トランプ暗殺未遂“やらせ説”再燃 MAGA内部からの陰謀論噴出が示す支持者の揺らぎ【トランプ2.0 現地リポート】
【トランプ2.0 現地リポート】
“最強老害”トランプ大統領やっぱり「TACO」炸裂…イランとの停戦延長でも下ろせない拳
2024年、世界を震撼させたトランプ暗殺未遂事件。あの銃撃は“やらせ”だったのではないか? 事件直後にも飛び交った陰謀論が、いま再燃している。
問題は、荒唐無稽な陰謀論そのものではない。それが今や、MAGA内部から噴き出していることだ。
大統領選直前、ペンシルベニア州の選挙集会で起きた銃撃で、トランプがかすり傷で生還したことは、特にキリスト教徒右派に「彼は神から選ばれし者」という強い印象を与えた。ところがここにきて、銃撃はやらせだったのではないかという陰謀論が浮上。雑誌WIREDが取り上げ大きな反響を呼んでいる。
発火点となったのは、元FOXニュースのキャスター、タッカー・カールソンだ。彼はSNSで、FBIが事件の一部を隠していると主張した。疑惑拡散に拍車をかけたのが、カールソンのポッドキャストにゲスト出演したジョー・ケントだ。国家対テロセンターを率いていた人物で、対イラン政策を批判し、政権を離れたことで知られる。2人は事件の詳細の情報公開が不十分だと訴えた。
MAGA系論客2人の発言に、インフルエンサーらも次々に同調。コメディアンのティム・ディロンは「あれはトランプ自身の演出だったと思う」とまで言い切った。
矛先は大統領にとどまらない。極右の陰謀論者キャンディス・オーエンスは、暗殺事件の黒幕はイスラエル系アメリカ人の億万長者だと主張する。トランプに巨額の献金をしたのに、ヨルダン川西岸地域のイスラエル併合を認めなかったことへの報復だというのだ。
重要なのは、陰謀論の真偽ではない。それがトランプを支えてきた勢力内部の不信、宗教的分裂、そしてイスラエルをめぐる対立の受け皿になっていることだ。
トランプは最近、自身をキリストに見立てた画像を投稿、さらにローマ教皇を批判したため、キリスト教右派の支持者の間で激しい分断が起こっている。もうひとつが、イラン戦争をめぐるイスラエルへの反発だ。しかも政治的な「反シオニズム」と人種差別的な「反ユダヤ」がないまぜになっている。
かつて外敵に向けられていた怒りが、いま内側へ向かい始めている。メディアがこれを「岩盤支持層の揺らぎ」とみるのは、そのためだ。
(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)
