動画生成AIを開発するRunwayが、AIで生成した動画コンテンツを使った映像作品のコンペティション「AIFF 2055」を開催し、受賞作品10本を発表しました。グランプリを獲得した作品には、賞金1万5000ドル(約216万円)とRunwayで利用できる100万クレジットが贈られます。

AIFF 2025 | AI Film Festival

https://aiff.runwayml.com/

Curated realities: An AI film festival and the future of human expression - Ars Technica

https://arstechnica.com/culture/2025/06/curated-realities-an-ai-film-festival-and-the-future-of-human-expression/

AIFF 2025は今回で3回目を迎えるイベントで、10本のファイナリスト作品が選出されたあと、ニューヨークとロサンゼルスで開催される上映会にかけられます。

AIFF 2055でグランプリを獲得したのは、ジェイコブ・アドラー監督の「Total Pixel Space」でした。哲学的な問いかけと共にAIアートという概念を肯定的に捉える作品です。

Total Pixel Space - YouTube

金賞を受賞したのは、アンドリュー・ソルター監督の「JAILBIRD」で、刑務所で受刑者のコンパニオンアニマルとして鶏を採用するプログラムについてドキュメンタリー風に描いています。

JAILBIRD - YouTube

AIFF 2025の上映会に参加したIT系ニュースサイトのArs Technicaは、「『Total Pixel Space』と『JAILBIRD』は明らかに他を圧倒していた印象を受けた」と述べています。特に「Total Pixel Spaces」については「テーマに合った魅力的なイメージで満たされ、本当に興味深いアイデアに触れながら、時には深遠で教訓的であるようにさえ思えた」と評価し、その表現力に心を動かされたことを認めています。

ヘリナリヴォ・ラコトマナナ監督の「More Tears Than Harm」は、マダかスカルで育った幼少期の記憶をロトスコープのアニメーション風に、「感覚的なコラージュ」で表現した作品だとのこと。

More Tears Than Harm - YouTube

6位受賞の「Fragments Of Nowhere」はヴァレー・デュアメル監督の作品。家の内部がうごめいて変形したり、雲や炎の中に家が生まれたり、人間がありえない形に体を動かしたりと、AIが生成した動画によくあるような奇妙な映像を組み合わせた内容ですが、Ars Technicaは「視覚的に魅力的な場面もあったが、近年よく見るような悪夢のようなAI生成動画とあまり変わらないように思えた」と評しています。

Fragments Of Nowhere ValléeDuhamel - YouTube

ちなみに2024年に開催されたAIFF 2024のグランプリ作品が以下。ダニエル・アンテビ監督の「Get Me Out」で、音楽に合わせてテンポよく流れる非現実的な映像が特徴です。

Get Me Out - Daniel Antebi - YouTube

生成AIでの映像制作については、著作権をはじめとするさまざまな問題があり、Runwayもまた複数の訴訟を抱えています。これに対してRunwayの共同創設者であるクリストバル・バレンズエラCEOは、スタジオ側が心配しているのは責任であって、根本原則ではないことを示唆し、「AIは、ユーザーからの入力なしに魔法のように何かを作り出し、召喚するシステムのようなものだと思われがちです。しかし、それは違います。AIを使うには、ユーザーが自ら作業を行う必要があります。AIに関わっているのはユーザーであり、AIの使い方に関しては、ユーザーとして責任を負います」と語っています。

IMAXのポストプロダクション責任者であるブルース・マルコー氏はAIFF 2025開催に当たっての記者会見で「私たちが経験していたのは、大きく根本的な変化だったので、少し怖かったのです。しかし、最終的には人々はそれを受け入れました。映画・テレビ業界は常に技術革新に積極的で、常に新しい技術を活用して最先端技術を進化させ、効率性を向上させてきました」とコメント。生成AIがプロビズレーションに有用であることを挙げ、人々が慣れるまでには時間がかかるものの、一部の映画製作者は他の映画製作者よりも早くAIツールを導入するだろうと語りました。

なお、IT系ニュースサイトのThe Vergeによれば、Runwayは「AIによって映画スタジオの制作スピードが40%も速めることができれば、ゲーム開発の制作スピードもおそらく速くなるでしょう」と述べており、ゲーム業界での生成AI導入に積極的な姿勢を見せているとのことです。