「デジタルネイティブをどう育てるのか?」をLINEの田端信太郎にライフネット生命が聞いてみた。
そこで今回、「子育て世代の生命保険料を半額にして、安心して赤ちゃんを産んでほしい」という思いで開業したライフネット生命が、日ごろから「これからはデジタルネイティブの時代」と唱えているLINEの執行役員・田端信太郎氏に、自らの子育てについて聞いてみた。
田端氏はこれまで、「R25」や「BLOGOS」など様々な媒体を生み出し、「VOGUE」などのネットビジネスの統括を経て、現在はLINE株式会社で「LINE」のマネタイズなどを担当している。プライベートでは4歳半の男の子、1歳半の女の子のパパだ。
普段、お子さんはネットにどのように接していますか?
子供はスマホが好きですよね。スマホを見せるとおとなしくなります。上の子にiPhoneを渡すとYouTubeに何時間でも夢中になってしまい、子守のサポートグッズとしてはとても助かるのですが、やはり見せすぎなのかもな、と時々反省しています。私が言うのもなんですが、やはり見るものがネットばっかりだとバランスが悪いですね。あと、子供がいない時は有害サイトを見せないインターネットのフィルタリングという発想ってくだらないと正直、思っていました。フィルタリングしたって見る人は見るし、見たって影響されない人はされないし、無意味。インターネットは原則自由な世界だと。
でも子供ができて、あれだけiPhoneに夢中になっているのを見ると、フィルタリングが必要ってのも一理ありますね(笑)。
ご自身が育った環境と比べて、今の環境はどう思いますか。

※情報摂取に対し積極的な子どもだったという田端氏(4歳)
昔は情報を集める努力をしていたのに、今では逆に、情報が多すぎて制限する努力が必要になっていますよね。ただ、私がずっとメディアに興味があるのも、当時の情報の飢餓感が影響しているかもしれない。飢えていたので色々な事に好奇心がもてた。
なので、情報が少ない環境が良いのか、多い方が良いのかという話ではなく、結果として、子供の好奇心が強くなってくれれば、なんでも良いと思っていますね。
英語で「You are what you eat.(あなたは、あなたが食べたものでできている。)」というのがあるんですけど、僕は「You are what you read.(何を読んだかで、その人はできている。)」と思うくらい活字が好きで、みんなが読んでないような記事や情報を、人より先に読みたい、知りたいという好奇心は、小学校ぐらいから38歳になった今でも変わらない。
そういった好奇心は、後付けでインストールできないと思うんですよ。こういう強い好奇心さえ、あったら、大体の「学習」は後はどうにでもなると思う(笑)。
子供にとって好奇心以外に、大切だと思うものはなんでしょうか?
あとは人間としての「熱さ」くらいでしょうか、逆にそれ以外は、あとからでも学べるし、もしくはアテにならない。例えば環境の変化を親は予測できませんからね。親は就職に伝統的な大企業を勧めるけど、その会社の将来はどうなるかわからない。例えば私の友人に、大学を出てすぐに90年代後半にアップルに就職した人がいて、親と親戚中から「あんな落ち目の会社になぜ入るのか?」と大反対されたそうです。その友人は2年くらい前にアップルを退職したんですが、その時は、「なぜあんないい会社を辞めるのか?」と大反対されたそうです(笑)。

※よくわかっていない頃の田端氏(大学時代)
つまり、親や周りの意見なんてそんなもんなんですよ。そして、親としての、自分の意見も、子どもにとっては、どうせ、そんなもんだろうとしばしば突き放して考えますね。
「意見の押し付けをしない」という事を大切にされている?
私も親の言う事をあまり聞かない子供だったので、「親の期待なんか押し付けても仕方がない」と思っていたつもりでした。ただ2人目に女の子ができて初めて、長男に対しては「こうあるべきだ」っていうのを自分なりの理想像を無意識に押し付けていたことが分かりました。女の子だと自分がロールモデルにならないので手放しにカワイイ。ところが男の子だと「こんなことぐらいで泣いてんじゃない!」とイライラするときもある。同じ男として、「こうすべき」という無意識の押し付けがあるんです。
「良き父親であろう」って発想自体が、どことなく「俺を見習え」ってことになっちゃうのが怖いですね。それが、これからの時代に、彼にとっての正しいことなのか、僕は責任が持てないですから。
実際に、僕が育った地方の30年以上前の環境と、今の息子の育っている環境は、よくも悪くも全然違う。スタートラインが違うから、そこの中で何が最適っていうのは分からない。今の環境に一番適応するのは子供なのだから、自分を見習えとは言えないはずなんです。でも、ついつい、自分の「成功体験」を無意識に押し付けてしまいがち。

