この記事は以下の動画を基に、動画投稿者の承諾を得た上で、AIライターが執筆しております

元日本航空機長の杉江弘氏は、自身の動画「JAL機長 再び飲酒問題―なぜ繰り返されるのか?」で、日本航空(JAL)で相次ぐパイロットの飲酒問題の背景と根本原因について、経験に基づき論じた。なぜ同様の事案が続くのか、どのような再発防止策が実効的かを整理して示した。

発端として、2025年8月下旬のJALハワイ便での飲酒問題を挙げ、約630人の乗客に影響が出る遅延が生じたと説明。2018年以降、JALでは計5件の飲酒事案が発生し、2022年5月に国土交通省の厳重注意、同年12月に業務改善勧告があったと整理した。杉江氏は、直接の原因について「当該パイロットの安全意識の低さ」としたうえで、処分を受けたパイロットが他社へ再就職している現状が「安全意識を下げている一つの要因」と述べた。

また、航空業界全体の人材不足が、不適切行動のあったパイロットの再雇用を容易にし、問題が繰り返される構造につながっていると主張した。

JALの対策については、滞在先での飲酒全面禁止を「常識外の対策」「守れないルール」と批判。さらに、飲酒傾向のあるパイロットを「ブラックリスト」として健康管理部門が管理する方針に触れ、「このようなことをやっても必ず情報は漏れます」とし、情報漏えいが起きれば報告が滞り、「安全運航上の問題が出てきます」と警鐘を鳴らした。全日本空輸(ANA)でも同様の問題はあったが、2020年以降は減少傾向にあるとして、JALの対策が十分な効果を上げていない可能性に言及した。

さらに、JALが掲げる「定時性優先」という経営方針が現場に過度なプレッシャーを与え、「ヒューマンエラー(人為的な過失)を誘発している」と指摘。最近のキャンペーン動画でも「定時性優先」を打ち出している点を取り上げ、矛盾があると批判した。

提言としては、社内の「乗務前12時間の飲酒禁止」は長すぎるとして、世界標準とされる「8時間ルール(乗務前8時間は飲酒禁止)」への統一、レイオーバー(滞在)時間の十分な確保などの労働環境改善、「定時性優先」から「安全性優先」への方針転換、国土交通省による適切な指導を挙げた。監督官庁と航空会社の「馴れ合い」を指摘し、同省が「もっと真剣に」飲酒問題へ向き合い厳正に指導すべきだと述べ、現状の「甘々処分」では再発防止は難しいとしつつ、「このままだったらパイロットの飲酒問題は解決できない。今後も発生します」と危機感を示した。

以上の提言を通じ、JALのみならず日本の航空業界全体の構造的課題として、パイロットの安全意識、労働環境、監督官庁の指導の在り方を掲げ、安全確保の重要性を訴えた。

チャンネル情報

杉江弘の航空チャンネル、2025年4月18日よりスタートしました。 元JALパイロットで長年機長を務めていた杉江弘が、航空評論家、ノンフィクション作家として世界の航空事情や航空機事故さらには企業ガバナンスなどを「独自の視点で解説」  新たな価値を創出し続ける持続可能なチャンネルを目指します。 航空界で起きている真実を明かす――― テレビでは言えない航空業界の裏話ーーー JAL123便事故真相、機長の行動はどうだったのか――― 危機管理とヒューマンエラー防止策ーーー