東方神起は20周年のその先へ ファンと共に進化し続ける2人、約束の日産スタジアム公演を振り返って
東方神起が4月25日と26日の両日、横浜・日産スタジアムにて、日本デビュー20周年を締めくくるスペシャルライブ『東方神起 20th Anniversary LIVE IN NISSAN STADIUM ~RED OCEAN~』を開催し、2日間で13万人を動員。ファンとともに、21年目へと続く新たな一歩を踏み出した。今回は25日に行われた公演の模様をレポートする。
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東方神起が同所に立つのは2018年以来、3度目。海外アーティストとしては、自身が持つ最多記録を更新した。公演に合わせて横浜の街ともコラボキャンペーンが実施され、新横浜駅の駅ビルでは彼らの楽曲が流れていた。さらに、駅のホームに降りた瞬間から、グループカラーである赤いグッズを身に付けたファンが行列をなし、その列が会場まで続く光景は圧巻だった。
ライブはバラード曲「Small Talk」からスタート。左右の花道から登場するユンホとチャンミンを、ファンは総立ちで出迎え、会場全体が大歓声に包まれた。2人は手を振りながらさまざまな方向に視線を送り、そのたびに大きな声援がこだました。前方のメインステージへ移動すると、リフトに乗って上昇。冒頭から壮大な演出で観客を引き込んだ。
続く「Reboot」では一転、ダークでクールな世界観に。マントのフードを深く被って再登場したユンホとチャンミンは、「気合入ってるか? 盛り上がっていこう」とファンを鼓舞しながら、火花とともに激しいダンスパフォーマンスを繰り広げ、会場の熱気を一気にヒートアップさせた。
ステージ後方へ移動し、「Why?(Keep Your Head Down)」へと突入する。同曲は東方神起を代表する1曲でもあり、回転するステージと炎の演出が重なり、さらなる盛り上がりを見せた。続く「Choosey Lover」、「Special One」では、セクシーなダンスやコミカルな表情を自在に操り、LEDディスプレイの演出とも見事に調和していた。
ジャングルの映像とともに、アニマル柄のジャケットに衣装チェンジした東方神起は、「Jungle」を迫力あるダンスで披露。「Champion」ではキレのある動きに加え、高音を響かせながら観客に訴えかけるように歌い上げた。「Spinning」では手拍子を促し、会場を熱く盛り上げる。続くアップテンポの「信じるまま」では、再び会場を熱狂の渦へと巻き込んだ。
本公演は20周年記念ということもあり、歴代ダンサーたちが集結。東方神起として過去最大規模のパフォーマンスが実現したという。それぞれの個性を生かしたダンサーたちの姿からは、共に歩んできた仲間へのリスペクトも感じられた。
続いて、後方ステージからグレーのスーツに身を包んで登場したユンホとチャンミンは、バラード曲「One and Only One」をスタジアム全体に響き渡らせた。午後5時に始まったライブは徐々に夜へと移り変わり、照明が加わることで幻想的な雰囲気を生み出していた。「Time Works Wonders」では、左右に手を振る観客とともに、透き通るハーモニーが夕暮れに溶け込んでいった。
20年前にはじめてリリースされた「明日は来るから」では、2人が感極まった様子で涙ぐみながら力強く歌い上げ、会場からは大きな拍手が送られた。
トークはもちろん、すべて日本語で展開。チャンミンは「1年前の東京ドーム(前回の日本でのライブ)から何があった? 声が小さくなった?」とジョークを交えつつ、「日産(スタジアム)という素敵な場所でまた会えたことをうれしく思います。夢のようです」と率直な思いを伝えた。ユンホは公演タイトル『RED OCEAN』について、「20周年の締めくくりを、皆さんと一緒に過ごせることへの感謝の意味を込めた」と説明し、「悔いのないよう思い切って楽しもう」と呼びかけた。
8年前の日産スタジアム公演では雨の中、ワイヤーで飛行していた2人。時代は移り、今回はドローン演出へ。「We are」の掛け声に続き、オーディエンスが「T」と叫びながら一斉にT字の赤いペンライトを掲げる――すると空撮された会場は真っ赤に染まり、まさに“RED OCEAN”の光景が広がった。
チャンミンは「皆さんが僕たちを照らしてくださったおかげでここまで来られた。これからも2人でできることを続け、皆さんをもっと照らし続けていたい」と語り、「がむしゃらに進んできた20年というジカンをジッカンした」とダジャレを披露。すかさずユンホがツッコミを入れるなど、余裕のある掛け合いも東方神起の魅力だ。
