私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「店先のガードレール問題」に続き、今回取り上げるのは近年急増中の「駅ナカコンビニ」について。街の中にある普通のコンビニと、駅構内にあるコンビニとでは、客層や売れ筋にどのような違いがあるのでしょうか。

なぜ最近「駅ナカコンビニ」が増えているのか

一昔前までは駅にある売店といえばキヨスク売店でした。しかし現在ではそれらが姿を消し、各鉄道会社と提携した大手コンビニが駅構内に出店するパターンが増えてきています。

主な鉄道会社の駅ナカへのコンビニ出店(提携)状況

・JR西日本×セブン―イレブン

・JR九州×ファミリーマート

・JR四国×セブン―イレブン

・JR北海道×セブン―イレブン

・西武鉄道×ファミリーマート

・東急電鉄×ローソン

・東武鉄道×ファミリーマート

・京浜急行×セブンイレブン

・東京メトロ×ローソン

いまや首都圏でコンビニと提携していない鉄道会社は、JR東日本・京王電鉄・小田急電鉄ぐらいでしょうか。

駅ナカ立地の特徴としては、駅構内の空きスペースでの商売となるので、一般的に店舗面積が狭くなるという制約条件があります。そのため、必然的に品揃えできる商品数が少なってしまい、お客さんからすると「商品が少ないな」「品揃えが悪いな」という印象になってしまいます。

店舗面積が小さいと倉庫(バックヤード)も狭くなります。そうなると商品在庫を十分確保するのが難しくなるので、多頻度の納品体制を構築しないと売場欠品が発生する危険性が高まります。

また「ファミチキ」等のフライヤー商品の提供が、駅ナカコンビニの場合は困難です。駅構内に換気システムを構築したり、火災防止の設備等を整えるには、多大なるコストが必要となるからです。

これら以外にも、様々な制約条件下で商売をしなければならないのが駅ナカコンビニです。王者・セブンイレブンでさえ駅ナカへの進出が遅れたのは、これらの制約条件があった影響かも知れません。

駅ナカコンビニで売れる商品とは?

駅ナカコンビニの出店メリットといえば、何と言っても客数が多い点です。駅を利用するお客さんがついでに寄ってくれるので、その来店客数は近隣にある一般的な店舗の約2倍になることもあります。

ただ、列車に乗る前に利用されるお客さんが多いということで、ゆっくりと店内で商品を選んで購入するケースが少なく、そのため客単価は低くなる傾向です。

また駅ナカコンビニでは、おにぎり・サンドイッチ・パンなどといった、片手で食べられる商品がよく売れます。逆に弁当・冷たい麺・パスタ・おでん等の販売は不振です。

実際に駅ナカコンビニを利用するお客さんを対象に、「購入した商品をどこで消費しますか?」と調査をしたところ、1位となったのが「移動中・列車の中」、2位が「学校・勤め先」という結果となったそうです。電車の中でちょっと食べる消費に合わせると片手で食べやすい商品が売れて、きちんと机の上でお箸を使って食べる商品が売れないのは納得の結果です。

駅ナカとの親和性が高そうな「Amazon Go」

このように、一般的なコンビニとは異なった客層・売れ筋を持つ駅ナカコンビニですが、今後はどのような進化を遂げていくのでしょうか。

まず伸びそうなのが、カウンターコーヒーなどのカウンター商品です。利益率が高いカウンターFF商品中心の店舗ができると、お客さんの「急いでいる」ニーズに対応できるクイックな店舗が実現できるのではないでしょうか。

昨年末、JR大阪駅の構内にできたセブンイレブンの新店舗も、そういった狙いでオープンしたものです。この店ではコーヒーやドーナツが品揃えの中心で、通常のコンビニなら定番のおにぎりやお弁当は置いていません。コーヒーの抽出時間や商品提供のスピードには、まだ一工夫が必要なようですが、高い可能性を感じます。

いっぽうで、Amazonが米国内で展開しようとしている「Amazon Go」の動向にも要注目です。ご存知の方も多いと思いますが、この「Amazon Go」とはAI(人工知能)技術をフル活用したレジが存在しない実店舗で、商品を手に取ってそのまま店を出れば、自動的に課金されるというもの。まだまだICタグのコストダウンなどの技術革新は必要ですが、これこそ「急いでいるお客さんが多い」駅ナカという立地にピッタリだと思います。

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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

出典元:まぐまぐニュース!