極秘の通信監視プログラム「PRISM」を用いてNSA(アメリカ国家安全保障局)が国民の個人情報を秘密裏に収集していたことを暴露して時の人となり、2015年2月にはドキュメンタリー作品がアカデミー賞を受賞していたこともある元NSA職員のエドワード・スノーデン氏を題材にした映画「SNOWDEN(スノーデン)」の予告編が公開されています。この作品の指揮をとるのは、政府の腐敗や欺瞞を描くことで知られるオリバー・ストーン監督です。

SNOWDEN - Official Trailer - YouTube

「逃げる」



映し出されたのは香港の路地裏



「隠れる」



偵察機からの映像



「生きる」



監視の目をかいくぐって行動に移すスノーデン氏



その手にはルービックキューブが握られていますが、これは一体……?



映画「SNOWDEN」公式予告編



厳しい軍隊での訓練の様子



しかし次のシーンはベッドに横たわるスノーデン氏。「僕はいつ戻れるんだ?」



「今度やったら次は骨が粉々になるぞ」



「何か別の方法で国に尽くすほうがいい」



何かの特殊な検査が行われています。



「特殊任務部隊に入りたいと?」「はい、その通りです」



「なぜ、CIAに入ろうと?」



「我が国を世界でも類を見ない国家にする力になりたいのです」



採用試験の様子が映し出されています。



「試験に要する平均時間は5時間だ」と試験官が告げますが、スノーデン氏は順調に課題を終わらせ……



「終わりました」



「40分しか経ってないぞ」



「38分です」という言葉を聞き、驚いてスノーデン氏のほうを見る他の受験者たち。



どうやら驚異的な速さで試験を終わらせたスノーデン氏。「……何をすればいいですか?」というスノーデン氏の問いに試験官は「好きにするがいい」と返答し、スノーデン氏の組織入りが決まった瞬間。



「NSAの補佐職員、という職種らしい」



「新しい仕事のポジションが与えられたんだ」



「仕事について、何か教えてくれないの?」という女性に対し、苦笑いしながら「無理だって知ってるだろ?」と答えるスノーデン氏。



その仕事は、インターネットの監視を行うというものでした。



ニコラス・ケイジ演じる上司が「インターネットの森の中からテロリストを見つけ出せ」と指示



「事実に基づく物語」



「お前は人々を幸せにしているんだぜ」と言われ「ありがとうございます」と答えるスノーデン氏。



しかしその実態は想像とは違うものでした。同僚らしき男性が映し出したある光景。



明らかに何も知らない女性が部屋で着替えをしている様子を盗撮している映像



「一体……どうやって?」



同僚は「Googleで検索するようなもんだ。個人情報を探したり……」



「気づかれないうちにEメールや……」



「SNSなんかを見るのさ」



「どんな人でも見れるぜ」と答える同僚



国民監視の現実にぼうぜんとした表情のスノーデン氏。



舞台はNSAの建物へ。



暗闇のサーバールームのような光景。「NSAは全ての携帯電話をトラッキング(追跡)している」



「多くのアメリカ人が求めているのは『自由』ではない。『安全』だ」と監視を正しいものとする上司



このようにプライベートな時間を過ごしている人たちの行動も……



NSAが仕込んだ監視プログラムによって筒抜けになっていたというわけ。



こわばった表情で「もう何も話すな」、といわんばかりのスノーデン氏。



「政府の中では、何か間違ったことが進められている」



「僕はそれに耐えられない」



MicroSDカードをPCに挿入して……



大量のデータをコピー。



しかし、そのまま外部に持ち出そうとしても見つかって罰を受けることに。



そこで登場するのが、冒頭で登場したルービックキューブ。キューブの1つにmcroSDカードをしのばせて……



ルービックキューブで遊んでいる様子を装ってセキュリティチェックのゲートへ近づくスノーデン氏。



顔見知りのセキュリティガード



「ぽいっ」とルービックキューブを投げ、ガードに渡します。



そしてスノーデン氏はチェック機の中へ。



その時、ルービックキューブはガードの手に。



バレていないか様子を伺うスノーデン氏。



ゲートを通過したスノーデン氏はルービックキューブを再び受け取り、何食わぬ顔でデータの持ち出しに成功したというわけです。



「彼は祖国を十分に信じていた」



データを手渡すスノーデン氏。



「この中に全てが入っています」。データを渡された男性は驚くばかり。



「貴様は許可されていないプログラムにアクセスしたのだな」



「それを救うために、全てのリスクを負うことを」



「政府は俺たちがデータを握っていることに気づいている!」



スノーデン氏が逃亡先にまず選んだのが、香港。



姿を変え、逃げかくれる日々



メディアの極秘取材を受けることも。「死刑になる可能性があることも理解していますか?」



中東の一風景を映すカメラの映像。次の瞬間……



突如として大爆発。アメリカ軍が発射したミサイルがターゲットを攻撃する瞬間です。



「逃げる」





「隠れる」





「生きる」





「真実を伝えるために」



迫りつつある追っ手



「もう時間がないんだ」



「ヤツらは僕のところにやってくる」



「そして、君たち全てのところにも」



映画「SNOWDEN(スノーデン)」は2016年9月16日公開予定。実はこれまでにも2度にわたって延期が行われた作品ですが、3度目の正直となるのか気になるところです。なお、日本での公開は未定の模様



