ガメラとイリスが対峙するジオラマ(C)KADOKAWA TNHN/1999

写真拡大 (全5枚)

現在、東京タワーB1Fタワーホールにて『特撮のDNA/平成ガメラ3部作 展』が開催中。展示された貴重なプロップ&資料を通じて、改めて作品の素晴らしさを感じることができる好企画となっている。

>>>展示された平成ガメラ3部作の貴重な資料類、場面カットなどを見る(写真18点)

2020年〜2021年にかけて「ガメラ生誕55周年プロジェクト」として劇場で4K HDR、ドルビービジョン、4K SDR上映が行われた「平成ガメラ3部作」。徹底的なリアル志向と伝奇性が絶妙に合わさった世界観、スピード感と破壊の快楽あふれる怪獣バトルなど、作品に込められた熱気は20年以上の時間を経ても変わりなく、新たなファンを生み続けている。このような作品こそ「マスターピース」と呼ぶべきなのだろう。

その魅力を大きく支える特撮の裏側に触れられる機会、しかも会場は1作目『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)でギャオスが巣作りをした東京タワーだ。ワクワクしながら会場に足を踏み入れると、左手に『大怪獣空中決戦』(1995)で使用されたガメラのパペットの頭部がずらりと並んでいる。
一見同じものに見えてしまうが、それぞれアップ用スーツの頭部、海用スーツの頭部、アクション用頭部と役割がある。用途によって頭部を使い分けるというのは、過去の怪獣映画ではおざなりにされがちだったポイント。ここからも特撮スタッフのこだわりを感じることができるだろう。
▲『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)で使用されたプロップ類。

1作目で使用したボディスーツは『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)で転用されたため、現存していない。そのためクラウドファンディングで蘇った新たなスーツが今回初展示されている。
平成ガメラのスーツは一作ごとに変化していることにも注目だ。表情が徐々に険しくなっているのは一目瞭然だが、現物を見るとボディそのものの変化にも気づかされる。これは中に入るスーツアクターの体型に合わせてのものだという。
またレギオン、イリスのスーツがガメラより大きく作られているのは、相手がガメラにとって難敵であることを視覚的に表現するため。スーツひとつからも、そんなスタッフの意図を汲み取ることができるはずだ。

(C)KADOKAWA NH/1995 (C)KADOKAWA NHFN/1996 (C)KADOKAWA TNHN/1999 (C)特撮のDNA製作委員会

保存されたミニチュア類にも注目だ。『大怪獣空中決戦』でギャオスに捕まえられた中央線車両、『レギオン襲来』で霞目飛行場に登場した自衛隊のヘリ、またキリンビールの看板が目立つすすきのビル、などなど、本編で印象的なプロップが展示されている。
『大怪獣空中決戦』の東京タワーに巣作りしたギャオス、『レギオン襲来』の炭化したガメラは、思った以上に小さいサイズで驚かされた。手間を惜しまず知恵を絞り、予算以上の効果を生み出そうとするスタッフの努力を改めて感じさせられた。
▲炭化したガメラのプロップ(左)。本編のイメージで見るとその小ささに驚かされる。

ラストを飾るのは、ビル街で対峙するガメラ対イリスの迫力のジオラマ(メイン写真)。観ていると、背後に気配を感じ、振り返ると等身大の小型レギオンのスーツが! モノアイの今にも襲いかかってくるような強烈な視線に改めて恐怖を感じる。
▲ソルジャーレギオンのスーツは迫力満点!

会場内には樋口真嗣特技監督の使用した台本やイメージボード、絵コンテも展示されている。特に絵コンテは怪獣の感情を擬音で表している点がユニークで面白く、本編を思い出しながら見るとさらに楽しめる。
また、出口付近には樋口氏が描いた三怪獣と戦うガメラのイラストが飾られており、こちらも要チェックだ。
▲絵コンテのバトルシーンも迫力満点!

今回の展覧会で見えてきたのは、「怪獣という存在」をどこまでリアルに追求できるかというスタッフのチャレンジ精神だった。怪獣を生き生きしたものに見せるために、どんな素材を用意し、どんな舞台を生み出し、どんな生態を描くのか――そこに腐心と努力を重ね続けた ”特撮のDNA” を、ここで感じることができるはずだ。

(C)KADOKAWA NH/1995 (C)KADOKAWA NHFN/1996 (C)KADOKAWA TNHN/1999 (C)特撮のDNA製作委員会