【図解】インド・パキスタン対立を巡る情勢

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 【ニューデリー=青木佐知子】インドとパキスタンの軍事衝突から7日で1年となった。

 核保有国同士の戦闘は4日間で停戦に至ったが、双方が無人機(ドローン)を駆使した。インドは新たな防空システムの開発を表明し、無人機の国産化を加速させた。パキスタンは米国に急接近し、外交攻勢を強めている。

 ナレンドラ・モディ印首相は7日、軍事衝突について、「テロへの確固たる対応と、国家の安全を守る揺るぎない姿勢を示した」とSNSで自賛した。停戦は維持されているが、緊張関係は続いている。

 軍事衝突では双方が大量の無人機を投入した。モディ氏は昨年8月の演説で、無人機への対応を含めた国産の多層防空システムの導入を表明した。印陸軍元幹部のガガン・バクシ氏は「安価な無人機の大量投入に対抗するため、レーザー兵器など低コストの防空システムが重要になる」と指摘する。

 パキスタンが軍備面で頼る中国は無人機の量産に強みを持つ。印空軍元幹部のアニル・チョプラ氏は昨年の軍事衝突時、「パキスタン軍の無人機1000機前後が国境を越えて侵入しようとした」と分析する。

 インドは無人機の国産化も進めている。今年4月には印陸軍が無人機関連の重点技術や行程表を公表し、官民に協力を求めた。

 印新興企業「IGディフェンス」は昨年の衝突で、自爆型無人機をインド軍に提供した。衝突後、年間数千機だった生産能力を約10万機に拡大した。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所によると、インドの昨年の軍事費は921億ドルで世界5位。これに対し、パキスタンは119億ドルだった。軍事費や兵力でインドに劣るパキスタンは、米印関係がぎくしゃくする中、対米外交の強化に奔走している。

 シャバズ・シャリフ首相はトランプ米大統領が停戦を仲介したとして称賛し、ノーベル平和賞に推すなど接近を図った。軍事衝突での功績から元帥に昇格したアシム・ムニール軍総司令官もトランプ氏と会談を重ねて信頼を得ており、米イランの停戦交渉の仲介役を果たしている。

 ◆インドとパキスタンの軍事衝突=両国が領有権を争うカシミール地方のインド支配地域で2025年4月22日に銃撃テロが起き、インド人ら26人が殺害された。印政府はパキスタン政府の関与を主張し、5月7日にパキスタン国内の「テロ拠点」などを攻撃。パキスタン側も応戦した。両国は10日に停戦に合意した。