セミのブラジル人同士のヘビー級の一戦ガブリエル・ナパォン×ファブリシオ・ベルドゥム戦は、2月に決定するヘビー級新王者への挑戦権を賭けた一戦と目されている。昨年4月にミルコ・クロコップをKOし一躍名を馳せたナパォンが、英国に最上陸。一方のベルドゥムはそのミルコの寝技の師だったこともある。さらに純粋な柔術家だったナパァオンが打撃の技術向上のために一時期属していたシュートボクセに、現在はベルドゥムが属しているという因縁浅からぬ両者。ナパォンの打撃の強さが浸透したため、そのイメージ以上のストライキング・スキルを見せない限り、寝技の技術で上回るベルドゥムがやや有利な一戦と思われる。

アンダーカードで注目されるのは、やはり欧州勢ではなくPPV中継に出場する北米を本拠地にするファイターだろう。

第6試合のライトヘビー級に出場するウィルソン・ゴヘイアは、ATT所属のブラジル人ファイター。MMA戦績こそ9勝4敗と平凡に映るが、その潜在能力は極めて高い。JZ・カルバンやデニス・カーン、マルコ・アウレリオを擁するATTで、フィジカル・コーチを務めるアンドレ・ヴィニシウスによると、「天才肌特有のムラッ気がなくなり、精神的にも充実。練習嫌いもなくなり、その真価を発揮するときが来た」と絶対の自信を持ってUFCライトヘビー級タイトル戦線に送り出す。ライトヘビー級でありながら、トレーニングでは打撃+寝技でアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラを圧倒するというゴヘイア――、リョートが輝きは放ち始めたライトヘビー級で、どこまで存在感を示すことができるのか、試金石のファイトとなる。

忘れてならないのが、PPVオープニングマッチに出場するケンドール・グローブの復帰戦だ。TUF3で優勝、UFC3連勝とミドル級で確実にキャリアアップさせてきたハワイ出身の長身のファイターは、昨年8月のパトリック・コーテ戦でよもやのKO負けを喫し、足踏みを強いられている状態。その間、アンデウソン・シウバが独走していたUFCミドル級戦線にPRIDE二冠王=ダン・ヘンダーソンが割り込み、さらにはヒカルド・アルメイダ、エヴァン・タナーらが復帰し、タイトル挑戦への道が厳しい状態になってきた。ズッファにしても、ここで強いインパクトの勝利が欲しいからこそ――のグローブのPPVオープニング登用。明確な勝利が必要となる。

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