北中米ワールドカップを戦う日本代表はあすグループリーグ第2節でチュニジアと対戦する。初戦でW杯デビューを果たしたFW塩貝健人(ボルフスブルク)は「どういう形で出るかはわからないけど、出たらチームのために走るだけ。それはやれる」と力を込めた。

 オランダ戦でW杯デビューを飾った。後半39分に途中出場すると、その6分後には同点ゴールに貢献した。右CKをFW伊東純也が蹴った際に、味方とともに相手選手をブロックし、FW小川航基のヘディングシュートをお膳立て。ヘディングはMF鎌田大地に当たってゴールに吸い込まれ、劇的なドローとなった。

 出場した時間こそ短かったが、それでも独特の緊張感から疲労も溜まった。しかし、チームの目標のためにも「疲れたとか言ってられない」と自身を鼓舞する。「一回ピッチに立ったので、次は結果を残すしかない」。役割がわかっているからこそ、それを貫き通す。「走力が僕の武器なので、チームを勝たせられるように頑張る」と意気込んだ。

 左ひざを負傷したMF久保建英が治療のために試合会場であるメキシコ・モンテレイには帯同せず。塩貝は「久保選手が復帰するまで舞台を残してなきゃいけない」と仲間への思いを語る。

「同じようなプレーではないけど、同じポジションでもある。僕は僕なりにできることはあると思う。久保さんがいなくても、しっかり勝てるように僕が頑張っていきたい」

 3月のイギリス遠征で初招集となり、5月の国内活動からW杯の期間に入った。NECでチームメイトだった小川のようにもともと交流のある選手もいる一方、初めてコミュニケーションを取る選手も多い。だが、時間とともに親睦を深めていっている。

 この日、スタジアムを視察した際にDF長友佑都と談笑しており、その様子が注目を集めていた。報道陣に問われると「あのときはバーバーの話を……」とエピソードを明かす。「ダラスで現地の人に髪を切ってもらったら、そいつが銃を持っていた。それを話していた」と語った。

 初戦のオランダ戦が行われたアメリカ・ダラスで、塩貝は試合の2日前に散髪。その理容師が銃を持っていたというアメリカンな“小噺”を披露し、長友を驚かせたという。

 その長友は、塩貝が囲み取材を受けているところで「明日、点取るよな!」と背中を叩いて鼓舞。塩貝はその場を去った大先輩を「今でも一番熱いので、だからこそ学ぶことも多い」と称える。「この前もベンチでも一番声を出していた。だからこそ、ここにいる」(塩貝)。代表の生き字引から、多くのことを吸収しているようだ。


(取材・文 石川祐介)