陸上部のない慶應女子高から全国決勝 慶大競走部に…仲間がくれた「頑張らなきゃいけない理由」――慶大・松田冴
陸上・関東インカレで輝いた選手たち 女子1部・100メートル/慶大・松田冴(1年)
21日から4日間、カンセキスタジアムとちぎで行われた陸上の第105回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」はさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子1部・100メートルに出場した慶大の松田冴(1年)。高校時代、陸上部のない附属の慶應女子高(東京)で全国決勝まで辿り着いた異色のスプリンターは、この春から同大の競走部に。新しい環境で得られるものとは。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
仲間の応援を胸に、初の大舞台を駆け抜けた。予選9レーンから好スタートを切った松田は、中盤以降も粘り12秒36(追い風0.5メートル)の組6着でゴールした。「思い切り走ろうと思っていた。全体的にちょっと硬かったけど、明るい気持ちで挑めた」。準決勝には進めなかったものの、レース後には笑顔を見せた。
難しい環境の中でも、走り続けてきた。
陸上を始めたのは慶應義塾中1年の時。部活動に所属し、3年時の全中では7位入賞を果たした。ただ、進学した慶應女子高に陸上部はない。週に4度、クラブチームの練習に参加し、他の日は開放された競技場で自主練習を行った。
「陸上をやっている意味が分からなくなった時もある」。一時はスランプに陥るも、3年時にはインターハイに出場。高校最高峰の舞台で自己ベスト(12秒02)を記録し、24人が進めるタイムレース方式の決勝に辿り着いた。
あれから10か月。うっすら茶色くなった髪の毛にお洒落なネイル。女子大生になったスプリンターは、新たな環境に充実感を漂わせる。
「一緒に練習ができて楽しいし、速い先輩の練習を見たり、お話したり、すごく学びになる。これまでは自分の『勝ちたい』という気持ちが頑張る一番の理由だったけど、今は自然と周りが頑張らせてくれる。頑張らなきゃいけない理由を作ってくれている感じがしています」
始まったばかりの大学陸上へ思い「楽しんでできたら」
仲間と競い、高め合える環境の中で、自主性が求められる場面もある。アップや練習メニューを各自で作る際には「今まで自分で考えてきたことを活かせている」と胸を張る。環境を言い訳にせず、自らと向き合った高校時代の経験は、大きな強みになっている。
まだ始まったばかりの大学陸上。経済学部に在籍する1年生は「続ける選択をしたのも自分なので、楽しんでできたらいいなって。でも、結果が出ないと楽しくないので、大学でも結果を出して、綺麗な形で終わりたい」と4年間を思い描く。
今大会は4×100メートルリレー、4×400メートルリレーにも出場。スタンドからの大応援を受けて、1年生ながら3本のレースを走り切った。
頼もしい仲間と共に、大学陸上を満喫する。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