※ロクデナシな父親を目指しているという田端氏(現在)
自らがロールモデルとならなくてもいいと?
父親が必ずロールモデルになるわけではないですよね。例えば『男はつらいよ』の寅さんって普遍的な教訓がありますよね。満男(吉岡秀隆)は、ヒロシと寅さんの両方を同姓のロールモデルとして、見ているじゃないですか。そして、どっちかっていうと、満男は寅さんに惹かれるわけですよね、でも親は博。あのアクセルとブレーキ、ボケとツッコミ、北風と太陽みたいなコンビこそが、満男の成長にとっては、最適なバランスだと思うんですよね。もしも、寅さんも博みたいにまじめに働いていたら、満男の心が休む逃げ場所がないと思いますよ。
そのように、親の価値観とは全く違う大人とも、子どもが触れ合える機会を作ってあげたほうがいいんじゃないかなと思っています。
仕事をしながら子育てに関わるうえで、ジレンマはないですか?
例えば自分の時間は減りますよ。子供ができてから、サーフィンに行かなくなりました。でも、それは自分の人生の成り行きだから、それはそれで納得というか受け入れるべきものだと思っています。例えば、子供が二十歳ぐらいになって「お父さんは若いときに、もっとサーフィンしたかったんだけど、お前の育児のために諦めたんだ」とか言っていたらウザいですよね。
「子供のために、(自分を犠牲に)」って考えはヤバい。自分を犠牲にして、この子のために頑張っていると思うほど、その埋め合わせで、自分の持っている理想や価値観の押し付けが始まると思いますし、それは子どもにとっては迷惑千万な話です。自分の人生は自分の人生で、子どもの人生は子どもの人生。親子とはいえ、別人ですから。だから「子供のためにこそ、子供のためだけに生きるべきではない」と思っています。
※下は実際に現在、広告撮影の小道具になってしまっている田端氏のサーフボード

もし万が一、ご自身に何かあった時。
奥さまやお子さまに残したいものってありますか?
生命保険にライフネット生命を選んだのはなぜでしょうか?
先ほど言ったように、保険の掛け金を決めるってとても難しい。そしてライフネット生命以外の会社だと、計算がもっと難しかった(笑)。子供がどうなるかも、自分がどうなるかもわからない未来を精密にシミュレーションするより、ネットに特化して保険料を抑えるという、シンプルな理念とサービスにまかせた方が合理的だと思いました。最後に、ご自身が感じる子育ての面白さを教えてください。
究極で言うと、子供の教育が上手くいったかとか、自分が良き親として、子どもが自分らしい人生を送ることに少しは貢献できたかどうかって、子供が棺桶に入る瞬間まで分からないと思うんです。でも自分はそれを見届けられないし、見届けたくもないですよ(笑)。親より先に死ぬのは最大の親不孝、それだけはやるな!とウチの母がよく言っていましたが、子どもができて確かにそうだなあと痛感します。だから、子育てや教育に執着するなんて、どこまで行ったって所詮は親のエゴ、自己満足ですよね。結婚は大人同士がすることだから、冷たいようですけど、何が起ころうが突き詰めると自己責任な面もあります。でも子供の成長に対しては、親はそれなりに、というかかなりの程度というかは悩ましいですが、全くの無責任では決していられません。でも、自分の子供がどう育つかなんて、100パーセントコントロールすることは不可能ですよ。これはよく考えてみたら、恐ろしいことです。もしかしたら犯罪者になる可能性あって理論上は有り得る。
でも、だからこそ面白い、とも言えるんです。歳をとり、人生も後半戦にさしかかってくると、自分にとって未確定な部分って徐々に、少なくなる。そんな中で未確定なもの、あやふやなものがあるっていうのは、すごくセクシーなことだと、私は思っています。
――ありがとうございました。
聞き手:猪瀬祐一(ライフネット生命 マーケティング部)
3歳の女の子と10ヶ月の男の子のパパで、育児に奮闘中。
好奇心と熱さをもって、多様な世界に触れて欲しいと語る田端氏。インタビュー中に「自分の考えが押し付けになっていないか」と何度も自問自答する姿が印象的だった。
そして今回のような育児インタビューは、新米パパママのための特集『育児はいつも、波乱万丈( ̄▽ ̄)』というコーナーで今後も連載予定なのでお楽しみに!
■記事協力:ライフネット生命
http://www.lifenet-seimei.co.jp/

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■関連リンク・特集『育児はいつも、波乱万丈( ̄▽ ̄)』
取材・文章:志水理恵子 企画・編集:谷口マサト
