元日本代表MFの橋本(27番)が久保について言及。「技術がすごく高い」と称える一方で、体格面やコンビネーションを課題に挙げた。 写真:徳原隆元

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[J3第28節]FC東京U-23 1-2 長野/11月5日/駒沢
 
 バルセロナの下部組織出身の久保建英が、ついにJリーグデビューを果たした。J3・28節の長野戦で後半開始から登場し、巧みなスルーパスやドリブル突破を披露。45分間でシュートを1本も打てず、本人は「今日は(100点満点中)20点か、15点くらい」と厳しい自己評価を下したが、中村忠監督は「攻撃のアクセントを加えてくれた。初めての試合にしては、非常に良かった」と、15歳の新星を高く評価した。
 
 では、実際にピッチで対戦した選手の目には、「プレーヤー・久保建英」はどのように映ったのか。
 
 ボランチとして長野の勝利に貢献した元日本代表MFの橋本英郎は、「技術はやっぱり、すごく高いと思います。左利き独特の(ボールの)持ち方もあるし、ふたつ、3つ先を考えながらプレーしていた」と久保の能力を称える。その一方で、課題に挙げたのが『体格』と『コンビネーション』である。
 
「まだ、身体ができ上がっていない感じ。千石(廉)や夛田(凌輔)が身体をつけた状態でプレーすると、どうしても体格的な問題がある。そこで僕らが優位に立った形が多かったと思います。(中略)コンビネーションに関しても、周りがそこまで久保君のプレースタイルを分かっていたのかな、という感じはあった」
 
 橋本自身、試合中に何度か久保とマッチアップした。身長173センチ・68キロの橋本に対し、久保は167センチ・60キロ。数字上はそこまで大差はないものの、フィジカルの差を生かし、相手に自由を与えなかった。橋本は、C大阪時代に交流のある南野拓実(現ザルツブルク)との比較を交え、久保の置かれている状況を説明する。
 
「欧州(クラブ出身の)の雰囲気は感じられたか? まだ、僕らがフィジカルで抑えに行った時に、潰されていた部分がありました。南野拓実がオーストリアに行って、帰ってきてC大阪で練習した時は、やっぱり体格が大きい選手に対してやっている分、(C大阪の)CBと対峙しても倒れませんでしたし、すごく強さを感じることがあった。でも今日、(久保には)そういう部分はまだなかった。彼が上のカテゴリーでやっていれば、(南野のような)強さは出たと思いますけどね」
 コンビネーションに関しては、普段一緒に練習していない選手とのプレーには当然難しさが伴う。そのなかで年上の選手にボールを要求したり、数手先を読んで別ルートでのパス交換を思い浮かべるなど、“強心臓ぶり”を発揮したが、今後飛躍を遂げるには周囲の差サポートが不可欠だと持論を展開する。
 
「(久保はパスを)出して欲しい選手に自信を持って声を出したり、その選手からもらえない時は、違う選手から(パスを)もらおうとしていた。ただ、もう少し周りが感じて合わせてあげられれば、代わると思います。宇佐美(貴史/アウクスブルク)や家長(博昭/大宮)が出てきた時は、遠藤(保仁)がいて、プレーエリア、特徴を生かしてあげる状態を生み出していた。今日は周りがそこまでの余裕がなく、彼(久保)が引っ張らなきゃいけない状態だったかもしれない。良いシチュエーションを作ってあげることが大事ですから」
 
 橋本はG大阪時代に、宇佐美や家長といった若き才能がプロの世界に羽ばたく姿を見守ってきた。久保に才能の違いを感じたかと聞かれると、「まだ中3ですから」と前置きしたうえで、自身の見解を口した。
 
「(他の選手との違い?) うーん、いや、僕は分からなかった。宇佐美とか、家長が本当にすごかったので。彼らの場合は体格の部分も多少(優位さが)ありましたし、キックの精度とかも高かった。今日の試合だけしか、僕も見ていないので分からない」
 
 久保は自らの課題を克服し、宇佐美や家長を超える逸材になれるか。これから始まる“チャレンジ”の行方を楽しみにしたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

久保建英がFC東京U-23対AC長野パルセイロ戦でJリーグ最年少デビュー