大きな爪痕を残してきたブンデスリーガでの2年間を経て、世代別代表でもW杯や五輪を経験したことのない日本代表MF佐野海舟(マインツ)が満を持して初の世界舞台に挑む。

 佐野に求められるのは中盤の幅広いエリアをカバーし、局面でボールを奪い切り、素早い攻撃につなげるという広範な役割。客観的には優勝候補ではない立場にある日本代表が世界トップレベルに張り合うためには欠かせないキーマンだ。

 大会初戦で対戦するオランダ代表の中盤にはMFライアン・フラーフェンベルフ(リバプール)やMFフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)といった世界的な実力者も並び、勝ち進めばさらなるスター選手たちが立ちはだかる。しかし、佐野は彼らのタレント性にも「意識することはない」とキッパリ言い切る。

「(スター選手たちの)特徴はもちろん考えてプレーするけど、優勝という目標を掲げている中で、誰が出ているからというのはあまりない」。あくまでも“世界トップ基準”を自らに求め、果敢にぶつかっていく構えだ。

 昨年10月のブラジルにも、今年3月のイングランドにも、そうやって挑んできた。「この前のイングランド戦でも自信を得られた部分もあるし、そういうところで大会を通して成長していけたらいい。得られた自信も今後に向けて大切な部分だと思うので、気負いすることなくいつも通りやれたら」。ブンデスリーガでの飛躍を助けたのも、そのチャレンジャー精神だった。

 デュエルを強みとする佐野にとって、天敵となるのは「最後まで判断を変えられる選手。自分の駆け引きだったり、そういうところを最後まで見てくる選手」。ブンデスリーガにもバイエルンやドルトムントを筆頭にそうした強みを持つ選手がいるが、彼らと戦うたびに「駆け引きの質を上げる部分、強度、全てにおいての質がもう一段階、二段階、上にならないとああいうトップレベルでは日常的にやっていけない」という危機感を持って戦ってきた。

 初戦まで10日間を切り、準備は佳境。対外試合は組まれていないが、日本代表のトレーニングでは鎌田大地や久保建英、堂安律や中村敬斗といった“駆け引き巧み”な攻撃陣とのマッチアップを通じ、所属チーム以上の基準をもって仕上げに入る。

「(日本代表は)レベルがもちろん高いし、紅白戦でももっと自分も成長できる部分がたくさんある。もっと成長して大会に向かってやっていきたい」。今夏の移籍市場ではプレミアリーグ勢からの関心も報じられている気鋭の25歳が世界のスター選手たちに食らいつく。

(取材・文 竹内達也)