不安に思ったことの97%はほぼ何の問題にもならない…それでも不安で"休めない日本人"が失う本物の幸せ
※本稿は、谷口たかひさ『休む勇気 人生で一番大事な仕事は「思い出づくり」』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

■充電が切れかけなのに休まないのは怠慢
「体調管理も仕事のうち」という言葉を聞いたことがあると思います。
しかし、休むことなくして体調管理が不可能であることを考えれば、「休むことも仕事のうち」と言っていいのではないかと思います。
「ハーバード・ビジネス・レビュー」(ハーバード・ビジネス・スクールの機関誌として始まった経営学誌)によると、最近アフラックが行なった調査では、労働者の約6割が燃え尽き症候群(バーンアウト)を身近に感じているといいます(Aflac Work Forces Report 2022-2023)。
同誌によると、休憩をとることで、むしろより多くの仕事をこなせるようになることを確認した研究があるといいます。
自分の充電が切れかけているような状態であるにもかかわらず、なんとか仕事を終わらせようとすると、思いもかけないミスを犯してしまうこともしばしば。結果として仕事はさらに増え、自分の充電はさらに減っていきます。
真面目な人ほど、休むことに罪悪感を覚えることもあるかもしれません。
しかし考えてみてください。ここに挙げた調査や研究をはじめ、休むことでむしろ仕事のパフォーマンスが向上することを知った上で休みをとらないなら、それこそが怠慢ともいえるのではないでしょうか?
真摯に仕事と向き合っているあなただからこそ、休む必要があるのです。
■「変われる者」だけが生き残る
ダーウィンが『進化論』のヒントを得たと言われている、地球上で最もユニークな場所の一つ、ガラパゴス諸島を訪れたことがあります。
「最も強い者」が生き残るのでも、
「最も賢い者」が生き残るのでもない。
「変われる者」だけが生き残る。
ダーウィンが発したとされている、この言葉(実際にはダーウィンの言葉ではないとも言われています)。
最高ではないにしろ、無難にいっている時ほど、今やっていることを続けてさえいればいい、そう思いたくなってしまうかもしれません。
だけど、この激動の時代に、そんなことはないでしょう。
日本には昔から「諸行無常」「盛者必衰」という言葉もあります。
「今のままでいい」と決めた瞬間から成長は止まり、衰退が始まるのだと思います。
しかし十分に休めていなければ、変わるための力も気概も湧いてこないかもしれません。それに先に挙げた通り、休むことのメリットはこれまで以上に近年証明されてきているのです。
あなたに今一番必要な変化は、「休むようになること」かもしれません。
■日本人が忘れた「何もしない自由」
現代の日本では、すべてが「生産性」で測られているように感じます。
仕事の時間だろうがプライベートの時間だろうが、生産性が低いことをするのは、まるで悪であるかのように感じている人も少なくないように思います。
それはいわゆるお金を稼ぐといった目的における生産性だけではありません。例えば、
1.休日に部屋の掃除や片付けができた場合
2.何もせずに一日が過ぎてしまった場合
後者の場合には、何か罪悪感のようなものを感じ、軽い自己嫌悪に陥ってしまう人も少なくないのではないでしょうか?

しかし、じつは「生産性がゼロの時間こそが、自分を幸せにしてくれる」というヒミツがあったとしたらどうでしょう?
生産性ばかりを追い求めるからこそ、幸せになれない、いや、「幸せを感じることのできる心が手に入らない」のだとしたら?
天気の良い日に、芝生の上で寝転がってみましょう。その時間の生産性は、ゼロといっても過言ではありません。
しかし、言葉にできない幸せを感じることをわかっていただけると思います。一人でもそうですが、大好きな人やペットと一緒にやれば、またひとしおです。
ヨーロッパの人々は、この余暇時間、いわゆる「何もしない時間」というものを、とても大事にしているといいます。
■「identity」にハマる日本語がない
色々な言語を学んでいると、ある言語から違う言語に翻訳しようとした時に、一語でバチッとハマる単語がないことがあります。
例えば、英語で「identity」という単語がありますが、これを伝統的な日本語の一語であらわすのは困難です。この一語でハマる単語を持っているということは、その文化がそれを大事にしている証拠だと僕は考えています。
identityの例でいうと、英語圏ではそれをとても大切に扱っていて、自分のことを深く理解しようとする時間が、教育の中などでもたくさん設けられています。
一方で、日本では社会のことを知ろうという時間はたくさんあっても、自分のことを深掘りする時間は少ないように思います。
反対に、「反抗期」という意味を一語であらわす単語は英語にはないようです。皆無とまではいかなくても、英語圏では思春期はあっても日本でいわれるところの反抗期は比較的少ないようです。
目上の人の言うことは「絶対」といった、ともすれば抑圧ともとれる文化が東アジアに比べて少ないからなのかもしれません。
■不安に思ったことの97パーセントは起こらない
オランダ語には、「niksen」という単語があります。
これは、「何もしない/目的を伴わずにボーッとする」ということを意味しており、「なぜ何もしないことが私たちに良いのか」という記事で紹介されています(「YES! Magazine」2022年8月17日)。
日本では「“何もしない時間”なんて、寝ている間だけだ」という人も少なくないのではないでしょうか。
多くの日本人が忘れてしまっている「何もしない自由」「何もしない権利」「何もしない幸せ」――。

幸せは生産性の中にではなく、「何もしない」にこそ隠れていて、あなたが見つけてくれるのを待っているのかもしれません。
「自分が休んでいる(何もしていない)間に、こうなってしまったらどうしよう」と心配する人もいるかもしれません。
そんな人に、知ってほしいことがあります。
「不安に思ったことの97パーセントは、結果としてほぼ何の問題にもならない」ということです。
「不安」というものは、私たちの心や身体、見た目の若さなどにたくさんの問題を引き起こすようです。
「不安」によって、以下のリスクが上がるそうです。
・IQの低下
・早期老化
・心臓病
・ガン
・うつ
・認知症
・人間関係の悪化
しかし、アメリカのコーネル大学のロバート・L・リーヒ博士らが発表した研究では、次の結果が出ています。
・心配事の85パーセントは実際には起こらなかった。
・起こった15パーセントも、そのほとんどは難なく対処できたか、むしろプラスの学びをもたらすものだった。
・結果として、心配事のうち実際に問題になったのはわずか3パーセントにすぎなかった(心配事の96パーセントは起きない、という数字を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、それはまた別の研究)。
まずは、心配事のほぼすべては実際に起きないという、この事実を知ってほしいのです。
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谷口 たかひさ(たにぐち・たかひさ)
環境活動家
1988年大阪生まれ。10代の時に起業し、イギリスへ留学。卒業後、アフリカのギニアで学校設立に携わり、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験した後、社会課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機に関する講演を開始。その中で、最大の脅威は「他の誰かが何とかするだろう」という思い込みであることを感じ、自己肯定感も講演内容に加える。現在も講演を続けており、累計で22カ国、2400回余に。趣味は旅と勉強で、訪れた国は100カ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30種以上。著書に『シン・スタンダード』(サンマーク出版)、『自分に嫌われない生き方』(KADOKAWA)。
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(環境活動家 谷口 たかひさ)
