「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/index.html?ctg=感じて、漢字の世界。今回の漢字は「蕾」。ひとつ、またひとつ、ゆっくりと蕾が開いてゆく季節です。

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年3月2日(土)放送より)



「蕾」という字は、草かんむりの下に「雷」と書きます。

草かんむりは植物にまつわる漢字に使われる部首。

「雷」という字は、雨かんむりの下に「田んぼ」の「田」と書きますが、この「田」は「田畑」とは別の意味をもっています。

古い文字では、三つの「田」を「品物」の「品」のように並べて書いてあり、ゴロゴロと積み重なった様子を表しているといいます(畾)。

雨雲の下で起きているその現象は陰と陽、両極の間における「気」、エネルギーの移動です。

陰と陽は互いに引き合ってふれあい、やがてぐるりと位置が入れ替わります。

そのとき発生するのが「雷」。

大地をゆるがす大きな音をたて、天と地の間に稲光を描きながら、季節をすすめていくのです。

陰から陽へ、また陰へ。

一瞬にして空気を換えてしまう様子を、いにしえの人々は四角い渦巻きをぐるぐると描いて表現しました。

陰陽の気の動きを意味するこの文様は、「雷」と「文様」の「文」と書く「雷文(らいもん)」と呼ばれ、古代中国の王朝、殷・周の時代から青銅器などに記されていました。

万物を潤す雨を連れてくる雷を意味し、五穀豊穣を想起させる吉祥文様です。

「雷文」は今へと受け継がれ、例えばラーメン丼の淵をぐるりと飾っていたりします。

やがてその文様が簡略化されて「田」の字になり、雨かんむりの下に三つ重なって、その上に草かんむりをのせたのが「蕾」という漢字。

そこから、いくつも積み重なったその形が、花びらを何枚も重ねた「つぼみ」の姿を意味するようになっていきます。

ではここで、もう一度「蕾」という字を感じてみてください。

「蕾」という字には、陰と陽が回転し、位置を移そうとするエネルギーが秘められています。

それは、季節を進める莫大な力。

未来を自ら切り開くことのできる力です。

どんなに固く複雑に折り重ねられた蕾でも、機が熟せばほころんで、花が咲く。

その日を夢みて固い意志を貫いてきたあなたにも、美しい花を開く季節は必ず、やってきます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『漢字のなりたち物語』(阿辻哲次/著 講談社ことばの新書)

3月9日(土)の放送では「拝」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



----------------------------------------------------

【▷▷この記事の放送回をradikoタイムフリーで聴く◁◁】 http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7120

聴取期限 2019年3月10日(日) AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/)

※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。

----------------------------------------------------



<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/