その結果、結婚に至るケースにも偏りが生まれる。

「稀に結婚できた友人もいますが、多くは大学でできた最初の彼女とそのまま結婚を決めてしまう。恋愛コンプレックスがあるから、『この人を逃したら一生独身だ』と思い込んでしまうんです。でも、『もっと他を見ればよかった』と愚痴る既婚者の話を、嫌というほど聞いてきました」

 周囲を見渡せば未婚者が多数派。一方で、既婚者からは後悔の言葉が漏れてくる。その光景が、佐藤さんの決断をさらに先延ばしにしている。それでも、男子校という環境そのものを否定する気はない。

「生まれ変わっても、たぶんまた男子校を選ぶと思います。楽しかったという記憶はあるし、今の収入などを考えれば、きっと正しい。ただ、結婚できなかった理由を考えると、あの環境が与えた影響は大きかったですね」

 これが共学だったならば、自然に女性との接触頻度も増えて、“母の呪縛”からも解かれたか――。

◆ひとつの正解を求める高学歴ほど婚活で苦戦

 ここまで、男子校出身の2人の男性の実体験を見てきた。では、彼らが直面してきた壁は、婚活の現場ではどのように捉えられているのだろうか。結婚相談所「パートナーエージェント」を運営するタメニー株式会社の広報・平田恵さんは、次のように語る。

「男子校出身かどうか以上に影響が大きいのは、ネットの情報などを鵜呑みにして、目の前の相手を見ずに自己完結してしまう姿勢。勉強の世界では正解が用意されていて、努力すれば評価される。でも、恋愛や結婚は正解がなく、相手ありきで対応していかなくてはいけません」

 とくに高学歴層ほど、その傾向は顕著だという。

「知識は豊富なのに、いざ相手を目の前にすると、どの引き出しを開ければいいのかわからなくなる。相手と向き合うよりも、頭の中で考え続けてしまい、決断のタイミングを逃してしまうケースが多いですね」

 では、同じ男子校出身でも、成婚に至る人とそうでない人の違いはどこにあるのか。

「大きな差になるのは、自分の迷いや判断を“外に出せるかどうか”です。相談できる相手がいて、自分の考えを言語化できる人は、結果が出るのも早い。結婚は条件を当てにいくものではなく、『一緒に決めていける相手かどうか』を確かめる行為。その視点に切り替えられるかが大切です」

 失敗してもコミュニケーションを諦めない人ほど、結果につながりやすいのだ。

【タメニー株式会社広報・平田恵氏】
高校野球のリポーターなどフリーランスとして様々なメディアの現場で経験を重ね、‘16年より現職

取材・文・撮影/吉沢さりぃ 櫻井カズキ 松嶋三郎

―[高偏差値[男子校出身が結婚できない]問題]―