「じゃ、また来るわ」自宅まで借金の取り立て→恐怖で号泣…借金3億円超を抱えた元TBSアナ・木村郁美(53)が、“詐欺師の元夫”との離婚を決意した“きっかけ”〉から続く

 現在はフリーとして活動する、元TBSアナウンサー木村郁美(53)。TBS時代、レギュラー9本を抱えるアナウンサーとして忙しく動き回る裏で、“悪魔”と呼ぶ元夫から預金を奪われ、連帯保証人にされた結果、計3億4000万円もの借金を背負うことになったという。

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 そんな彼女に、離婚後に出会ったパートナーの心肺停止、元夫との日々を語ろうと考えた理由、生放送で読み上げることになりそうだった逮捕のニュースなどについて、話を聞いた。(全6回の6回目/1回目から読む)


木村郁美さん ©石川啓次/文藝春秋

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「毎晩、待合室のソファーに寝て」パートナーが心肺停止に

――パートナーと結婚の話が持ち上がった矢先に、彼が心肺停止に。病院に駆けつけても、結婚してないと病室に入れないのでは?

木村郁美(以下、木村) そうなんです。でも、彼の家族が私のことを婚約者と病院側に説明してくれて、私も中に入ることが出来ました。

 ただ隣で寝ることもできないので毎晩、待合室のソファーに寝て。シャワーだけ浴びに家に帰って、そこから仕事して、また病院行っての生活でした。

――パートナーのお母様からは「もう自分の幸せを考えていい」と。

木村 そう言われましたけど、「何を言ってるんですか」って。私は「よし、車をバンに変えよう、車椅子でも乗れるように」って考えてました。とにかく生きててくれればいいって。

パートナーが奇跡的な回復→5か月後に再婚

――医師からは「このまま意識が戻らないか、意識が戻ったとしても重度の後遺症が残る感じですね」と言われていたものの復活を。

木村 そうなんです。もう学会で発表されるレベルで。先生も「西洋医学なのでこの言葉を使いたくないけど、これはもう奇跡としか思えないです」って。2か月近く病院に通い詰めでしたけど、この間は本気で長かったです。

――そのあとすぐに結婚を。

木村 意識が戻ってからはリハビリなどがあったので、入籍したのは倒れて5か月後ぐらいですね。

「前の結婚があったから今がある」と思える理由

――2度の結婚を体験してみて、結婚生活で意識していることはありますか。

木村 「前の結婚があったから今がある」と思える部分もあって。よく主人とも話すんですけど、「私たちが20代で出会ってたとしたら、こんなに仲良くは暮らしてないよね」って。きっとお互い自分の仕事を最優先しちゃうし、ぶつかり合うし。

 でも私は生き地獄で生死をさまよい、彼は実際に生死をさまよった。その経験を2人で乗り越えたっていうことは、とっても大きいと思うんですよね。

――人間関係やお金に対する価値観も変わりましたか。

木村 今の主人には、前のこともあったので「友達に会ってほしい。私だけじゃ、結婚していいのか判断できないから」とお願いしたんです。快く会ってくれました。

 友達以外だと、私が通っているレストランの大将にも「彼氏連れてくるんで見てください」と話して。みんなから合格を頂きました。

「やっぱり、だめだ」父親に再婚を反対されて…

――お父様は再婚に反対されていたとか。

木村 最初に会わせたときは絶賛の嵐だったんですけど、一晩経ったら「やっぱり、だめだ」って。悪魔に続いて同じ経営者というのと、悪魔の時に自分がもっと調べて反対すれば良かったのにといった後悔があったみたいで。

 ずーっと反対されてて、最後は電話で「私が幸せになったかどうかは母から聞いてください、ガチャン」みたいな感じだったんですけど。

――どうやって和解を?

木村 父の母、おばあちゃんが亡くなって、お葬式のときに、母が親戚中に主人の話をしてくれてたみたいで。その場でみんなが父を責めるんですよ。「みーちゃん(木村さんの愛称)がこれから幸せになるっていうのに、なんだってあなたがそれを妨げるの!」って。

 そしたら父が「そうか」と頷いて、それをきっかけに歩み寄るようになりましたね。そうなったらすごかったですね。自分の息子以上に息子として扱うような感じで、めちゃくちゃ自慢の義理の息子になってましたね。

――しかし、なぜここに来て元夫や借金のことを語ろうと考えたのでしょう? 取材しておいてアレですけど、心配になるくらい赤裸々に語り倒していますよね。

木村 正直、キツいにも程がある数年間だったので、あんまり口にしたくなかったんですね。思い出したくないというか、話すとドカーンと来るので。PTSDに近い状態になるというか。

 だけど今の旦那さんと出会って、とっても幸せで。彼は生死をさまよったときに、都合3回ほど心臓が止まってるんですよ。でもすっかり元気で、リハビリも兼ねてほぼ毎日2時間ぐらい夫婦でウォーキングに行くんですよ。

