学生の窓口編集部

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2010年に打ち上げられた金星気候衛星「あかつき」は、その年予定どおりに金星の周回軌道に入ることはできませんでした。しかし! 太陽を周回しながら再投入の機会をうかがい、2015年12月7日ついに金星の周回軌道に入ることに成功したのです。これは『はやぶさ』地球帰還に続く快挙として日本人の心を打ちました。このように、JAXAのプロジェクトは日本人の誇りであり大きな注目を集めます。今回は、JAXAで準備されているプロジェクトについてピックアップしてご紹介します。

JAXAに現在準備中のプロジェクトについて伺ってみました。その中からピックアップしてご紹介します。

■2月12日に打ち上げ! X線天文衛星『ASTRO-H』

来る2月12日に打ち上げ予定の衛星があります。X線天文衛星『ASTRO-H』です。日本はX線天文衛星については30年以上の歴史があります。初代のX線天文衛星『はくちょう』が打ち上げられたのは1979年のこと。その後、1983年『てんま』、1987年『ぎんが』、1993年『あすか』、2005年『すざく』と、これまで五つの衛星が打ち上げられてきました

今回の『ASTRO-H』は6代目。「宇宙で我々が観測できる物質の80パーセントは、ほとんどX線でしか検出できない高温状態にあると考えられています」(JAXAサイトより引用)ので、X線を観測する天文衛星を使うと、宇宙の成り立ちを考察する上での貴重なデータを得られるのです。

X線天文衛星『ASTRO-H』は打ち上げに向けて、JAXAの特設ページではカウントダウンに入っています。2月12日にはみんなで応援したいですね!

⇒JAXA『ASTRO-H』の特設ページ
http://fanfun.jaxa.jp/countdown/astro_h/

■日本ロケットがさらに進化する! 『H3ロケット』

日本のロケット開発がさらに次の世代へと飛躍するといわれるプロジェクトです。現在の『H-IIAロケット』『H-IIBロケット』が『H2』の改良型であるのに対し、この『H3ロケット』はコンセプトを根本から見直したもの。ただし、これまでの大型液酸/液水ロケットの系譜に連なるものです。

ちなみに日本のロケット打ち上げ成功率は世界最高水準の成功率。

『H-IIAロケット』と『H-IIBロケット』の実績は、
『H-IIAロケット』は2001年から運用され現在までに28機が打ち上げ成功
『H-IIBロケット』は2009年から運用され現在まで5機が打ち上げ成功

となっています。『H3ロケット』はこの積み上げられた実績の基にさらなる飛躍を目指して、以下のような狙いが挙げられています。

●ずっと手軽に、ずっと安心して使えるロケット
●これからの宇宙利用を支えるロケット
●世界中の人たちが使いたくなるロケット

具体的には、

●抜本的にコスト低減
・システムをモジュール化し、ライン生産(コア機体の共通化)
・電子部品をはじめ民生品を活用

●高い信頼性
・新規開発の第1段エンジンに高信頼性開発手法を適用
・耐故障性を追求したアビオニクスのシステム構成

●柔軟なサービス
・受注から打ち上げまでの期間短縮によるサービスの迅速化
・打ち上げ間隔の半減による打ち上げ機会の拡大
・射場における衛星のロケット搭載作業期間の短縮

を達成するという野心的なプロジェクトです。

●『H3ロケット』のシステム概要
・全長:約63m
・コアロケット直径:約5.2m
・固体ロケットブースタ直径:約2.5m
・大型衛星フェアリング
・第1段エンジン:LE-9 推力150トン × 2基/3基切り替え
・第2段エンジン:改良型2段エンジン 推力14トン × 1基
・改良型ロケットブースタ 平均推力220トン × 0-4本

ですから、『H-IIAロケット』(全長53m)と比較すると約10mも長いロケットになります。2014年(平成26年)に開発が開始され、2020年(平成32年)には第1号機(試験機)が完成する予定です。日本のロケット開発の新たな到達点として注目されるプロジェクトなのです。

■強化型イプシロンロケット 絶好調準備中!

『イプシロンロケット』とは、高性能でかつ低コストを実現するべく推進されてきた固体燃料型ロケットです。上記の『H-II』シリーズ、また新しい『H3』では、液体燃料が使用されますが、日本のロケット開発は固体燃料を搭載した小さな「ペンシル型ロケット」から出発しました。

この半世紀で蓄積された日本の固体燃料ロケット技術の集大成が『イプシロンロケット』なのです。全長24〜26mと小ぶりなロケットですが、1段目には『H-IIロケット』用補助ブースタを用い、また2段目、3段目には日本が誇る世界最高性能の『M-Vロケット』の上部モーターを改良して使っています。

特筆すべきはロケットの打ち上げ管制がノートパソコンでもできるという点です。これはロケット自身が自分の点検を行うという自律システムによって実現されています。イプシロンロケットによって、宇宙と地球の距離がより近づくものと期待されています。

2015年12月21日には、秋田県・能代ロケット実験場において強化型イプシロンロケット2段モータ(M-35)の真空地上燃焼試験が実施されました。『強化型イプシロンロケット』は、2016年度ジオスペース探査衛星『ERG』の打ち上げに使用される予定です。『H3』のみならず、イプシロンにも要注目です!

■2016年6月! 日本人宇宙飛行士がまた一人宇宙へ!

大西卓哉宇宙飛行士がISS(国際宇宙ステーション)第48次/第49次長期滞在搭乗員として選ばれました。大西さんは、2011年(平成23年)7月にはISS搭乗宇宙飛行士に認定されています。2016年6月ごろ、ソユーズ宇宙船によって打ち上げられ、ISSに6カ月間滞在する予定です。日本人宇宙飛行士がまた一人、宇宙へ向かうのです!

他にも、JAXAでは興味深いプロジェクトを多数準備しています。次々と進む宇宙開発技術についてもっと注目したいところですね。

(高橋モータース@dcp)