試合後にチームメートをねぎらう谷口(C)日刊ゲンダイ

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【北中米W杯 日本代表選手の恩師を総直撃】

【前編を読む】谷口彰吾〈前編〉筑波大時代に「代表に行く選手」と確信した技術・スピード・人間性(元筑波大サッカー部監督・風間八宏)

 DF谷口彰悟(ベルギー1部シントトロイデン/34歳)

 2015年に当時のハリルホジッチ監督に初招集されたが、その後は不遇の時期も続いた。森保一監督から高く評価され、22年から定着するようになった。遅咲きの代表キャリアを辿った教え子を筑波大、川崎時代の恩師・風間八宏監督(現南葛SC監督)はどう見ているか、引き続き話を聞いた──。

  ◇  ◇  ◇
 
 ──谷口選手は2022年カタールW杯アジア最終予選の後半から重要戦力となり、本大会では3バックの一角としていい働きを見せました。

「吉田麻也(LAギャラクシー)、板倉滉もしくは冨安健洋(ともにアヤックス)、谷口という3バックがベースでしたけど、3人がボールを持つと落ち着きやリズムが生まれるという前向きな効果があった。そういう日本人CBはなかなかいないですよね。森保(一)監督もさまざまなトライを繰り返して最適解を見出したのかな、という気がします」

 ──風間さんと森保さんはJリーグ開幕当初、広島でボランチコンビを組んでいました。その関係性を考えれば、いろんな情報交換があったとしてもおかしくないですね。

「僕が川崎、森保監督が広島を率いていた時から関わっている選手の話はいろいろしました。でも彰悟のことは直接的に話したことはないかな。彰悟が代表に完全定着したのは30代になってから。僕は『特別、大きく伸びた』という印象は持っていなくて、『チームに必要とされる存在になった』と見ています。サッカーの変化、監督の戦術の変化に彰悟が粘り強くついていって、適応していった結果、そこにいたということ。いい意味での彼のマイペースさがよく表れていますね」

 ──2022年で谷口選手の代表キャリアも一区切りかと思われましたが、2023年以降の第2次森保ジャパンでも継続的に使われました。

「2024年夏にカタールからベルギーへ行きましたが、『欧州で実力を示すんだ』という考えを行動に移したことが、ひとつ大きかった。本人も『欧州という新たな環境を楽しみたい』とモチベーションを高めていたはずです。30代で欧州となるとフィジカル的にも大変だろうけど、彼のパフォーマンスが落ちたところを見たことがない。今の自分に必要な鍛え方を学び、実践しているのが大きいんだと思います」

 ──2024年11月の左アキレス腱断裂の時はコンタクトは取れましたか?

「筑波大の時から見ているトレーナーのところでリハビリしていたので、様子は耳にしていました。南葛SCが練習しているグラウンドの横でトレーニングしていたことも2回くらいありました。その動きを横目で見て、『大丈夫だな』と確認できた。実際、かなり早く復帰しましたけど、その後のパフォーマンスを見ていても違和感はないですね。アキレス腱の場合、選手によっては違和感が残ったり、うまく足が動かなかったりするケースもありますけど、彰悟に関しては安心しています」

 ──2025年10月のブラジル戦もフル出場し、歴史的金星に貢献しました。

「僕は味スタには行ってませんけど、映像で見て、1人ひとりがブラジルのようなレベルの高い相手に順応できているな、と感心しましたね。前半に2失点はしたものの『ああ、やられちゃったな』と思っている選手が全くいなかった。彰悟ももちろんそのひとりでした」

「今の日本代表はオドオドする選手がいない」

 ──3月のイングランド戦はどうでしょう?

「ハリー・ケイン(バイエル・ミュンヘンFW)もいない中でもイングランドは強かったなと感じましたけど、日本も決して歯が立たないわけではなかった。自分たちが意図して勝とうとした時、やり方はあるんだと感じました。今の日本代表は全員がそれぞれ戦い方や勝ち方を考えられる集団。(これまで)強豪を敵に回した時、オドオドする選手が数人は目についたけど、今はそういう人間はいない。CB陣も高さがあるし、多少パワープレーに来られても動じないからね。板倉、冨安、伊藤洋輝(バイエルン)、町田浩樹(ホッフェンハイム)と主力級DFがこれだけケガで離脱しても力を落とさず戦えているのは、選手個々がサッカーの戦い方をよく分かっている証拠。彰悟含めて、戦術レベルの向上を感じます」

 ──風間さんは2026年北中米W杯の日本代表をどう見ていますか?

「一番難しいのは4年に一度ということ。どの選手がどういう状態で挑めるか、これがカギになりますね。ただ、日本の強みは5人メンバーを入れ替えてもチーム力を維持できること。イングランド戦で(選考外の)南野(拓実=モナコ)、久保(建英=レアル・ソシエダ)がいなくても三笘(薫=ブライトン)や伊東純也(ゲンク)がシャドウに入って攻撃を活性化させたように、いい意味で絶対的な選手がいない分、組み合わせをうまく変化させながら戦える。登録26人、5人交代もプラスに働く。相手も日本をしっかり分析してくるとは思いますけど、大きなチャンスなのは間違いないと思います」

 ──広島時代の後輩・森保監督の能力を風間さんはどう見ていますか?

「まず人間的に強いし、自分の中で吸収するのを恐れない。意外と大胆なこともやってて、複数の代表OBをコーチに据えたのもそのひとつですね。いろんな人間の意見を受け入れて、最終的にひとつの形にしていく力は本当にすごい。新しい形のリーダーだと思います」

 ──最後に谷口選手への期待は?

「彼らしく技術と頭の賢さを日本のために発揮してほしい。『日本人ってこんなふうにサッカーできるんだ』と世界を唸らせてくれればうれしいですね。彰悟はつねに冷静な統率力でチームを引っ張ってくれると思います」

(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト)

▽谷口彰悟(たにぐち・しょうご) 1991年7月15日生まれ。熊本市出身。大津高から筑波大に進み、14年に川崎入り。17年、18年のJリーグ2連覇に貢献して22年、カタールのアル・ラーヤンに移籍。24年7月にベルギー1部シントトロイデンに移籍した。15年3月、日本代表に初招集されたが、定着したのは22年以降。同年のカタールW杯では4試合すべてに出場。23年6月のエルサルバドル戦で代表初ゴールを決めた。

▽風間八宏(かざま・やひろ) 1961年10月16日生まれ。静岡市出身。静岡商高から筑波大。在学中の80年に日本代表に招集された。卒業後は日本リーグに進まずに5年間、ドイツの2部、3部リーグでプレー。89年に帰国してマツダ(現広島)に入団し、J開幕戦(93年5月16日)に日本人Jリーグゴール第1号となった。95年に現役引退。桐蔭横浜大、筑波大、川崎、名古屋で監督を歴任。23年11月、関東リーグ1部・南葛SCの監督とTDに就任した。