コリンチャンスに加入したリンガード(中央)。(C)Getty Images

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 3月6日、サンパウロの強豪コリンチャンスが元イングランド代表MFジェシー・リンガードを獲得した。
 
 スピードを生かしたドリブル突破が持ち味で、クロスに合わせるのが上手く、ミドルシュートも得意。マンチェスター・ユナイテッドなどで長く活躍してきた33歳だ。
 
 コリンチャンスは、昨年9月にもオランダ代表CFのメンフィス・デパイ(当時30歳)を獲得している。パワーとテクニックがあり、両足から強烈なシュートを放つ。2026年W杯欧州予選で8試合に出場して8得点・4アシストを記録したバリバリの現役代表だ。
 
 この2人を含め、現在、ブラジル1部にはポルトガル人が4人、スペイン人が3人、オランダ人が2人、フランス人、イタリア人、ベルギー人、デンマーク人、スイス人、ギリシャ人が1人ずつと計15人の欧州出身選手がプレーしている。昨年は12人で史上最多だったが、それを更新した。
 
 ちなみに、ブラジル1部のクラブに在籍する外国人選手の総数は151人で、これも史上最多。国籍の内訳はアルゼンチン38人、ウルグアイ30人、コロンビア27人、パラグアイ15人などで、南米選手が大半を占める。
 
 伝統的にブラジルのクラブはソシオ(会員)が支払うスポーツクラブの会費を収入源とする非営利団体だったが、経営が非効率で経理も不透明、という欠陥があった。しかし、近年では多くのクラブがプロフットボール部門を株式会社へ再編し、国内外の投資家たちが経営権を取得してマネジメントを近代化。財政状況が好転し、選手に高給を支払えるようになった。
 
 1990年代に南米各国から選手を獲得するようになり、2010年代以降は欧州出身の選手も少しずつ増えてきた。
 
 その成功例が、2012年にリオの古豪ボタフォゴに加入した元オランダ代表MFクラレンス・セードルフ(当時36歳)である。彼は夫人がブラジル人で、以前からブラジルに親近感を抱いていた。ボタフォゴでは1年半、リーダーとしてチームを牽引し、2013年の州リーグ制覇に貢献してファンを喜ばせた。
 
 国籍を問わず、欧州のビッグクラブでプレーした有力タレントの流入も少なくない。2020年にボタフォゴが獲得した本田圭佑(当時33歳)もそのひとりだ。「ACミランで背番号10を付けた男」と喧伝され、大きな期待を集めた。
 
 ストイックに練習に取り組む姿勢は高く評価され、外国人でありながらパウロ・アウトゥオーリ監督(2006年に鹿島アントラーズ、2015年にセレッソ大阪を指揮)からキャプテンに指名された。しかし、なかなか体調が整わず、チームを牽引するようなプレーは披露できなかった。
 
 当面、ブラジルでプレーする外国人選手の数は増え続けており、欧州出身選手も増加する可能性が高い。
 
 彼らが欧州で培った高いプロ意識、インテンシティーの高いプレー、優れた戦術眼などを発揮すれば、ブラジルのフットボールにとってもプラスになるはずだ。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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