たった3日間お酒を飲み過ぎるだけで「腸」にダメージが生じる可能性

過度の飲酒はアルコールを分解する役割を持つ肝臓にダメージを与えることが知られていますが、肝臓と密接に関わる「腸」に及ぼす影響についてはあまり理解されていません。アメリカの研究チームがマウスを用いて行った新たな研究では、たった3日間過度な飲酒をするだけで即座に腸への悪影響が生じることが示されました。
Unraveling the gastrointestinal tract's response to alcohol binges: Neutrophil recruitment, neutrophil extracellular traps, and intestinal injury - Minchenberg - 2025 - Alcohol, Clinical and Experimental Research - Wiley Online Library

Research in Brief: How Binge Drinking Immediately Harms the Gut | Beth Israel Deaconess Medical Center
https://bidmc.org/news-stories/all-news-stories/news/2025/12/research-in-brief-how-binge-drinking-harms-the-gut
Just 3 Days of Binge Drinking Triggers Rapid Gut Damage in Mice : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/just-3-days-of-binge-drinking-triggers-rapid-gut-damage-in-mice
長らく、アルコール摂取が腸に及ぼす影響についてはよく理解されていませんでしたが、近年の研究では慢性的なアルコール摂取が腸内細菌叢(そう)の乱れに直接関連していることが示されています。
肝臓と腸は密接に関連しており、肝臓は胆汁酸や免疫分子を分泌することで大腸に情報伝達を行い、腸は微生物や食物代謝物を通じて肝機能に影響を及ぼします。このように肝臓と腸は双方向のコミュニケーション経路でつながっているため、アルコールがいずれかの臓器に影響を及ぼすと、もう一方にも影響が及ぶ可能性が高まります。

今回、アメリカのマサチューセッツ州にあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの研究チームは、マウスに3日間にわたり大量のアルコールを摂取させてその影響を調べる実験を行いました。マウスに投与されたアルコールは体重1kg当たり3.5gで、これは人間に換算するとウォッカ1本分に相当するとのこと。
アルコール摂取後のマウスを調べた結果、慢性的にアルコールを摂取したマウスとは異なり、腸に炎症は見られませんでした。しかし、短期間の過度なアルコール摂取は小腸上部に損傷を与え、免疫細胞の一種である好中球を呼び寄せることが確認されました。
腸壁に集まった好中球は好中球細胞外トラップ(NETs)という網状構造を放出し、これが腸壁上部の腸管バリアを弱めていました。腸管バリアが壊れると、腸内細菌や毒素が組織内に漏れ出すリーキーガットが引き起こされます。
リーキーガットは体内に炎症を引き起こし、腸管からの血液をろ過する肝臓にも損傷を与えます。研究チームがNETsを分解する酵素を使用してNETsを阻害したところ、腸壁に集まる好中球の数が減少し、腸内細菌の漏出も減少することが確認されたと報告されています。

なお、今回の実験は人間ではなく、あくまでマウスで行われたものである点に注意が必要です。科学系メディアのScience Alertは、「マウスの腸は人間の腸といくつかの類似点がありますが、過度の飲酒をする人間にも同じ影響があるかどうかは不明です。しかし、慢性的なアルコール摂取はリーキーガットと関連付けられています」と指摘しています。
研究チームは、「腸の損傷はアルコール摂取後3時間ほどで観察され、最後の大量飲酒から24時間後も明らかでした」「これらの研究結果は、アルコールが消化管に及ぼす影響についての理解を深め、下流に位置する肝臓障害を制御する可能性がある戦略を調査するための基礎を提供します」と述べました。
