この記事をまとめると

■ミッドナイトパープルはGT-Rを象徴するボディカラーであるが専用色ではない

■180SXやジュークやノートオーラなどにもミッドナイトパープルは設定されていた

■R35型最後の1台としてラインオフされたGT-Rもミッドナイトパープルだった

R33型GT-Rとともに誕生した「ミッドナイトパープル」

 フェラーリの「ロッソ・コルサ」、メルセデス・ベンツの「シルバーアロー」、ホンダの「チャンピオンシップホワイト」やスバルの「WRブルー」。ブランドを象徴する伝説的なボディカラーというものが存在するが、日産の「ミッドナイトパープル」も、間違いなくそのひとつに数えられるだろう。

 ミッドナイトパープル。直訳すると「真夜中の紫」。なんだか少し厨二病をこじらせたようなネーミングに感じなくもないが、GT-Rファンにとって、この色がカリスマ的な存在であることは疑いようがない。

 1995年1月、R33型スカイラインGT-Rのデビューと同時に登場したこのカラーは、「真夜中のハイウェイを駆け抜ける最高速ランナー」という、アウトローかつプレミアムなGT-Rの世界観を完璧に表現していた。

 しかし興味深いのは、この伝説のカラーが、じつはGT-R専用色ではなかったことだ。同時期の180SXやシルビア(S14型)にも、同じミッドナイトパープルが設定されていた。日産はGT-Rだけでなく、あえて当時のスポーツカーにこの色を設定することで、スポーツイメージを定着させようと目論んでいたのかもしれない。

 その後、日産はミッドナイトパープルをさらに進化させる。1999年1月のR34型GT-R発売時には、300台限定で「ミッドナイトパープルII」を設定した。これは日産が開発した「マルチフレックスカラー」と呼ばれる特殊塗装の第一弾であり、光の当たり方によって紫からダークブルー、さらにはブロンズへと変化するドラマチックな色彩であった。

 さらに2000年1月、日産は再びGT-Rに「III」へと進化したミッドナイトパープルを設定。先代の「II」よりも色の変化がさらに鮮やかになり、ブルーやシルバーの輝きが強調されたことで、光と影のコントラストが極限まで引き出された。

 1995年に誕生し、1999年と2000年にGT-Rへ設定されたことで、ミッドナイトパープルは第2世代GT-Rを象徴するカラーとしての地位を確立した。「GT-R専用色」という間違ったイメージが定着しているのも、それだけR33やR34での印象が強烈だったからにほかならない。

まだ見ぬR36型GT-Rとともに復活することを願う

 そして、日産は2013年、ミッドナイトパープルを「IV」へと進化させる。驚くべきは、その設定先だ。当時、すでにR35型へと世代交代していたGT-Rではなく、なんとコンパクトクロスオーバーのジュークに用意された特別仕様車「プレミアムパーソナライズパッケージ」の専用色として、この伝説の名を復活させたのである。

 見る角度によって青紫から赤紫、オレンジへとダイナミックに色が変化する「ミッドナイトパープルIV」は、ジュークの独創的なフォルムをより際立たせた。300台という限定枠は、あっという間に完売したという。

 さらに日産は2021年、今度は「ノート オーラ」にミッドナイトパープルを設定した。GT-R譲りの伝説的な色彩は、日常使いのコンパクトカーに纏わせても別格のオーラを放つ。妖しさ満点の紫が、単なるファミリーカーをプレミアムでスポーティなモデルへと押し上げたのである。

 そして、GT-Rへの本格的な復活は2021年に発表された特別仕様車「T-spec」で実現した。2025年モデルにおいても、ミッドナイトパープルは「Premium edition T-spec」の限定カラーとして採用されている。ちなみに、2025年8月に栃木工場からラインオフされた「最後のR35型GT-R」も、ミッドナイトパープルだったという。

 このように、ミッドナイトパープルは決してGT-R専用色ではない。しかし、この色を多くの人に印象づけたのは、紛れもなくR33とR34のGT-Rであった。そして、そのDNAを継承したR35型GT-Rの最後の1台が、そんな伝説となったボディカラーを纏っていたというのはなんとも皮肉だ。

 先日、日産の長期ビジョン発表の場で、現CEOであるエスピノーサ社長はGT-Rのカムバックを明言した。R36型として復活するGT-Rとともに、ミッドナイトパープルも復活することを願いたい。