福田雄一版『SAKAMOTO DAYS』なぜ成功? 目黒蓮らキャスト陣の再現度を徹底検証
『週刊少年ジャンプ』で連載されている人気マンガを原作とした実写映画『SAKAMOTO DAYS』が、4月29日より公開スタート。世間の反応は概ね好評のようで、公開9日間で興行収入16億円を突破するほどのヒットを記録している(※)。
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とはいえ原作ファンの目線で気になるのは、やはりキャラクターの魅力やアクションシーンの迫力をどこまで再現できているのかという点だ。本稿では映画の内容に触れながら、その再現度について検証していきたい。
『SAKAMOTO DAYS』は結婚して平穏な日常を手に入れた元殺し屋の坂本太郎が、大切な家族たちを守るために戦いを繰り広げるというストーリー。実写版では『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)などを手掛けてきた福田雄一が監督・脚本を担当しており、主人公・坂本をSnow Manの目黒蓮が演じている。
まずキャラクター描写について言えば、なにより重要なのは坂本の“落差”をどう描くのかというポイントだ。
坂本は普段ふくよかな体型で冴えない見た目をしているが、激しく動くと激やせし、現役時代に近いスマートな姿へと変貌する……という設定。生身の肉体で再現するのはどうしても無理があるキャラクターだが、今回の実写化では説得力のある表現になっていた。
坂本役の目黒は特殊メイクによって太った状態の姿を表現しているのだが、その完成度はほぼ別人レベル。だからこそギャップの激しさで、スリムになった姿のかっこよさが原作以上に際立っている。
※以下、実写映画『SAKAMOTO DAYS』のネタバレを含みます
1つの見せ場となっていたのが、エスパーの少年・朝倉シンが自分の所属していた組織を裏切り、銃を持った男たちに追い詰められるシーン。絶体絶命のシンを助けるために坂本が乗り込んでくるという展開は原作と同じだが、実写版では太った姿ではなく痩せた姿へと改変されていた。ここでは目黒の演技も相まって、坂本の“ハードボイルドで強い男”としての魅力がしっかりと再現されていた印象だ。
また、シンの再現度も相当なレベル。キャストは人気俳優の高橋文哉で、華麗なアクションによってバトル要員としての役目を果たす一方、ツッコミ役としてのコミカルな演技も見せつけている。
■福田雄一らしいギャグは賛否も それ以外のキャラクターたちの描き方はどうだろうか。まず注目すべきは、圧倒的な人気を誇る日本殺し屋連盟直属の特務部隊・ORDERの面々だ。実写版では南雲与市役に北村匠海、神々廻役に八木勇征、大佛役に生見愛瑠と、豪華キャストが勢ぞろいしている。
かといってたんなるネームバリューだけでなく、しっかりとした実力でキャラクター性を上手く表現していた印象。甘いマスクでつかみどころのない空気をまとった南雲、強面と関西弁のギャップに色気を感じさせる神々廻、大人しそうな見た目でありながら巨大な電動丸ノコを持ったギャップ満点の大佛と、個性豊かなキャラクターたちの立ち振る舞いを2次元から3次元へと翻訳している。
ただし今作におけるORDERは、基本的には“顔見せ”程度の出番。今後、続編が実現して本格的なバトルが描かれることになれば、原作ファンの興奮は収まりきらないだろう。
その一方、ORDERと敵対する勢力のX(スラー)でいえば、トナカイの剥製をかぶったサイボーグ男の鹿島が印象的だった。キャストは塩野瑛久なのだが、機関銃や刃物を備えた“武器人間”としての不気味なビジュアルがCGによって表現されている。また機関銃を乱射したり、ワイヤーを射出して坂本の動きを妨害したりと、バトルシーンでは原作さながらの大暴れを見せていた。
さらに『SAKAMOTO DAYS』でもっとも重要とも言えるアクション描写に関しても、工夫の跡が見られた。
念のため説明しておくと、同作では登場人物たちが戦っている場所にあるギミックを臨機応変に利用して、トリッキーなアクションを繰り広げるのが大きな特徴。実写版ではそうしたコンセプトに正面から挑んでいた。
たとえば遊園地を舞台とした戦闘シーンでは、シンがジェットコースターから飛び降りながら敵を坂本家から引き離そうとする場面をスタイリッシュに再現。また地下鉄の電車内で描かれたバトルでは、坂本がつり革の支柱をもぎとり、バトンのように回すことで鹿島が放った弾丸を弾くシーンなどがあり、“その場所にあるものを利用して戦う”という原作の魅力を分かりやすい形で実写に落とし込んでいる。
その一方、SNS上で原作ファンの反応を見てみると、原作よりもギャグシーンの配分が多くなっているという指摘が確認できることも事実だ。たしかに福田監督ならではの濃密なギャグシーンが加えられているため、その点で好みが分かれる余地はあるかもしれない。
とはいえ総合的に見れば、本作ではキャラクターとアクションという『SAKAMOTO DAYS』の二大要素がしっかり再現されていると言えるのではないだろうか。もし続編が実現した際には、さらに進化した映像を見せてくれるはずなので、今後の展開にも注目しておきたい。
参照※ https://skmtdays-movie.jp/news/038/(文=キットゥン希美)
