都内の住宅街にある駐車場にて。手前と奥、2台並んだ車の中でそれぞれ中年男性が一人で時間を過ごしていた

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子供がオンライン授業で部屋を占拠、妻には煙たがられ……。自宅を追い出されたお父さんたちの「新たな日常」

都内の住宅街にある駐車場にて。手前と奥、2台並んだ車の中でそれぞれ中年男性が一人で時間を過ごしていた

 日本全国で緊急事態宣言は解除されたものの、世間の警戒モードが解かれることはなく、多くの会社員は在宅勤務を続けている。そんな中、街中ではある変化が起こっている。平日の昼間、マンションや一軒家の駐車場には、自家用車の中でスマホやパソコンを手に仕事に励む中年男性たちの姿が見られるのだ。目下、増殖中の「駐車場パパ」である。

「我が家は1LDKのマンションで、妻と保育園に通う子供が一人います。3月下旬から在宅勤務をしていますが、子供もいることですし、妻と話し合って私が車の中で仕事をすることになりました」

 そう語るのは東京都小平市に住むIT企業社員のAさん(44)だ。穏やかな話しぶりが特徴的なAさんは普段、千代田区内にある会社に勤務しているという。

「車内ワークをするパパ友は多いです。あるパパ友には小学生の子供が二人いるのですが、子供たちがオンライン授業のために一人一部屋使っており、パパ友が使える部屋がありません。奥さんは彼とあまり口を利いてくれないため、彼は逃げ場を求めて一日に9時間も車内で過ごすようになったんだとか。ある日、ふと隣の車を見たら、そこにも仕事をしている同じマンションのパパがいて、『皆同じなんだ』とホッとしたそうです(笑)」

 仕事をしているだけで妻から嫌な顔をされた挙げ句、自宅を追い出されて愛車に逃げ込む……それでも男性たちは、車内ワークを少しでも快適なものにしようと工夫している。小学生の娘を一人持つ、大手商社勤務のBさん(37)はこう語る。

「車内ワーク用に、700円の車載USB充電器を購入しました。ほかにも段ボールを机代わりにするなど工夫しています。注意しているのはエコノミークラス症候群。一時間に1回は車外に出て身体を伸ばしています。妻は私の食事だけ作ってくれないので、主食がカップ麺なんです。血圧が上がらないか心配です」

 将来のテレワーク化について、働き方評論家で千葉商科大学国際教養学部准教授の常見陽平氏はこう解説する。

「企業にはテレワークのための制度やツールを整備することが求められ、社会全体にはサテライトオフィスなどテレワークができる環境を増やしていくことが求められています。子供がいるなどの事情で自宅が仕事に適した環境でないのに在宅勤務を強いられてしまう会社員を減らすためにも、仕事をする場の選択肢を増やしていく必要があるでしょう」

 コロナ離婚やコロナDVが取り沙汰される中、「駐車場パパ」も今回の緊急事態で炙(あぶ)り出された社会問題の一つなのだ。

とある平日、横浜市の公園横にある駐車スペースには家族連れではなく男性一人が乗った車が多く停まっていた

1児の父でもあるAさんはこの日、仕事を終えるとそのまま車でスーパーに行き、夕食の食材を購入した

5月に入ってから「駐車場パパ」になったという東京都小平市の会社員・Aさんに、自宅の駐車場で仕事風景を見せてもらった。「静かなので集中できます。パパ友の中にも車内で仕事をしている人は多いですよ」とのこと