中学生の娘がネットでイラストを販売しています。もし30万円の売り上げだった場合、今年の税金はいくらくらいでしょうか?

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最近では中学生や高校生でもSNSやネットショップを通じて、イラストやハンドメイド作品をインターネットで販売し、収入を得ることが珍しくなくなりました。 しかし、ここで気になるのが「税金」の問題です。未成年であっても収入を得れば課税対象になるのか、どの程度の金額から税金がかかるのかは、親として理解しておきたいポイントでしょう。 では、もし中学生の娘さんが年間30万円の売り上げをあげた場合、今年の税金はいくらくらいになるのでしょうか。本記事で見ていきましょう。

未成年でも課税対象になるのか?

所得税等は収入があるかどうかで判断されるため、年齢は関係ありません。つまり、中学生であっても収入(売り上げ)があれば所得税の課税の対象になり得ます。
ただし、ここで注意したいのは「売り上げ=課税額」ではないという点です。実際に税金がかかるのは、売り上げから経費を差し引いた「所得」です。

売り上げと所得の違い

例えば、年間の売り上げが30万円だった場合、その収支から経費(ペンタブレットやイラストソフトの費用、販売手数料、制作費用、通信費・電気代の事業使用分など)を差し引くことができます。
仮に経費が10万円かかったとすると、「30万円(売り上げ)-10万円(経費)=20万円(所得)」となります。ここでいう所得は売り上げから必要経費を差し引いた金額で、税金がかかるかどうかは、この所得額からさらに基礎控除などの控除を差し引いた課税所得で判断されるのです。

基礎控除で課税対象にならない可能性も

日本の税制には、「基礎控除」という制度があります。これは合計所得金額が2500万円以下の納税者に適用される最低限の所得控除で、令和7年分以後の所得税では合計所得金額が132万円以下の場合、最大95万円の控除が適用されます。
したがって、先ほどの例のように所得が20万円の場合は基礎控除の範囲内に納まるため、所得税は発生しません。売り上げが30万円でも、経費を差し引いた合計所得金額がこの控除額以下であれば通常は課税対象にはなりません。ただし、他の所得と合算して控除額を超えた場合や、経費を正しく計上できていない場合などには課税されることがあります。

住民税や扶養控除も確認を

住民税にも基礎控除があり、多くの自治体では43万円以下で非課税となっています。したがって、30万円の売り上げから経費を差し引いた所得が43万円以下であれば、住民税も発生しません。
また、親の扶養控除を維持するためには、所得だけでなく年齢や学生であるかどうかといった条件も関係します。
一般的に16歳以上の子どもは扶養控除の対象となりますが、令和7年分以後の所得税では、合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円以下)であることが条件です。
さらに、23歳未満の学生など「特定扶養親族」に該当する場合は、控除額が大きくなります。今回のケースでは20万円程度の所得のため、扶養控除が外れる心配はありません。

売り上げが増えた場合のシミュレーション

今回は30万円の売り上げで税金はかかりませんでしたが、売り上げが大きくなれば課税対象になります。例えば、売り上げ150万円・経費50万円で所得が100万円になった場合を考えてみましょう。
令和7年分以後の所得税では、合計所得金額が2500万円以下の納税者に対して基礎控除95万円が適用されます。このケースでは、「100万円(所得)-95万円(基礎控除)=課税所得5万円」となります。
所得税率5%を適用すると、「5万円×5%=2500円」が所得税の目安です。さらに、住民税には一律10%前後の税率がかかるため、「5万円×10%=5000円」程度の住民税が発生します。したがって、合計でおよそ7000円前後の税負担となります。
つまり、売り上げが150万円・経費50万円で所得100万円の場合でも、税金は数千円程度と比較的少額にとどまることが分かります。

税金はかからないが記録を残しておこう

今回のケースで中学生がネット販売で得た30万円の売り上げは、経費を差し引いた所得が基礎控除の範囲に収まり、所得税も住民税も発生しません。扶養控除にも影響せず、実質的に税金負担はゼロと考えてよいでしょう。
しかし、売り上げや経費は正式な「収入」として扱われるので、日々の売り上げや経費の記録をしっかりと残す習慣をつけておくことが大切です。領収書などは必ず保管し、ノートやエクセルを活用して売り上げ等の管理をしておけば、将来売り上げが増えたときにもあわてず対応でき、安心して創作活動を続けられる環境を整えることができるでしょう。
 

出典

国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー