70代の母の貯蓄が「600万円」と聞き、仕送りが必要ではと心配です。母は「年金もあるし困っていない」と言うのですが…。

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老後は、貯蓄や年金のみで生活費を賄わなければならないことがあるでしょう。貯蓄や年金が十分にある、あるいは支出がわずかに抑えられているのであれば、心配はいらないかもしれません。 一方、支出バランスに余裕がない場合、医療費や介護費など不測の事態も考えると、子どもからの仕送りが助けになるケースもあります。今回は母親の貯蓄額を考えて子どもが仕送りについて心配しているようです。 本記事では70代の一般的な貯蓄状況や医療費について、また子どもが行える支援について解説します。

70代は貯蓄600万円あれば十分?

70代が貯蓄600万円と年金で暮らしていけるかシミュレーションするうえで、まずは70代がどれほどの金融資産を保有しているか、高齢者の平均的な収支バランスはどのようなものか見ていきましょう。
 

70代の金融資産保有額の中央値は1000万円

最初に、70代の高齢者における金融資産保有状況について見ていきます。金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」による、金融資産を保有する70代の金融資産保有状況は表1の通りです。
表1

金融資産保有額 全体に対する割合(%) 100万円未満 7.0% 100~200万円未満 7.8% 200~300万円未満 6.7% 300~400万円未満 5.4% 400~500万円未満 3.0% 500~700万円未満 10.0% 700~1000万円未満 8.1% 1000~1500万円未満 12.1% 1500~2000万円未満 6.5% 2000~3000万円未満 8.4% 3000万円以上 21.8% 平均 2257万円 中央値 1000万円

出典:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を基に筆者作成
最も割合が高いのは「3000万円以上」でしたが、中央値は1000万円です。今回のケースでは貯蓄が600万円で、全体から見ると潤沢な貯蓄があるとはいえないでしょう。
ただしこれは金融資産保有世帯の中央値です。金融資産を保有していない世帯も含めた金融資産保有額の中央値は475万円となっており、600万円の貯金があれば極端に少ない水準とはいえないでしょう。
 

65歳以上単身無職世帯の収支バランスは「マイナス2万7817円」

総務省統計局の「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の単身無職世帯における非消費支出と消費支出の合計は16万1933円で、実収入は13万4116円でした。収支バランスは「マイナス2万7817円」です。
仮に今回のケースの母親が同等の収支バランスにある場合、月々のマイナス2万7817円を貯蓄から取り崩していくことになります。単純計算すると約215ヶ月(約17.9年間)は貯蓄でマイナスを補えることになります。
母親の年齢は定かではありませんが、現在70代であれば、単純計算では80代後半~90代後半まで貯蓄で不足分を補える可能性があります。
とはいえ上記のシミュレーションはあくまで平均的な収支バランスを基にしており、マイナスが大きければ貯蓄でまかなえる期間は短くなる可能性もあります。

医療費はどれくらいかかる?

日常の収支バランスとは別に、高齢者の場合は、医療費がかかるようになるため注意が必要です。
厚生労働省の国民医療費の概況(2023年)によると、70歳以上の医療費は「86万4900円」でした。75歳以上に絞ると「95万3800円」に増えます。
総数では「38万6700円」であるため、高齢者になるほど医療費は多くなっています。
なお、ここでいう医療費は国民医療費ベースの総額であり、本人の自己負担額そのものではありません。実際の負担額は、年齢や所得などによって異なりますが、この金額の推移からもわかるように、高齢になるほど医療費は増える傾向にあります。
家計について考える場合は、老化に伴う医療費や介護費など、高齢者特有の支出についても考えておくことが大切です。

子どもが高齢の親のためにできることとは

今回のケースでは、母親が金銭的支援を断っていますが、ほかの方法によりサポートできるかもしれません。
例えば以下のような方法が考えられます。
 

・お金でなく食料品や生活雑貨などを援助する
・家や車の修理など大きな支出が出そうなときに節約する方法を提案する

将来介護が必要になった際に備えて、親の意向について確認したり、介護に関する情報を集めたり、介護保険サービスの利用方法を調べたりすることもおすすめです。

金銭的支援以外にもサポート方法はある

高齢者の平均的な収支バランスを見ると、貯蓄が600万円あれば約17.9年間にわたってマイナス分を補填できる可能性があります。しかし状況はそれぞれ異なり、医療費が発生することも視野に入れると、600万円の貯蓄で余裕があるとはいえません。
もし母親が金銭的援助を受けることにためらいがあるのであれば、当面はほかの方法でサポートすることを考えられます。いずれにしても、将来について今から話し合っておくことが大切です。
 

出典

金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 単身世帯 各種分類別データ 3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省 令和5(2023)年度 国民医療費の概況 表5 年齢階級別国民医療費(6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー