シュークリームより好き! エクレア派パティシエが語る奥深き世界

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エクレアとシュークリーム。共にフランス発祥のシュー菓子でありながら、似て非なる両者にはどんな違いがあるのだろうか。知っているようで知らないエクレアの魅力をエクレア派の注目パティシエが解き明かします。

我らエクレア派、かの魅力、かく語りき。

エクレア派を公言する〈MERCI BAKE〉オーナーパティシエの田代翔太さんと、〈ツルミ製菓〉を主宰するパティシエの鶴見昂さん。シュークリームとは似て非なる、エクレアの魅力とはいかに!? スイーツを愛する二人が、その奥深い世界を語り尽くします。

鶴見昴(以下、鶴見):日本だとエクレアとシュークリームは親戚みたいに認識されがちだけど、明確な違いがあるよね。

田代翔太(以下、田代):日本のシュークリームはチェーン専門店があるくらい独自の進化を遂げていて、フランスのシュー・ア・ラ・クレームとは別物といってもいいくらい。

鶴見:私にとってのエクレアは、フランス流の?エクレール〞と、日本流の?エクレア〞という2軸があるんだよね。

田代:わかる。それでいうと、〈オーボンヴュータン〉の河田勝彦シェフは日本にフランス伝統菓子を持ち込んだ第一人者として、フランスのエクレールを日本で再現しているよね。カフェとチョコの2種類あって、それぞれのフォンダンに別のフレーバーのフォンダンでピッと線が引いてあって、そのコントラストがすごく洒落ている。

鶴見:そうそう。2個並べるとめちゃくちゃかっこいいよね。〈ウエスト〉もクラシックなスタイルを維持し続けてる一軒。最近は細長くてスタイリッシュな形が主流だけど、当時から受け継がれているであろうフォルムには妙な安心感がある。

〈 銀座ウエスト本店 〉のエクレア。どこかホッとするシンプルな味わい。432円。

田代:一方、〈サダハル・アオキ〉の青木定治シェフはフランス菓子をリスペクトしつつ日本らしさを打ち出したという印象。特に抹茶使いは別格だよね。

〈 パティスリー・サダハル・アオキ・パリ 丸の内店〉のエクレール マッチャ。深い抹茶の風味にパリジャンも虜! 680円。

鶴見:日本でも抹茶のお菓子はやりがちだけど、青木さんはフレーバーの域を超えて抹茶という素材をちゃんとフランス菓子に昇華しているのがすごい。

田代:抹茶をただ振るだけじゃなくて、フォンダンや中のカスタードクリームに抹茶を混ぜるプロセスがきちんとしているというか。青木さんはエクレア以外にも抹茶を使ったケーキが上手だけど、僕はこのエクレアが一番抹茶との相性がいいと思う。

鶴見:鮮烈な抹茶の味がして、すごくおいしいよね。カスタードだからこそ出る味わい。

田代:これは僕の持論だけど、生地をカットしてクリームをサンドしているのはエクレアじゃないと思っていて。クリームを注入してこそエクレア。底を見るとわかるんだけど、注入した跡が3カ所残ってるんだよね。大体僕らは、ケーキを買うと後ろ見ちゃうよね。

鶴見:〈ウエスト〉はチョコレートで隠して見えない感じもかっこいい! エクレアといえば〈フォション〉や〈ラ・メゾン・デュ・ショコラ〉のような細長く綺麗な形もフランス菓子の一つの特徴といえるよね。語弊を恐れずにいうと、口唇欲求に繋がるというか。だからフランスではシュー・ア・ラ・クレームよりエクレールの方が市民権を得ているのも納得。食べ姿が圧倒的に綺麗なの。

パリ本店から継承されるロングセラー。540円。〈 ラ・メゾン・デュ・ショコラ 丸の内店〉のエクレール キャラメル。上品なデコレーションにもうっとり。864円。

田代:フランスで働いた時、店でエクレアを出していたんだけど、エクレアって作るのも楽しい。なかでも、生地の上にフォンダンをつける仕上げの作業はすごく憧れがあって。フォンダンをつけて、垂れた部分を道具を使わずに指でピッと切るんだけど、これぞフランス菓子という感じがして、担当させてもらった時本当にうれしかったな。

鶴見:一見地味だけど、結構な職人技なんだよね。

田代:そしてエクレアはフォンダンを食べるための菓子という感じがするよね。形以上に、シュークリームとの大きな違いかもしれない。エクレアはむしろ、主役はフォンダンなんじゃないかとさえ思う。

鶴見:そうそう、飾りじゃないのよ! フォンダンは。クリーム、生地、フォンダンの三位一体感こそ、エクレアの魅力!