この予告編の公開に合わせ、スノーデン氏は自身のTwitterで「2分39秒の間、全てのNSA職員は仕事の手を止めた」という内容のツイートを行っています。ちなみに、スノーデン氏のアカウントの説明には「私はかつて政府のために働いていた。今は人々のために働いている」という一節が書かれています。

For two minutes and thirty nine seconds, everybody at NSA just stopped working. https://t.co/OLjCV6wkGp— Edward Snowden (@Snowden) 2016年4月27日

この作品は、2014年にオリバー・ストーン監督が映画制作権を獲得していたもの。すでに公開可能にこぎ着けていた模様ですが、前述のように複数回にわたって公開が延期されてきたという経緯があります。

Oliver Stone Options Novel by Edward Snowden's Russian Lawyer - Hollywood Reporter

http://www.hollywoodreporter.com/news/oliver-stone-options-novel-by-710699

ストーン監督は「スノーデン映画に賛同する映画スタジオが一つもない」と、厳しい状況を語っていたこともありました。

オリバー・ストーン監督「米国にはスノーデン氏映画化に賛同してくれるスタジオが一つもない」

http://jp.sputniknews.com/culture/20160312/1763296.html

日本では報じられることも少なくなり、過去のことになりつつあるスノーデン氏による告発事件ですが、アメリカでは大きな問題であり続けている模様。アメリカの国家情報長官のジェームス・クラッパー氏は「スノーデン氏のせいで暗号技術の普及が7年早くなった」と苦言ともとれる主張を行っています。

Spy Chief Complains That Edward Snowden Sped Up Spread of Encryption by 7 Years

https://theintercept.com/2016/04/25/spy-chief-complains-that-edward-snowden-sped-up-spread-of-encryption-by-7-years/

また、ネット上でテロ行為を調べる人の数も増加。Wikipediaでテロに関するページへのトラフィックが増加したことも報じられています。

Traffic to Wikipedia terrorism entries plunged after Snowden revelations, study finds | Reuters

http://www.reuters.com/article/us-wikipedia-usage-idUSKCN0XO080

また、スノーデン氏本人も2016年4月にインタビューに答え、「今では全てが監視されているので、ジャーナリストもまるでスパイのように行動しなければならない」として「インターネットは壊れている」と発言しています。

Edward Snowden: The Internet Is Broken | Popular Science

http://www.popsci.com/edward-snowden-internet-is-broken#page-12

そんなスノーデン氏はノーベル平和賞の候補者に推薦されています。しかし、授賞式が行われるノルウェーを訪れる際にアメリカ側に引き渡されないように、ノルウェー政府に対して保証を求める動きも見せています。それだけアメリカ政府からの追っ手が迫っていると言うことの裏返しなのかも。

Snowden Seeks Assurance From Norway It Won’t Extradite Him - WSJ

http://www.wsj.com/articles/snowden-seeks-assurance-from-norway-it-wont-extradite-him-1461270001

日本ではあまり知られていませんが、アメリカには高セキュリティを誇っていたメールサービス「Lavabit」がありました。しかし、このサービスはスノーデン氏による告発事件の直後に閉鎖されています。その理由は謎のままだったのですが、政府が誤って公開した情報から、FBIがLavabitに対してスノーデン氏の情報を請求していたことが判明。Lavabitは「情報公開するぐらいなら廃業する」とばかりに、サービスを停止したというのが事の真相のようです。

A Government Error Just Revealed Snowden Was the Target in the Lavabit Case | WIRED

http://www.wired.com/2016/03/government-error-just-revealed-snowden-target-lavabit-case/

さらに、スノーデン氏を捕まえるためにアメリカが秘密裏に飛行機をスコットランド上空に飛ばしていたことが判明したり……

Secret US flight flew over Scottish airspace to capture Snowden | News | The National

http://www.thenational.scot/news/secret-us-flight-flew-over-scottish-airspace-to-capture-snowden.13226

CIAがスノーデン氏を「誘拐」する計画を立てていたことも判明しています。

CIA planned rendition operation to kidnap Edward Snowden - World Socialist Web Site

https://www.wsws.org/en/articles/2016/01/30/snow-j30.html

このように、まだまだ「渦中の人物」といえるスノーデン氏の新しい映画が無事公開されるのか、気になるところです。