【黒木美珠がマツダ体験会をレポート:クルマ体験編】まさかの北米向けCX-90、中国向けEZ-60まで用意 味付けの違いがくっきり
8年ぶりの開催、その手厚さに驚いた
マツダが若手メディア向けに開催している体験会をご存知でしょうか。歴史の勉強からクルマづくり、最新モデルの試乗、工場見学まで、丸ごとマツダを知ってもらうという主旨のプログラムで、30年ほど続いてきたイベントです。
【画像】北米向けCX-90、中国向けEZ-60に試乗【マツダ体験会レポート】 全9枚
以前の参加者によるレポートをどこかで読んだことがある方もいらっしゃるかもしれません。コロナ禍と新モデル導入の繁忙期が重なって一時休止となり、今回は実に8年ぶりの開催となりました。

マツダが若手メディア向けに開催している体験会に参加してきました。 黒木美珠
招待状が届き、まず驚いたのが事前アンケートの細かさ。「普段から運転していますか」、「左ハンドルのクルマを運転した経験はありますか」、「マニュアル車は運転できますか」といった質問が並んでいました。
海外向けモデルへの試乗やMT車試乗も予定されていたため、参加者一人ひとりの運転レベルを把握した上でグループを組んでくださるというわけです。運転に不安のある参加者は、開発担当者が運転する助手席に乗って体験できるという配慮までありました。
私は左ハンドルも、MT車も、大きな車両も特に問題なし。「全部いけます」と回答したのですが、こんなところまで気を配ってくれるのかと、参加前からテンションが上がりました。
会場は山口県・美祢試験場。一緒に参加したのは、編集長クラスの方から若手まで、様々な自動車媒体に所属する編集者・ライターたち。これとは別日に開催された回は、20代前半の編集者が多く参加していたとも聞きました。みんな根っこは1人のクルマ好き。終始「これはなんだ」、「あのクルマはなんだ」と、和気あいあいと盛り上がる雰囲気がとても楽しかったです。
まさか北米・中国向けモデルに乗れるとは
試乗プログラムの内容を事前に知らされていなかったので、当日コースに並んでいる車両を見てびっくりしました。現行の日本向けラインナップだけでなく、北米市場向けのCX-90、そして中国市場向けのEZ-60まで用意されていたのです。国内では公道を走っていないモデルに同じコースで乗り比べられるなんて、普通ではまずできない体験。胸が躍ります。
コースは、ライントレース性能を確かめられるよう設計されていて、パイロンで車幅ぎりぎりに絞られた区間や、速度表示がめまぐるしく変わる区間があります。速度指定に素早く合わせる操作性は、海外では特に重要な安全要素だそうで、「流れに遅れると追突リスクになる」という説明に、なるほどと思いました。

北米市場向けのCX-90、中国市場向けのEZ-60(写真)まで用意されていました。 黒木美珠
CX-90は直列6気筒エンジンの伸びやかな加速が気持ちよくて、車格のわりに扱いやすい印象。視点が高く、ゆったりした感覚で走れます。
一方のEZ-60は、内装に紫のアクセントが入り、メーターから助手席まで広がる大型ディスプレイ、カラオケ、立体音響、運転席のオットマンまで備えるという、なかなかにゴージャスな仕様です。
中国では自宅でひとりの時間を確保しにくく、クルマが『個室』として使われることもあると聞いて、そういう文化背景が装備に出るのかと腑に落ちました。ステアリングは日本や北米向けと比べて軽めで、渋滞の多い都市環境での車線変更を意識し、初動から頭を入れやすいセッティングだそうです。
同じコースを違う車両で試乗することで、市場ごとの味付けの違いがくっきり見えてくる。こんな乗り比べ方、なかなかできるものじゃありません。
Gをつないで走る、その感覚が楽しかった
最後に体験したのが、G-bowlと呼ばれるジムカーナ形式のドライビングプログラムです。
テーマは『0.4G以下でGをつなぐ』運転。ブレーキ、ステアリング、アクセルの操作で発生する横方向・前後方向の力を滑らかにつなぎながら走るというものです。

こちらはCX-90。国内では公道を走っていないモデルを乗り比べられるなんて、普通ではできない体験です。 黒木美珠
ジムカーナというと、メリハリのある走りとハンドリングをイメージするかと思いますが、0.4Gという縛りがあるため、スピード域はそこまで高くありません。この制限の中で速いタイムを出す、これがまたじれったくて、難しかった!
実際にやってみて分かったのですが、操作を急に切り替えるとクルマの挙動がぶつ切りになります。力の流れを感じながら、次の操作へじわっと移行していく。そのリズムがつかめてくると、クルマが安定して、荷重をコントロールしながらタイムが出てきます。『人馬一体』という言葉の意味か、と少し体で理解できかけた気がしました。
クルマと対話しながら走る感覚。『走る歓び』というマツダの言葉が、体験を通じると急に具体的な重みを持ってきます。
体験中常に感じたのは、マツダの『根底にあるのは人』という視点でした。市場ごとに異なる文化と生活を反映したクルマ、身体から逆算した設計、力の流れを感じながら走る喜び。表面のスペックだけでは見えてこない部分を、山口県まで来て、実際に乗って、初めて感じられ、得難い時間となりました。
