走り屋を恐怖のどん底に突き落とした「爆速覆面パトカー」がついに勇退! 「マークX+M」という反則級のマシン

この記事をまとめると
■交通違反を取り締まる覆面パトカーが全国で配備されている
■警視庁にはマークX+Mというハイパフォーマンスマシンが存在した
■導入から10年以上経ったことで引退したと噂されている
東京には15台の激速覆面パトカーがあった
クルマ好きの間で「覆面」の2文字ほど恐ろしいものはない。いわずもがな、この2文字は覆面パトカーのことを指す。まあ恐ろしいといっても、制限速度+α、つまり流れに乗って走っていれば何も怖いことはないのだが、ふとしたときに気が抜けてしまうのが人間という生き物。そして不思議とそういったときに限って、文字どおりこの覆面が背後にいるのだ。いやはや恐ろしい。
しかし一方で、これら覆面パトカーには特徴が残されており、覆面になりきれていない可愛い面がある。ちなみに覆面という文字を辞書で引いてみると、「正体や本名を隠すために、布や仮面で顔を覆い隠すこと、またはその道具」とある。

たとえば、いまではほとんど見なくなったアンテナがついていたり、純正採用にしてはやたら小さいホイールが入っていたり(大量導入に伴う経費削減のためとの噂)、グリルの内部にパトランプが内蔵されていたり。視点の高いトラックに乗っていれば、パトランプを出すためにルーフに蓋があるのが見えるので、そういった、少し変わった特徴がある。あとは、言語化が難しい”妙なオーラ”を放っているのも彼らの特徴だ。

ひと昔前は「エンブレムがない」とか「ヘルメットをかぶってる人が乗ってる」とかもあったそうだが、いまでは少ないという。というわけで、オタクになればなるほど雰囲気で覆面を察知できるようになる。ただ繰り返すが、安全運転をしていれば周囲に覆面がいようといまいと関係ない。
さて、そんな覆面パトカー界隈だが、じつはいま、とある車両が全車両引退したといわれインターネット上で話題になっている。それがこの記事の主役である、トヨタ・マークX+M スーパーチャージャー(以下:マークX+M)だ。筆者のまわりでは「+M(プラスエム)」なんて呼ばれていた、警察車両界きっての猟犬だ。

ではこれがどんなクルマなのか。簡単にいえばトヨタの純正オプション部門であるモデリスタが、130系のマークXをベースに仕上げたコンプリートカーで、名前のとおりスーパーチャージャーが付けられているのが最大の特徴。エンジンはもともとのマークXが318馬力/38.7kg・mを発生する3.5リッターの2GR-FSE型を搭載しているのだが、ここに何を思ったかモデリスタは、スーパーチャージャーを合体。360馬力/50.8kg・mという、チューニングカーばりのパワーが与えられているクルマだ。しかもこの+12.1kg・mも上乗せされた最大トルクを3200回転で発生させるので(通常モデルは4800回転)、低速からの加速はかなりのもの。それに6速ATが組み合わされる。

このパワーに見合うように、足まわりももちろん専用セッティング。純正から約20mmローダウンするスポーツサスペンションを組み込み、ECUも当然専用品。そのほかには専用エアロやエンブレムが取り付けられており、価格は約500万〜530万円と、ベース車と比較して150万円ほどプラスだったそう。これにパトカー用の専用装備が加わる。
ならず者を10年以上取り締まってきた英雄
このマークX+Mは、2013年に4台先行配備、2014年に11台の計15台が警視庁に導入されており、高速道路交通警察隊や各所の交通機動隊に配備されていた。よって、首都高や筆者の住む多摩エリアでたまに見かけることがあった。なお、都費にて警視庁に導入されたので、このマークX+Mが覆面パトカーとして使用されたのは東京都だけのご当地激レアモデル。警察車両マニアにとっては1度は見ておきたいといわれていた車両だ。

これら車両の導入背景はいろいろ推測されるが、ひとつあるのは、首都高をメインとしたルーレット族対策だといわれている。この頃の首都高は毎晩のように暴走車両の事故が起きており、「暴走車両は絶対逃さない」という並々ならぬ警視庁の信念が伝わってくる1台だ。走り屋に向けた警視庁からの挑戦状ともいえる。
そんなこともあってか、このマークX+Mが配備されて以降、マニアたちに認知されるまでの期間はかなりの台数を検挙することに成功したという。そりゃこんなメーカーコンプリートカーみたいなクルマがパトカーだとは誰も思わないだろう。なお、これは人づてに聞いた都市伝説なのだが、「メーター読み270km/hくらいでも追ってきた」という噂も耳にしている。警察がそんな速度まで追ってくるのかルール的にも不明だが、並の走り屋ならこれを聞いた瞬間に諦めるのも頷ける、インパクトあるエピソードだ。ちなみにマークX+Mのポテンシャル的な話をするのであれば、実際にこのくらいの速度も出るとかなんとか。

しかし、そんな警視庁の猟犬も数えればもう12〜13年選手。警察に休みはないので、整備や車検のタイミングを除けば、おそらく毎日稼働していたと思われる。となれば、走行距離はもちろん、かなりのガタが来ている可能性も高い。おそらくタクシー並み(30〜50万キロ前後)には使われていたのではないだろうか。
なお、佐賀県警の覆面パトカーは配備から13年で約75万キロ(地球約19周ぶん)使われたという実績もある。ちなみに例外として、神奈川県警が所有するかの有名なR33GT-Rのオーテックバージョン(4ドアセダン)のパトカーは、10年前の情報で走行距離110万km以上を走行と聞いているので、警察車両にはそういった車両も存在する(現在はほぼイベント展示用だが一応まだ現役)。

官公庁が管理するだけに、徹底的に整備していると思われるが、それには非常にコストも掛かるほか、さらにいえばそれらの費用は税金だ。やはりどこかで終わりにしないと、納税者(都民)からもいろいろといわれる世知辛い世の中なので仕方ないところ。諸々の条件を考察すると、そろそろ潮時なのも頷ける。
警視庁の猟犬ことマークX+Mが去ってしまったのはどこか寂しいが、次はどんなモンスターを警視庁は導入するのだろうか。これに匹敵する新車(セダン)が現在はほとんどないので予想もつかないが、新型車の導入を首を長くして待ちたいものだ。なお埼玉県などにはスバルのWRX S4が導入されておりこちらはすっかり有名車両だ。

最後に、覆面がいようがいまいが、制限速度を守り、安全運転最優先はどこを走っていてもお忘れなく!




