覚悟を決めたルノー、「良いとこ取り」を目論む日産は守勢に
日産はガバナンス不全が前会長カルロス・ゴーン被告の不正を許した要因の一つとみる。指名委等設置会社への移行はガバナンス改革の最優先事項で、実現できなければ“ポストゴーン”の新生日産をスタートできない。だが約43%の出資を受けるルノーが棄権すれば不成立になる公算が大きい。譲歩案でルノーの賛成を得たい考えだ。
一方、日産は、経営を監督する取締役会のトップである取締役会議長には、株主総会で社外取締役に選任される予定の木村JXTGHD相談役を充てる方針で最終調整を進める。取締役会副議長にはスナール氏が内定しており、議長には日本人である木村氏が就任し、ルノーとバランスを取る狙いだ。
日産は取締役会議長に社外取を充てる方針を決め、人選を進めてきた。社外取候補には木村氏のほかに、ルノーが推薦したベルナール・デルマス氏(日本ミシュランタイヤ会長)も名を連ねている。日産にとって取締役会の議長、副議長がルノー色に染められるのは避けたい事態であり、木村氏の議長就任は譲れない一線となる。
かねてルノーは日産との経営統合を目指す意向を示してきた。拒否反応を示す日産を説き伏せるため、スナール氏は日産に対する影響力の維持・向上を狙う動きを繰り返してきた。5月に取締役候補を決める際も、日産は「ルノーの権力が強くなる」とボロレ氏が入ることを嫌がったが、スナール氏が押し切った。今回、同じことが繰り返された格好だ。
委員会の委員にスナール氏とボロレ氏に向け二つのポストを用意する譲歩案により、日産の新体制人事をめぐる綱引きは「手打ちだ」と日産幹部は話した。一方、別の日産幹部は「最後までもめるかもしれないが、説得し続けるしかない」と語った。ルノーが次の要求を突き付ける可能性はゼロではない。25日まで油断できない状況が続く。
(文=後藤信之、渡辺光太)