「そういえばこんなこともあった」封印していた“元夫との記憶”がよみがえって…

――毎日2時間も。

木村 そこでいろんな話をするんです。「花が咲いたね」なんてことから、人生観とか未来について、過去について、あらゆるものに対する考え方とか、ずーーっとしゃべってるんです。

 そうするうちに、ここ1、2年になって、悪魔のことを少しずつ話せるようになってることに気づいて。途中から「悪魔がさー」なんて笑い話にすることもあって。「あれ? 笑えてる」となって、「そういえばこんなこともあった」「あんなひどいこと言われたんだ」って、封印していた記憶がどんどんよみがえってくるんです。

 そうしたら、主人の知り合いで結婚相談所をやってらっしゃる女性の社長さんがいて。その方が「大変だった経験を話してもらえないかな。結婚を目指して頑張っている人にとっても、いいお話になるんじゃないかな」って。

 数年前だったら「ほんとにムリです」と断ってたでしょうけど、話せるようになったタイミングでそう言ってもらえたことが大きくて。

「頼もしいように誤って変換されちゃった」元夫と出会った時の“精神状態”

――キツすぎた経験が、誰かの助けになるかもしれない。

木村 私の経験を話すことで、「待って、今の彼氏やばいかも」って、その先に進むことを思いとどまれる人もいるかもしれないし、もしくは私みたいなつらい思いをして離婚しても、「こんな幸せな再婚も待ってたりするんだ」って希望にもつながる話の両方ができるので。私も主人も「だとしたら解禁していいね」って考えになって、話すようになったんです。

――話して振り返ることで、気持ちも整理されて楽になるのでは。

木村 こうやって話しながら思うんですけど、「いくらでも回避できたはずなのにな」って。なにか起きるたびに「なんで?」と聞いてれば、あんなことにならなかったんじゃないかとか考えますね。

 でも当時の精神状態って、本当に弱り切ってて、逃げ出したくて、守ってほしくて。悪魔の強引さが、頼もしいように誤って変換されちゃったんですよね。

 人間、そんなどん底の時期ってあるじゃないですか。そして、そこでつけ込まれる。私の経験を聞いて、「あ、自分は弱ってるな」とも気づいてほしいんです。

 そういうときこそ、相手を誰かに会わせるとか、話をするとか、助けを求めるとか、何かしら行動すれば悪いことは回避できるかもしれないんです。

「あ、これ木村さんの元旦那だ」生放送中に元夫が逮捕され…

――離婚後に元夫は逮捕されますが、そのニュースを木村さんが読みそうになったとか。

木村 そんな日に限って、生放送のブースの中でニュース原稿を読む担当だったんです。でも、私が読む直前で後輩に交代になって。「なんでだろう?」と思ってニュース原稿をチェックしたら、そのニュースで。

 後輩が「あ、これ木村さんの元旦那だ」と気づいて、読ませるのはかわいそうすぎるって代わってくれたんですよ。

――後輩が読む逮捕のニュースにどんな思いが。

木村 どこかホッとする感覚もあって。「やっぱり相手はプロだったから、私はだまされても仕方なかったよね」って。それまでは自分を責めまくってたので、解放されたといいますか。

 で、彼の苗字って旧字の漢字が使われているんですけど、テロップでは新字にされてたんですよ。「今後、私以外の被害者を出したらいけない。だから、正確な名前で報道しなければ」と、ニュースの担当の方に「これ、字が違うので訂正してもらえませんか」と言いに行ったのを覚えてます。

「元夫に渡した預金は1円も返ってきてない」

――後輩が気づいてくれなかった場合、ご自身でそのニュースを読むことはできたと思いますか。

木村 読んでます。絶対に読んでます。私はアナウンサーだし、生放送だし、そこは読みます。頭は真っ白になりながらも、絶対に読んでます。

――逮捕のニュースが出て、周囲の反応は。

木村 社内では誰も触れなかったんですけど、ほかの局がCM跨ぎで「TBSアナウンサー木村郁美の元夫逮捕!」みたいな感じで報じていて。それを見たうちの報道が怒って、「これ、訴える」と言ってくれたんですけど、「もういいです、そっとしておいてください」って。

――元夫に渡した預金って。

木村 1円も返ってきてないです。借金整理の一環で、銀行に悪魔とやり取りした明細を出してもらったら、私が貯金を預けた次の日に、預けたのと同金額のマンションを買ってるんですよ。でも、現金で買っているので、そうだとは立証できなかったです。

――同じような被害に遭った方々、遭っている方々に、なにかメッセージがあれば。

木村 渦中にいるときって、「明けない夜はないよ」とか「神様は乗り越えられない試練は与えない」とか言われるけど、なにひとつ響かないんですよね。聞かされる側からすると「何言ってんだ」みたいな。キツいものはキツいんです。

 だから、私が言ったこともスルーされちゃうかもしれないけど、まずは「そのあと幸せになれてる人もいるなら、私もなれるかも」ぐらいに思ってもらえたらいいなと。

撮影=石川啓次/文藝春秋

(平田 裕介)