1300年前の技術が現代に通用する!? 「五重塔」はスカイツリーの先祖だってほんと?
柿食えば鐘が鳴るなり「法隆寺(ほうりゅうじ)」。海外からの観光客にも人気の東京スカイツリーは、法隆寺に代表される五重塔(ごじゅうのとう)を手本にしているのはご存じでしょうか?
聖徳太子が建立したとされる五重塔は高さ31.5mもあり、時代を考えれば超がつく高層建築。各層は「乗っている」だけに等しく、現代なら「手抜き工事」以外のなにものでもない設計。これが高い耐震性を生み、倒壊せずに残っているのです。この設計手法をベースに、「おもり」で揺れを打ち消す装置も装備した東京スカイツリーは、いわば現代版の五重塔なのです。
■揺れて身を守る五重塔
法隆寺の五重塔には諸説あり、建立されたのは606〜607年ごろ、その後に火事で全焼、現存のものは710年ごろに再建されたと考えられています。高さ31.5mは7〜8階建てのマンション相当ですから、1,300年も前にも高い技術があったことがうかがえます。なかでも特筆すべきは、現代にも通用する「耐震構造」を持っている点です。
五重塔の特徴は中央に心柱(しんばしら)があることで、地下から最上階までをひとつの柱で結んでいるため高い強度が得られます。ところが、心柱とつながっているのは最上層の頂部だけ……。しかも各層は「重ねた」だけのような構造で、連結されているわけではありません。もしそんなマンションがあったらコワくて住めませんね。ところが、これは予算不足でも手抜き工事でもなく、計算づくでおこなった結果。このフシギな構造が高い耐震性を実現しているのです。
すべての層を固定「しない」のは、心柱の「しなり」を確保するためで、どの方向にも曲がるようにして折れにくくしているのです。また、上下の層とつなぎ合わせていないのは「ある程度」の自由を与えるためで、各層が右/左と好きな方向に傾くことで、揺れのエネルギーを摩擦(まさつ)に変えます。これらによって五重塔は、やがて各層が右/左と「互い違い」に傾き、揺れを抑え込む力を生み出しているのです。
揺れを摩擦に変える方法は、現代の制震(せいしん)とまったく変わりません。先年以上も前に使われていたと知ると、驚きですね。
■「おもり」で揺れを打ち消す東京スカイツリー
五重塔はいまでも手本になるほど優れた設計で、なんと東京スカイツリーも同じ仕組みが採用されているのです。
中央に心柱、その外側の建物部分を分離する構造は五重塔「まま」を採用、東京スカイツリーはさらに心柱の上部を工夫した質量付加(しつりょうふか)機構になっています。これは建物上部に「おもり」を取り付けるのと同じ意味で、建物が揺れても、おもりは少し間をおいてから揺れ始めます。このタイミングのズレが重要で、やがておもりは揺れと逆向きに動き、打ち消す力を生み出します。地震なら最大40%、強風でも8%の効果が得られるとされ、東京スカイツリー以外にも「おもり」を装備したビルは数多く存在するのです。
固定せずに重ねただけの構造や上部におもりと聞くと、揺れが増したり壊れやすくなるイメージですが、現実は奇なり、ですね。
■まとめ
・法隆寺の五重塔は、優れた耐震設計
・中央に心柱があるが、固定されているのは最上層の頂部だけ
・各層は「重ねた」だけの構造
・東京スカイツリーは、五重塔の基本設計を受け継いでいる
(関口 寿/ガリレオワークス)
