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 ◇オープン戦 阪神0―1オリックス(2026年3月22日 京セラドーム)

 阪神の開幕前最後のオープン戦は零敗に終わった。0―1と前日の裏返しである。

 好機はあった。1回表1死三塁で森下翔太、佐藤輝明が凡退した。5回表は中川勇斗が丁寧に送りバントを決めたが坂本誠志郎、代打・糸原健斗が凡退した。6回表1死二塁は佐藤輝、大山悠輔が凡退。9回表は無死一塁から代走・熊谷敬宥が勇敢に二盗を決めたが、佐藤輝、大山、木浪聖也に「あと一打」が出なかった。走者得点圏の打席で9打数無安打だった。

 好機に打てる(または打てない)のはなぜか。好機に強い打者と弱い打者の違いは何か――は昔も今も謎である。

 セイバーメトリクスにつながる野球の統計的分析の元祖、ビル・ジェームズが書いた『野球抄』に『霧を甘く見るな』と題したまえがきがある。アメリカ野球学会(SABR)誌に2004年に掲載された。

 「霧」とはデータ分析では解明できない要素を指している。ジェームズは特に、クラッチ・ヒッティング、大事な場面で打てる勝負強い打撃について<果たして存在するのか>と記している。勝負強さは時によって、よく変動するからである。

 シーズン中も「あと一打」が出ずにじりじりする状態の時や、ぽんぽんと適時打が出る状態の時がある。その要因を監督や選手たちはよく「雰囲気」だと話す。チーム内の空気に乗って打てた、あるいは沈滞ムードのなかで打てなかったというわけである。

 数字やデータには出てこない雰囲気や空気が重要なのだろう。本番を迎え、緊迫感や集中力が高まれば、この日の得点圏9打席のうち、何本かは快打が出ていたかもしれない。雰囲気とはそういうものである。

 だからだろう。オープン戦総括で監督・藤川球児は「手応えは十分」と胸を張り、「いよいよ士気を高めていく時期に入りました」と話した。

 27日、東京ドームでの開幕戦まで4日間ある。恒例の広田神社での必勝祈願を行い、選手たちが集まっての決起集会もあるだろう。ミーティングで藤川も強い言葉で鼓舞することだろう。

 確かにペナントレースは「一寸先は闇」だが、阪神にはその道を照らす光がある。若手も多く使ったオープン戦のチーム防御率は驚異的な1・44。今年も盤石の投手陣が備わった。 =敬称略=

 (編集委員)