斎藤工が「僕は明らかに老害予備軍」と語る理由。「僕ら世代が駆逐されないと健全にならない」44歳の危機感
斎藤:僕らの世代というのは、古き良きとは言えない業界の体制が残っていました。それを「こういうもんだな」と受け入れてきた時間はあると思います。本当の意味で業界をクリーンにするなら、旧態依然を受容してしまった僕らが駆逐されないと、新しい健全さは生まれないと思います。あとはもうどうにか意識を変えていくしかない。
──意識を変える契機があったのでしょうか。
斎藤:僕はいま、年の半分は表の仕事をしつつ、もう半分は裏方の仕事にスケジュールを割り振っています。それまでは「業界たるもの」といった考えに僕も見て見ぬふりをしていた瞬間があったと思うんです。
現場での食事改善も同様で、撮影現場では数か月同じお弁当を食べ続けるのに、予算の中で一番先に削られ、栄養バランスは度外視されてしまうのはなぜだろうと思って。まずは、栄養士に相談し、納豆やお味噌汁を現場に置くことから始めました。
◆刺激を受けたのは、9歳の天才子役
──若い世代に刺激を受けた経験は?
斎藤:若い世代というか……。(※6)永尾柚乃さんなんですけどね。彼女は5歳から脚本を書いていて、しかも長編。ドラマ『誘拐の日』(テレビ朝日)で共演したよしみで台本を読ませてもらったとき、本当に驚愕しました。面白さはもちろん、内容がすごくて。少しだけお話しすると「現代人が利他の心を忘れているせいで、太陽フレアがおかしくなっている。だから利他の心を取り戻すべきだ」といった感じで、ウルトラマンのオリジナルの物語にすごく似てるんです。
◆僕ら大人が「導く」なんて、あまりにおこがましい
──すごい内容ですね……。
斎藤:「人間が人間のために作っているものとか、電力や原子力のせいで他の生態系がおかしくなっている。だから人間さえいなくなれば」といった視点をすでに持っている。そもそも「利他の心」ですからね(笑)。彼女がこれを書いたのは、確か6歳とか7歳ぐらいで、自分の幼少期と比べるとバグっちゃいますよ(苦笑)。
そういう「ハイブリッドな次世代」に対して、僕ら大人が「導く」なんていうのはあまりにおこがましい。だから「9歳なのに」というのではなく、この子の純度の高い思いを壊さずに、どう世の中へ届けられるか。そのための「風よけ」になることが、今の自分ができる役割だと思っています。彼女を見ていると、ジェネレーションギャップというより、いつも希望をもらっています。
◆僕は明らかに老害予備軍。“発酵”していきたいと思います
──斎藤さんは今後、どのような人生のフェーズに入っていきたいですか?
斎藤:僕は明らかに老害予備軍なので、その自覚を持って、腐敗ではなく“発酵”していきたいと思っています。
──その自覚はどこから?
斎藤:ええ。悲しいかな、人間って年齢やキャリアを重ねるごとに注意してくれる人が減るんですよね。そうすると、気づかないうちに、どんどんどんどん腐敗という名の老害になってしまう。だから僕は、周りにいる人たちの小さな変化を見逃さないよう、常に自分自身に対してアラートを鳴らしています。
◆老害予備軍として日々、戦々恐々
