16年間植物状態だった人、ヒッチコックのサスペンスに反応

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16年間植物状態の人にヒッチコックのサスペンス映画を見せたところ、神経活動が確認できました。研究者によれば「意識レベルがどれくらいあるか分からない人でも、周りの環境に注意を向けることができる」ことが分かった最初のケースだそうです。

5人に1人の植物状態の患者に意識があるのではないかと言われています。しかし、研究者は最近まで、そのことを証明することができませんでした。

博士研究員のローニア・ナシア氏によって率いられる、西オンタリオ大学の研究者チームは、映画の物語が進む中(シークエンス)で神経活動が見られるかどうかを計測する、繊細な方法を開発しました。この研究は、PNASに発表されました。

研究には、対象者の脳をMRIでスキャンする間に見られる7-8分の映像が必要でした。研究者は、アルフレッド・ヒッチコックのショートフィルム『バアン!もう死んだ(Bang! You’re Dead)』が、この研究にぴったりだということに気づきました。

この映画には、初め、中、終わりに3つの章(シークエンス)があります。装填された銃を持って町の中を歩く少年の話です。

研究には、12人の健常者ボランティアと、脳を負傷し、行動的に反応がなく意識レベルがどれくらいあるか分からない人が2人参加しました。

映画の場面がサスペンスに満ちた瞬間になると、健常者のボランティアは、高次認知機能において神経活動の同期が見られました。

植物状態の2人の参加者のうち、20歳の女性には映画に対する反応は見られませんでした。しかし、感覚野には脳の活動が見られたことがNatureに書かれています。

一方、もう一人の植物状態の男性には、健常者の活動とよく似た脳活動が見られました。彼は10代の時から16年間、植物状態です。

「その反応は、映画を見ている健常者の反応と区別がつかないほどでした。」と、研究の共著者、エイドリアン・オーエン氏がNatureに語っています。

Hitchcock suspense prompts brain activity in vegetative patient
http://rt.com/usa/188304-hitchcock-suspense-brain-consciousness/