「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「与える」の「与」。十二月は「賞与」の季節でもあります。



「与」という字の古い字体(「與」)は、「興味」の「興」という字に似ています。

真ん中の「同」という字を「与」に換えると古い字体になります。

「与」という字は、象牙二本を組み合わせた形といわれ、そのほかの部分は、すべて人の手を並べた形を表しています。

つまり「与」という字は、象牙のような貴重なものを、多くの手で捧げ持って運ぶ様子を意味する漢字。

共同で運ぶことから「ともにする」「なかま」という意味や、運んで他へと移すので「あたえる」という意味をもつようになりました。

「関与する」という使い方の場合は、「あずかる・かかわる」という意味にもなります。

生まれてきた子どもは、祖先の霊を宿してこの世にやってきた貴重な存在。

そうした考えのもと、古代中国の人々は、小さないのちを守りぬくため、成長の節目ごとに手をかけて儀式を行いました。

すでに祖先の霊が入り込んだ肉体に、悪い霊が入る隙がないことを示すため、赤子の額に×(バツ)のしるしを描く。

祖先の霊に依りついてもらうための産着を着せて、赤子を抱き上げる。

ある一定の日数を生き延び、養育のめどがたったことを報告するため、氏族の霊を祀る場所で赤子を高く抱き上げ、祖先に見せる。

差し伸べられるたくさんの手によって、新たないのちはすこやかに育ち、やがて氏族の一員として、苦楽をともにしながら生きていくようになるのです。

ではここで、もう一度「与」という字を感じてみてください。

「人間の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる。」

現代物理学の父、アルベルト・アインシュタインが残した言葉です。

たとえばこの世にあなたが生まれた日。

産着やおむつ、たくさんのお乳や言葉を与えられ、神さまからの預かりものとして大切に育てられ始めます。

綿菓子のような肌、乾いたひなたのにおい、けたけた響く笑い声。

赤ん坊のあなたはただ与えられているだけでなく、周囲の人々に、多くのよろこびを与えるようになるのです。

私たちが心を動かされるのは、お金に換えられないものばかり。

勇気、希望、励まし、許し。

それは経験や経済力の有る無しにかかわらず、誰もが誰かに、惜しみなく与えることができるものなのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『神さまがくれた漢字たち』(山本史也/著 白川静/監修 理論社)

12月9日(土)の放送では「度」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2017年12月10日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/