サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜

Question 
米本拓司にボールが渡ったあと、湘南ベルマーレはどのように崩したか?

 Jリーグ第18節、京都サンガF.C.対湘南ベルマーレが行なわれ、アウェーの湘南が1−0で勝利した。湘南は代表ウィーク明けからリーグ2連勝。

 順位はまだ16位と降格圏内にいるが、ここにきて勝ち点を伸ばしている。

 両チームとも、立ち上がりから球際で激しくぶつかり合いながら主導権を奪い合うが、前半は0−0で折り返した。

 スコアが動いたのは終了間際の後半42分、絶好調の湘南・町野修斗がゴールを決め、そのまま逃げきって1−0で勝利となった。

 今回は、町野の決勝ゴールのシーンをピックアップする。

 後半42分、京都のクリアボールを拾った湘南が、中盤中央にいる瀬川祐輔へボールを渡して持ち上がる。

 ペナルティーエリア手前まで進入すると、タリクとのワンツーから左横にいる米本拓司へパス。


米本がボールを受けた状況。次の瞬間、湘南はどのように相手を崩したか

 米本にボールが渡るタイミングで、畑大雅が左ワイドに開いていく。中央には町野と大橋祐紀、タリクがいた。

 この状況で、湘南は次になにを選択して、京都の守備を崩しただろうか、というのがQuestionである。

Answer 
ダイアゴナルランで裏へ抜け出した畑へスルーパス。プルバックのパスを町野が決めた

 湘南は米本にボールが渡る時、畑がライン際へ幅を取るように動いた。そこへ京都の飯田貴敬が釣り出されたタイミングで、畑が入れ替わるようにダイアゴナルランでポケットを取りに行く。

 米本は体を外側へ開き、ライン際へのパスと見せて京都の宮吉拓実を外へ動かしつつ、裏へ走った畑へのスルーパスを通した。


米本は畑へスルーパス。畑からのクロスを町野が決めた

 京都は最終ラインを5人にして守っていたはずなのに、なぜ米本のスルーパスがこれほど綺麗に通ったのか。ポイントは町野と大橋の立ち位置だ。

 米本がボールを受ける時、町野と大橋が京都センターバック(CB)の井上黎生人と麻田将吾をピン留めするように立ち、井上と麻田は中央から動けなくなっていた。

 畑へスルーパスが出た瞬間に、本来であれば右CBの井上がカバーに入る場面だったが、町野を見ていたため、飯田との距離は大きく離れていた。ポケットに進入した畑にスルーパスが出ても、井上はカバーが間に合わない距離だった。

 畑が抜け出すと、大橋はゴールに向かって走ってDFを引きつけた。そこで空いた手前のスペースに町野が入る。町野は畑のプルバックのパスを受けて、決勝ゴールを決めた。

 FWがCBをピン留めし、ウイングバックで幅を取って、2列目がハーフスペースに進入するという湘南の形。ここから畑がタイミングの良い抜け出しで、マークの逆を取ってポケットに進入したことが決定的となった。

 リーグ前半戦で苦戦した湘南だが、エースの町野が連続してゴールを挙げている。後半戦でどこまで勝ち点を伸ばせるか注目である。