や汗がドバッ! なんて経験をしてしまうと、出かけるのが怖くなってしまうことも。でも、その原因のほとんどは「焦り」です。モタモタしていたら後ろに駐車待ちの列ができてしまったり、早くしろとクラクションを鳴らされたりすると、どんどんパニックになって、駐車ができなくなってしまうのです。落ち着いてゆっくり操作すれば、入れられるのに! と思いますよね。

 なのでまず、後ろからほかのクルマが来てしまったら、端に避けてハザードを点灯し、「お先にどうぞ」と行かせてしまいましょう。待っているクルマがいない状態で、自分のペースで確実に操作して駐車するようにしてくださいね。また、壁の横のスペースや、ミニバンなど大きなクルマの隣のスペースは、入れにくいので難易度がアップしてしまいます。できれば両隣が空いていたり、小さいクルマの隣のスペースをチョイスすると、スムースに駐車しやすいと思います。

 というわけで、せっかく「これから自分の運転でいろんなところに行くぞ」と胸躍らせたいた初心者ドライバーを、一瞬で恐怖に陥れ、公道デビューをあきらめるきっかけになりがちなシーンと、その対策をご紹介しました。どのシーンも心がけて欲しいのは、初心者だから迷惑をかけても許される、と思うのではなく「きっと上手くなるので、今回は協力してください」という気持ちを持つことです。熟練ドライバーだって、そうやって上手くなって来たのですから、気持ちは痛いほどわかるもの。

 誰でもそうですが、「初心者なんだから仕方ないじゃん」と開き直られると、カチンときてしまいますよね。「きっと上手くなるので、温かく見守ってください」という気持ちで、教習所の教えを胸に1つ1つ丁寧に運転すれば、乗るたびに上手くなっていくと思います。初心者ドライバーのみなさん、ぜひへこたれずにドライブを楽しんでくださいね。