私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「アルバイトの人手不足」の話題に続き、今回取り上げるのは、近隣にある競合店のコンビニに対して取っている「裏の対策」について。ライバル店との競争に勝つために繰り出される、結構「えげつない」作戦の数々が紹介されています。

競合のコンビニを閉店に追い込む方法

フランチャイズチェーン協会発表資料によると、2017年2月時点で全国にあるコンビニの店舗数は54922店舗(対前年102.3%)。コンビニ業界では長らく「5万店が限界」という説が根強くあったのですが、現状その数は優に超えており、今後もさらに増えていきそうな情勢です。

このように店舗数が右肩上がりで増えていくと、現場レベルでは「近隣に競合店ができた」というケースが頻発するようになります。出店距離等の条件によって変化はしますが、一般的に近隣に競合店ができると、既存店は10%〜15%ほど売上が下がるなど、少なからず影響を受けます。

もちろん既存店も、そのような状況を指をくわえてただ見過ごすわけはなく、なんとか売上を維持しようと努力をします。ただ、なかには「こんなのアリ?」と思うような手段で、競合店に対抗することもあります。そこで今回は、私が過去に見聞きした「競合店を窮地に追い込む策」を、いくつかご紹介しようと思います。

店舗近隣にチラシをまく

競合店対策として一部の店舗で行っていたのが、このチラシ作戦。競合店の店長が店舗の近くに居住している場合に有効な、一種の心理作戦です。

例えば自分の店で「おにぎり値引きセール」などを行う際、チラシを作成して近隣住民に配布するのですが、その時にチラシをあえて競合店の店主宅にも配布しておきます。すると競合店の店長は、その時期はお客さんを取られるだろうと考え、自分の店の商品発注を抑え目にします。

加盟店オーナーの大半はサラリーマン出身者で、資産はさほど多く持っていません。日々売上をコツコツと積み上げ、いっぽうで経費はとことんまで抑えることで、なんとか経営を成り立たせている大多数の店としては、利益減に大きく影響する「商品廃棄ロス」は極力避けようとするものです。

しかし、商品廃棄を恐れるばかりに発注をあまりに抑えてしまうと、売場では欠品が頻発してしまい、チャンスロスはもちろんのこと、その店に対するお客さんの支持を下げることにも繋がってしまいます。買い物をしようと店に入ったはいいが、売場はガラガラで、お客さんは失望して他のお店へと移っていく……。チラシ作戦の目的はまさにココなのです。

過剰な商品廃棄を出させる

チラシ作戦が競合店の発注を抑制させる方法なのに対し、お次に紹介するのはそれとは逆に「競合店の発注を必要以上に増やす」という作戦。競合店に大量の商品廃棄を発生させるという、かなりエグイやり方です。

具体的にどういったことをするのかというと、競合店で「おにぎりのまとめ買い」を行うのです。狙い目は、お客さんがもともと少なく店長も不在がちな日曜日の夕方。アルバイトも数名動員して、その店に残っているおにぎりを全て買い取ります。すると競合店の店長は、その翌日に販売データを確認し「まとめ買いがあった!」と喜ぶわけです。

「おにぎりのまとめ買い」は一度だけでなく、その後も毎週続けます。すると競合店側も、まとめ買いを見越して発注を徐々に増やしていきますが、それでも作戦は続けます。こうして競合店がどんどんと発注を増やしていったところで、まとめ買いを急に止めます。すると競合店では、大量の商品廃棄が発生します。

コンビニの情報システムには、「推奨発注機能」というものが備えられています。これは過去の販売数のデータに基づいて、適正な発注数を自動的に割り出してくれるという便利なものなのですが、直近の数週間で販売が伸びている場合、急に発注数量を下げることができません。

結果として、その後もしばらくはズルズルと大量の発注が続き、商品廃棄を出し続けます。このような行為をタイミングを見計らいつつ断続的に仕掛けることで、競合店の体力をどんどん削ぎ落していくのです。

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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

出典元:まぐまぐニュース!