チームが低調な中で精彩を欠く試合が少なくない堂安。(C)Getty Images

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 日本代表MF堂安律と新加入のDF小杉啓太がプレーするフランクフルトは、チャンピオンズリーグ(CL)で今季最後の試合となったホームでのトッテナム戦に0−2で敗れた。

 リーグフェーズの結果は36クラブ中33位。7節のカラバフ戦を落としたことで、プレーオフ出場の可能性も潰えた状態で臨んだこの試合は、一種独特な緊張感がスタジアムを包んでいた。

 ブンデスリーガも含めて26年の公式戦全てが3失点というディフェンス崩壊状態に、リーグ19節ホッフェンハイム戦後には、ファンから大ブーイングが起こったほど。いつも熱い応援でチームを支えるファンの気持ちを取り戻すためにも、納得してもらえるパフォーマンスを見せなければならない。

 マルクス・クレーシェSDは「フランクフルトはオフェンシブで魅力的なサッカーをするクラブだ」と常に強調しているが、ディノ・トップメラー監督を解任し、デニス・シュミット暫定監督となってからのここ数試合は、メンバー選考も含めて守備的な布陣だった。そして、このトッテナム戦はさらにディフェンシブなメンバーで臨んだ。
 
 5バックの前に守備力のある3人の中盤。ウインガーのアンスガー・クナウフとゲームメイカーのマリオ・ゲッツェの2トップではどうにもチャンスまで持ち込めない。1試合を通してチャンスらしいチャンスは2回。そしてこれだけ守備的な試合運びをしても、結局2失点を喫している。

 トップメラー前監督時は失点の多さが問題だったが、その分得点力はあった。結果として大味な試合展開が少なくはなかったものの、失点しても取り返すための設計は少なからずあった。いまは、失点を減らすことはできてもゼロにはできず、得点を狙うこともできないという状況になっている。

 それでも、シュミット暫定監督は試合後、「試合結果にはがっかりしているが、これまでの試合よりも安定感ある試合をすることができた。小さな一歩ではあるが、前進だ」と前向きなコメント。

 ミックスゾーンではクレーシェSDも「ネガティブな経験からいちばん多くのことを学ぶことができる。別の結果をイメージしていたが、いい経験になった。土曜日のレバークーゼン戦も同様の監督・コーチ陣で臨むことになる」と比較的ポジティブに振り返り、もう1試合はシュミット暫定監督が指揮を執ることを明言した。

 そんな小さな手ごたえを得たとされる試合で、すでに敗退が決定していたこともあってか、スタメンから外れることになった堂安。新監督がくるまで我慢の時を強いられそうな空気がある。
 
 この日、70分から途中出場となったが、ポジションは左ウイングバック。2度ほど1対1の場面があり、1度はファウルをもらってFKを獲得し、もう一度はグラウンダーのクロスを送ったが、クリアにあう。

 そもそも攻撃を活性化させようにも、パスがなかなか回ってこない現状は厳しい。起用法を含めて納得のいかないまま、試合は終わってしまった。

 フライブルク時代にも堂安には不調の時期があったが、そんな時に当時監督だったクリスティアン・シュトライヒは、どうすれば日本代表10番のタスクを軽減しながら、復調の足がかりをつかむことができるかを考えた起用法をしてくれていた。

 一方、フランクフルトでは、そうしたアプローチがここまでのところあまり感じさせられない。この試合だけではなく、ボールを受けられてもその後の選択肢があまりに少ない。
 
 それでいて、個でなんとか打開しようとチャレンジしても、自分のタイミングと間で仕掛けられるケースがあまりに少ないため、ロストの頻度も多くなる。そしてロスト時にボールを回収してくれる選手がいたり、チームとして準備がされているわけでもない。

 フランクフルトは10-11シーズン、前半戦を7位で折り返しながら、後半戦で恐ろしいほどの失墜で降格した歴史がある。さすがにそこまでの事態にはならないだろうが、早急に歯車のかみ合わせを修正させない限り、この失速を食い止めるのは簡単ではない。「CLは難しくとも、ヨーロッパリーグの出場権は...」と首脳陣は考えているかもしれないが。

 本当に、フランクフルトは関係者が口をそろえて言う「ビッククラブ」なのだろうか。そして堂安はこの苦難からどのように抜け出し、自身の成長へと還元させることができるだろうか。

 いままさにその真価が問われている。

取材・文●中野吉之伴

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