〈MERCI BAKE〉田代翔太さんが選んだエクレア

〈MERCI BAKE〉のオーナーパティシエ、田代翔太さんオススメのエクレアを紹介します。

〈FAUCHON LE CAFÉ〉のエクレール オ・ショコラ

パリ本店から継承されるロングセラー。540円。

フランス・ヴァローナ社のチョコレートをふんだんに使ったカスタードクリームがぎっしり詰まった定番アイテム。「フランス人なら、エクレールといえば〈フォション〉というくらいベーシックな味わい」(田代さん)。540円

FAUCHON LE CAFÉ(フォション ル・カフェ)

住所:東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋郄島屋S.C. 本館B1 食料品フロアTEL:03-3211-4111(代表)営業時間:10:30〜19:30

〈パティスリー・サダハル・アオキ・パリ 丸の内店〉のエクレール マッチャ

〈 パティスリー・サダハル・アオキ・パリ 丸の内店〉のエクレール マッチャ。深い抹茶の風味にパリジャンも虜! 680円。

しっかり香ばしく焼き上げたエクレール生地の中に、渋めのクレームマッチャがたっぷり。「抹茶という素材の魅力を洋菓子としてここまで昇華させる青木さんの技はさすがだと思います」と、田代さん、鶴見さんともに絶賛の一品。680円。

パティスリー・サダハル・アオキ・パリ 丸の内店

住所:東京都千代田区丸の内 3-4-1 新国際ビル1FTEL:03-5293-2800営業時間:11:00〜20:00定休日:不定休

田代翔太

ホテルに就職後、リヨンで研鑽を積み帰国。2014年独立、松陰神社前に〈MERCI BAKE〉を立ち上げる。2021年、カフェ〈CHEZ RONA〉オープン。

〈ツルミ製菓〉の鶴見昂さんが選んだエクレア

菓子教室〈ツルミ製菓〉主宰でパティシエの鶴見昂さんオススメのエクレアを紹介します。

〈ラ・メゾン・デュ・ショコラ 丸の内店〉のエクレール キャラメル

〈 ラ・メゾン・デュ・ショコラ 丸の内店〉のエクレール キャラメル。上品なデコレーションにもうっとり。864円。

外側はカリッと、内側はモチッとした生地の中に濃厚なクリームがみっちり詰まったエクレール。「あまりに濃厚な味わいで、1個でものすごい満足感が得られます。個人的にはエチオピアのコーヒーが華やかに香るエクレール カフェも好き」(鶴見さん)。

ラ・メゾン・デュ・ショコラ 丸の内店

住所:東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1FTEL:03-3201-6006営業時間:11:30〜19:30定休日:無休

〈銀座ウエスト本店〉のエクレア

〈 銀座ウエスト本店 〉のエクレア。どこかホッとするシンプルな味わい。432円。

ふわっと軽やかな生地と甘さ控えめのカスタードクリームに、チョコレートをコーティング。シンプルな味わいで愛されるベストセラー。「これぞ日本の洋菓子という貫禄と安心感がいいですね」(鶴見さん)。

銀座ウエスト本店

住所:東京都中央区銀座7-3-6TEL:03-3571-1554営業時間:9:00〜22:00(土日祝11:00〜20:00)定休日:無休

鶴見昂

石川県〈TEATON 〉、駒沢大学〈POPPY〉などのメニューを監修。菓子教室〈ツルミ製菓〉主宰。雑誌『with』で「POWER OF GELATIN」を連載中。

photo_Miyu Yasuda text & edit_ Chisa Nishinoiri

No. 1229

No.1229 『永遠の三大定番スイーツ特集 ショートケーキ シュークリーム ドーナツ』 2024年01月26日 発売号

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