ユンホは「たくさんの仲間がいて誇りに思います。自分の人生の半分以上、皆さんと一緒にいる。皆さんが僕たちのアイデンティティ」と話し、東方神起のドキュメンタリー映画『IDENTITY』の主題歌「IDENTITY」へとつなげた。2人は過去映像とともに歌詞をかみしめるように歌唱した。「Road」では赤いペンライトが波のように揺れ、紙吹雪の演出が一体感をさらに高めた。また、「どうして君を好きになってしまったんだろう?」では、イントロと同時に「待ってました!」と言わんばかりの歓喜の声が上がった。
そこから再び衣装チェンジを経て、「Survivor」へと続く。いよいよ夜になり、ペンライトの赤が一層輝きを増す。ドカーンと火花が上がる演出に続き、花道もライトで照らされ、「High time」と進む。気温も下がり、スタジアム特有の寒さが増す中で迎えた「Hot Hot Hot」。観客も飛び跳ねながら応え、寒さを吹き飛ばしていた。
「大好きだった」「IT’S TRUE IT’S HERE」とパフォーマンスを重ね、「Rising Sun」と「“O”-正・反・合」ではダイナミックなダンスを披露。ライブ後半にもかかわらず、その迫力は健在だった。そして、バラード曲「PROUD」で本編を締めくくった。
アンコールはなんと8曲。Bigeast(東方神起ファンクラブの呼称)からのリクエストソング「Heart, Mind and Soul」をアカペラでプレゼントする場面もあり、特別なひとときとなった。
「MAXIMUM」や日産スタジアムを思い浮かべてレコーディングしたという「月の裏で会いましょう」、さらに4月15日にデジタル配信されたばかりの「Share The World -RED OCEAN Ver-」では『ONE PIECE』仕様のフロートに乗って熱唱。「ウィーアー!」へと続き、「OCEAN」ではタオルを頭上で回しながら、ファンとコミュニケーションを図り、事前に呼びかけられていた“思い出のタオル”が会場を彩った。
ライブもクライマックスに入り、「Somebody To Love」では、花火が連続で打ち上がり、スタジアムはまるで花火大会のようなムードに。2人は過去最長となるであろう175メートルの花道を駆け抜けながら、歌唱し感謝の気持ちを表現した。
チャンミンは「日産スタジアムのステージにもう一度立ってみたいと本当に思っていました。正直、難しいと思っていたけど、こうして3度目のライブができて、密かに抱いていた夢が皆さんのおかげでかないました。ありがとうございます」と述べ、「僕らの歌で元気が取り戻せるんだったら、力になれるんだったら、僕の歌なんかで幸せになれるんだったら、僕なりにできる限り一生懸命がんばっていきたいなと思います。よろしくお願いします」とファンへ恩返ししたいという思いを示した。
ユンホも「集中力の問題でピンチが何カ所かあったんですけど……」と謙遜しながらも、「皆さんが目で『元気出して~』と話してくださって、おかげですごく華やかで幸せな時間を過ごせました。その最高の時間が集まって、また最高の1日になるし、その最高の1日が集まって最高の人生になると思います。それは今、ペンライトを持っている皆さんの力だと思っています。願いはかなうように、また次に会うときは元気よく笑顔で会いましょうね!」とメッセージを送った。
東方神起は、K-POPが日本で広がる以前から活動してきた。こうしてライブを見ると、こんなに日本に馴染んだ海外アーティストも珍しいのではないだろうか。その歩みは、J-POPでもK-POPでもない、“東方神起”というジャンルを確立したとも言えるのかもしれない。
ファンにとっても、この20年は格別な時間だったはずだ。紆余曲折を経てきた2人と同様に、ファンの心境もそれに通じているものがある。2人から聞く「ありがとう」にあたらめて感動をしたファンも少なくないはず。東方神起の2人だけでなく、ファンも今回の公演はそれぞれの思いを重ねる場となった。
支えてきたバンドメンバーやダンサー、スタッフへの感謝、そして“RED OCEAN”の主人公であるファンへの思いを伝えながら、これからも共に歩むことを誓った東方神起。ラストは「時ヲ止メテ」を歌い、全31曲、3時間以上にも及ぶ日産スタジアム公演は、20周年の締めくくりにふさわしい余韻を残し、幕を閉じた。
その中で筆者が個人的に印象的だったのは、会場全体が「赤」でつながっていく感覚だ。ペンライトの光はもちろんだが、それ以上に、ファン一人ひとりの時間が重なり合い、あの景色を作っているように見えた。長く応援してきた人もいれば、最近好きになった人もいるはずだが、そのすべてが同じ“RED OCEAN”の一部として存在していた。
トークや楽曲の合間に見せる2人の表情からは、20年という時間の重みと、それでも前に進み続けようとする意欲が伝わってきた。派手な演出や圧巻のパフォーマンス以上に、東方神起がここまで築いてきた関係性そのものが、本公演の核になっていたのではないかと思う。東方神起は常にパワーアップしている。その原動力が、今回、垣間見えた気がする。
20周年という節目を経て、東方神起がこれからどんな景色を見せてくれるのか。その続きを、また見届けたいと思わせるライブだった。
(文=西嶋広美)
