クルマの窓の「くるくるハンドル」なぜ消えた?

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クルマの窓の「くるくるハンドル」なぜ消えた?

 現在新車で販売されているクルマにおいて、窓ガラスの開閉は、スイッチひとつで行う「パワーウインドウ」が標準装備される機能として定着しています。

 運転席からすべてのドアの窓を操作できる利便性は、もはや手放せない必要不可欠なものとなったと言えるでしょう。

【画像】うわぁぁ懐かしい! これが今は見ない「昔のクルマの定番装備」です!(12枚)

 しかし数十年ほど前まで時間を遡ると、窓の開閉は乗員自身の物理的な力に頼る手法が主流でした。

 その際に使用されていたのが、ドアの内張りに取り付けられたウインドウレギュレーターの操作レバー、通称「くるくるハンドル」です。

 ドアの内部には、重量のある窓ガラスを上下に昇降させるためのアームやワイヤーを用いたウインドウレギュレーターという機械装置が組み込まれています。

 かつてのクルマは、この装置のギアを人力で回してガラスを動かしていました。

 そのための持ち手がくるくるハンドルであり、とくに窓を完全に閉め切る最後の数センチでは、それなりの腕力を必要とするモデルも存在。

 昭和から平成初期にかけて、大衆車の多くはこの手回し式が基本であり、電気で動くパワーウインドウは高級車や一部の上級グレードにのみ許される特別な装備だったのです。

 その後、モーターの小型化や電子部品の製造コスト低下が進んだことで、パワーウインドウは軽自動車やコンパクトカーにも急速に普及。

 運転席から遠くの窓を自由に操作できる圧倒的な利便性や、ドアパネルから出っ張るハンドルのないすっきりとした内装デザインが好まれた結果、手動式の窓は乗用車のカタログから次々と姿を消していくことになりました。

 しかし、このくるくるハンドルが完全に絶滅したわけではありません。

 現在でも、一部のモデルや商用車、あるいは海外向けの廉価なピックアップトラックなどにおいて、手回し式の窓があえて採用され続けています。

 その主な理由と、くるくるハンドルのメリットは、製造コストの削減や車体の軽量化だけではありません。

 電気を使用しない純粋な機械式構造であるため、過酷な使用環境下での故障リスクが極めて低く、万が一車両が水没したりバッテリーが完全に上がってしまったりするような緊急事態でも、確実かつ速やかに窓を開けて脱出できるという安全上の大きな利点が存在するのです。

 こうした懐かしいくるくるハンドルの話題がSNSなどインターネット上のコミュニティで取り上げられる度に、幅広い世代から様々な反響が寄せられます。

 当時を知る世代のドライバーからは、「うおお…懐かしすぎて涙が出そう」「子どもの頃、クルマの窓はハンドルをくるくる回して開けるのが普通だったな〜」「パワーウインドウを真似してスムーズに窓を上下させる遊びが楽しかった」といった幼少期の思い出を語る声や、「真夏の炎天下にクルマを停めておくと、あのハンドルが火傷しそうなほど熱くなって、窓を開けるのが大変だった」「それも全部含めて当時のクルマの味だったんだよなあ!」など、不便さすらも良き思い出として振り返るコメントが多数。

 一方で、生まれた時からパワーウインドウしか知らない若い世代からは、「えっ、クルマの窓って人力で開けてたの?」「逆に新鮮でカッコいいかも」「エンジン切っても動かせて故障しないとか、むしろ優れてないか」という驚きの声や、アナログな操作感を新鮮に感じたという意見も見受けられます。

 指先ひとつで何でも操作できる現代の技術は確かに素晴らしいものですが、自らの手で機械と対話するように窓を開け閉めしていたアナログな時代には、今のクルマにはない独特の温もりがありました。

 ドアの内側でひっそりとドライバーを支え続けた小さなハンドルは、クルマの進化の歴史を物語る愛すべきパーツとして、これからも記憶の中でくるくると回り続けることでしょう。