「GSPはなぜBJ・ペンを完封できたのか」青木真也が読み解く3つの技術とは?

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MMA 最高峰の試合と言われたジョルジュ・サンピエール(GSP)vs.BJ・ペンの一戦は、大方の予想を覆してGSPの圧勝という形に終わった。

ライト級では無類の強さを誇るもGSPと階級の壁を越えることができなかったペン。そして打・投・極のあらゆる局面でペンを圧倒したGSP。この企画では青木真也に勝敗のポイント、そしてそこに隠される技術を実演解説してもらった。

──技術解説をしてもらう前に、試合後に噴出したGSPのワセリン騒動について話を聞かせてください。僕の意見としては試合が成立している時点で、それ以上でもそれ以下でもないと思うのですが、青木選手はどう感じていますか?

青木 僕もあのまま試合が続行になった=試合が成立しているわけだから、それで終わりだと思ってます。GSPがあの試合で見せた技術は素晴らしい技術として変わらないし、凄いものは凄い。それでいいんじゃないですかね。

──分かりました。ではインタビューを進めさせてもらいます。青木選手のあの試合の率直な感想は?

青木 GSPのアメリカ的な物量作戦にBJがやられたという感じです。フィジカルを活かしてテイクダウン→パウンドを徹底するという。GSPの手堅い戦い方がハマった感じです。ただ最近のGSPを見ていると、GSP有利という気はしていました。GSPはレスリングがものすごく強くて、どんな試合でも必ず自分が上を取る。だからこの試合もGSPが上を取って、BJがガードからどう仕掛けるかだと思っていたんですが、常にGSPに先手を取られ続けてしまった。1RにGSPがBJを金網に押し込んでテイクダウンを狙い続けたじゃないですか。あの時点でGSPは物量作戦に持ち込めば勝てるという自信があったんでしょうね。

──BJのガードワークは?

青木 うーん、GSPのように寝かせて殴るを徹底されたら、ちょっとガードから仕掛けるのはキツいでしょうね。実際に自分があの時のBJと同じ状況になった時に、ガードから攻められるかと言われたら、それは分からないし、難しい部分だと思います。BJは逆にもっと密着して距離を潰すという選択肢もあったと思うのですが、GSPの抑え込み力・寝かせる力が強力でした。

──BJが簡単にパスガードを許したのも、インサイドガードから殴られてダメージが蓄積し、スタミナをロスしたからだと分析しますか?

青木 というよりも、BJがやりたいことを全てGSPに潰されていましたよね。GSPはインサイドガードでは常にBJの内側を取り続けて、BJに体を起こさせないようにして殴る。あれではBJが何かやろうとしても難しいと思います。いつもはBJが先手を取って、相手を動かしてそこを潰していくのですが、今回はそれをGSPにやられてしまったんじゃないですかね。

──BJはスタンドでもGSPのジャブでコントロールされてしまいましたが、青木選手もこの試合はGSPの完勝だと思いますか?

青木 完勝! その一言です。あまりにも強すぎてロマンがなくなりました(苦笑)。もはやGSPはエメリヤーエンコ・ヒョードルと同じで神の領域に足を踏み入れたと思いますよ。ただ僕はBJは今でも天才だと思うし、彼は今の立場にいながら一階級上のチャンピオンに挑戦したわけじゃないですか。僕はBJのそういったチャレンジする気持ちは素晴らしいと思うし、GSPに負けたからといってBJの価値は下がらない。僕の中でBJは素晴らしい選手であり、ヒーローと言える存在です。

──GSPは「何でも出来て穴がない」という漠然とした表現しか使われませんが、青木選手はどこが一番GSPの強みだと感じてますか?

青木 レスリングでしょう。極真出身で、空手家のイメージが強いですけど、試合を見ていたら打撃の選手じゃない。そこは多くの人が勘違いしてますよ。僕が思うにGSPはレスリングを軸に考えて戦っていると思うんです。だから対戦相手としてはテイクダウンの攻防で何とかする必要があるんですけど、ジョン・フィッチを簡単にテイクダウンするくらいレスリングが強いから、厄介なんですよね。策はあるけど、BJでもそれが出来ない。そういうことだと思います。ただ日本人の中で僕はそういう部分まで見えている方だと思うんですよね。他のライト級の試合を見ていても、僕は彼らと勝負しても十分に勝てるレベルにいると思うし。正直、僕はあと2年あれば総合格闘家としてGSPやBJと同じ領域にいけると思っています。【続きは、[ファイト&ライフ]2月20日発売号へ】

取材・文_中村拓己(GBR)
写真_長尾迪(試合)、北岡一浩(技術)

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フィットネススポーツ発行
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<コンテンツ>[ロングインタビュー]岡見勇信[GSP はなぜBJ ・ペンを完封できたのか?]青木真也が読み解くつの技術[MMAワールド最前線]単打&レスパワーが奏でる、リョートのKOハーモニー[マイク・タイソン、マニー・パッキャオを育てた]ボクシング界最高のトレーナーフレディ・ローチが語る、MMAのボクシング・テクニック[伊藤隆の左ミドルキック講座]左ミドルキックは回し蹴りじゃない[コスプレの陰に日拳スタイルあり]長島☆自演乙☆雄一郎、初めてテクニックを語る[Woman'sMMA Top4]藤井惠/辻結花/端貴代/MIKU、ほか